鴨長明の晩年の庵は、
1丈(3M)四方の正方形とのこと。
そんな庵で書かれた『方丈記』
いいですよねぇ。
ゆく河の流れは絶えずして、
しかも、
もとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、
かつ消え、
かつ結びて、
久しくとどまりたる例なし。
世の中にある、
人と栖と、
またかくのごとし。
そして今回、
鴨長明の歴史小説『方丈の孤月』を読んだのです。
著者の梓沢要(あずさわかなめ)さんの文章に、
一気に引き込まれました。
鴨長明と、
同年代を生きた藤原定家に、
平清盛・源頼朝・後白河院・後鳥羽院・
西行・源実朝ら、
知ってる名前の人たちが登場するのですしね。
人付き合いの下手な長明。
でも意外とプライドが高いのです。
和歌所での、
空気を読めぬ振る舞い。
その、
後鳥羽院和歌所では、
新古今集の編纂を途中で投げ出してしまうし、
大原に出家した身で、
秘曲尽くしの宴を催すなんてこともするのだし、
方丈の庵に移った後も、
鎌倉に下向し、
三代将軍実朝とも面談もするのですが・・・
ああ~
またやっちゃったと、
ハラハラするばかりの長明が描かれているのです。
歌詠みにせよ琵琶弾きにせよ、
実力がありながら世渡り下手である長明。
でも、
三大随筆の一つとされる『方丈記』を残してくれ、
世に埋もれてしまわなくて良かったと、
ホッとするような、
変な感慨が湧きました。
Keiさん、
そんな『方丈の孤月』の御紹介有難うございました。
悟りを開いた長明ではなく、
どこか守ってあげたくなるような、
お人だったのですね。