発達トラウマ障害(DTD)の子ども。演劇トラウマプログラムを通じて、言葉の豊かさと力に気付けた者は、幸いなるかな。
The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.345の第2パラグラフから。
役者になった若者たちは、まず、シェークスピアが言わんとしていることを、一つ一つのセリフごとに、調べます。舞台監督は、役者たちの心の耳に、言葉を一つ一つ、吹き込みます。それから、役者たちは、吐いた息にセリフを載せる様に教えられます。その過程の初めは、子ども達は一言もセリフを言えない場合が多いんです。進歩はゆっくりしていて、役者たちはひとりびとり、セリフになったいろんな言葉をゆったりと心に収めていきます。このいろんな言葉が深みと響きを湛えていくのは、その言葉を話し言葉にした声が、子ども等の連想に従って、変化するからでしょう。この考えのお陰で、役者の子ども等は、いろんな言葉に対する自分たちの反応を感じることができるようになり、その登場人物の意味を理解するようになるのです。「セリフを覚えなくっちゃ」というのではなくて、「このセリフは私にとってどういう意味があるのかなぁ? 役者仲間達に、このセリフを言ったら、どんな影響があるのかなぁ? 自分がこのセリフを聴いた時、どんなことが自分に起きてんだろう?」ということに強調点があります。
かくして、言葉は単に情報や気持ちを伝えるもの、ということではなくなります。言葉が「いのちのことば」になり、自分の人生の意味を意味づけるもの、方向付けるものになります。
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