このたび、大阪フィル合唱団の客演合唱指揮者に任命されたことについて、エリシュカ先生と共演できたことのほかにもうひとつの歓びがあった。
それは、ドヴォルザーク「スターバト・マーテル」が、42年前の大阪フィル合唱団旗揚げ公演の演目だったということだ。もちろん、指揮は団の創設者であられる朝比奈隆先生。
わたしは、学生時代、追っかけと言ってよいほどの朝比奈ファンで、もちろん、日本ブルックナー協会会員でもあり、朝比奈会の会員ナンバー100(99だったかも? 記憶が曖昧)でもあった。
コーラス団員として、その棒で歌った回数も、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」、ブルックナー「ミサ曲第3番ヘ短調」各1回、ベートーヴェン「第九」4回。バッハ「ロ短調ミサ」ばかりは、朝比奈先生の体調不良からのキャンセルで涙をのんだところ。
評論の場では、朝比奈芸術の良さも悪さも客観的に書かざるを得ないのだけれど、心はいまも熱烈な大ファン。
学生時代のアイドル、というより神様であった朝比奈先生の創設した合唱団のお仕事に携われただけでも幸せなのに、旗揚げ公演と同じ演目ということが、わたしには何より嬉しいことなのであった。
大阪フェスティバルホールの客席には、その42年前に歌ったという初代団員のお姿もいくつかあったという。どんな想いで聴いてくださったのだろう?