土佐レッドアイ

アカメ釣りのパイオニアクラブ

標識放流714号(2024年度17号)

2024-06-10 09:38:29 | アカメ調査室
 珍しい標識放流をしました。
 2024年5月29日、知り合いの漁師から、シラスパッチ網にアカメが入ったがいるか?という連絡がはいりました。
サイズは?と聞くと「1メートルほど」だといいます。元気かと聞くと「水槽に入れたが腹をかえしていてあまり元気そうではない」それなら、放流できそうにないので市場で競りに出したらどうかと言うと、アカメは売られんことになっちゅうと言うのです。
 以前は競りにかけられ、町の魚屋に並ぶことがあったのです。
 驚いて、それはいつからそんなことになった?と聞くと、さあ、いつからかはわからん。と言います。
 アカメが、絶滅の危険度が最高に高いⅠA類に高知県が指定していたときでも、そんなことはなく、どこの魚市場でも取引されていたのです。

 現在は、高知県レッドリストの見直しで、アカメは普通種であると評価されています。新しい高知県レッドデータブックでは、当面絶滅の恐れがなく、レッドリストの選定種ではないが、県の自然を代表すると考えられる種を選定し、注目種というカテゴリを新設して、アカメはそこに入っています。

 漁業で混獲され、水揚げされたアカメを販売するなというのは分けが判りません。

 私がもらわんかったらアカメはどうるぜよ?と聞くと「ふてる(捨てる)」とのこと。そりゃあいかん、調べたいこともあるし、必要な部位はサンプルとして残したいのでありがたくもらうと返事をして、安芸漁港にかけつけました。


 安芸漁港


 コンテナに入れてくれたアカメを、大きなクーラーに移し替えて氷詰めにして持ち帰りました。


 昔、このアカメは尾鰭に大きな怪我をしたようです。尾鰭の真ん中が付け根まで裂けていますが、傷口はきれいに回復しています。


 全長:103cm、体長:上顎85cm、下顎84cm






 腹を開くと、精巣をもつオスでした。


 アカメの胃


 胃を開いて裏返した画像です。カマスとタイの幼魚がでてきました。ドロメがどっさり出てくるのではないかと思っていたのですが、全く入っていませんでした。


 裏返した胃をもとに戻した画像です。何やら黒っぽい物が点々とあります。裏返したり戻したりする作業の中で、なにやら硬いものがいくつも胃壁の中にあることに気付きました。

 胃壁の中にあった硬い異物の画像です。どうやら、カニなど甲殻類の足の先端部のようです。
 私の想像ですが、たくさん食べたカニの足が胃壁に刺さり、深く入った先端は消化液が届かずに残ってしまったものではないかと思います。これだけのサイズのアカメの胃壁はかなり厚いのです。

 11時過ぎに、別の漁師から電話があり、アカメが入ったがいりますか?とのこと、驚きました。同じ漁港で、同じようにシラスパッチ網でアカメが混獲されたのです。
 様子を聞くと、大きなポリバケツに海水を注入しながら入れてあるが、水揚げしたときよりも元気になったとのことでした。
 それなら標識放流させてもらいたいと伝えて、もらい受けることにしました。






 全長:72.5cm 体長:上顎60cm.下顎61,5cm











 近くに階段がないので、岸壁からの放流になりました。階段がある場所までかなりの距離があります。もたもたするよりも早く水に戻すほうが良いと判断しました。
 放り込まれたアカメは元気に泳いでいきました土佐。


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