デュトワ&大フィルの「サロメ」。
凄まじかった。
正直、前半には、いくつか注文はあった。しかし、終わってみれば、すべてを忘れるほどの興奮だけが残った。
特に「7つのヴェールの踊り」から凄絶な幕切れまでは、息をもつかせぬ緊迫感。
デュトワの棒のもと、渦巻く官能を描く大フィル、その16型の全力の大音量を、ものともせず乗り越えてくるメルベートの声と倒錯した愛のエクスタシーに、幾度となく我が脳天から背中に電気が走った。まさにオペラでしか味わえない麻薬。彼女のエレクトラも聴きたいなぁ。
日本人歌手では、とりわけ加納悦子さんのヘロディアスが素晴らしかった。歌とか演技というよりヘロディアスそのもの。
ダフニス、幻想の名演につづいて、大フィルも見事! 再びデュトワさんに来て欲しいと願うのは、わたしだけではあるまい。
追伸
ドイツへの出国が6日から11日に延期となったのは、これを聴け、との天の声であると確信した次第。燻っていた無念の想いもすっかり吹き飛んだ!