エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

自己中人間の愛なき世界

2014-07-29 10:29:45 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 大人とは、母親譲り、父親譲りの良心には別れを告げ、自分で良心を創り出している人なんですね。そういう人は、必ず寛容で朗らかですね。活発でも、物静かでも、必ず、寛容で朗らかです。しかも、直観力、丸山眞男教授がいう「他者感覚」が磨かれていますので、「本物」を見抜く力に優れていますよね。

 昨日の「エーリッヒ・フロムの真」は、以前訳したところでしたね。ごめんなさい。

今日はp56の5行目から。

 

 

 

 

 

 

 自分に対する≪真の関係≫と他者に対する≪真の関係≫が、結びつきのあるものだとすれば、私どもはどうすれば、自己中心を説明することができるのでしょうか?自己中心ですと、他者に対する純粋な関心は、全くないのは、火を見るより明らかです。自己中人間ですと、自分にしか関心がありませんし、自分のためにすべてのものをほしがります。あげることには全く興味を示さないで、貰うことにばかり、関心を示します。外側の世界は、自分がそこから何をいただくのか、という観点から見るばかりで、他者のニーズだとか、他者の尊厳や誠実さなぞには全く関心がありませ。自己中人間は、自分以外は何も見えませんし、すべての人、すべてのものは、自分に役立つか否かという視点から判断しますから、自己中人間は≪真の関係≫を結ぶことなどできません。

 

 

 

 

 

 自己中人間といえば、まれにしかいない「大変ひどい人」のように見えますよね。しかし、今日フロムが述べているのは、もっと身近な人、ごくごく一般人だと考えたほうが良いでしょう。たいていはご自分でも「常識人」、「善良なる市民」と考えている場合がほとんどでしょうね。

 ところが、その「常識人」、「善良な市民」が、実は、自己中人間であるところが、ここのミソですよ。

 

 

 

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