関東周辺の温泉入湯レポや御朱印情報をご紹介しています。対象エリアは、関東、甲信越、東海、南東北。
関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ 箱根湯本温泉(福住横穴湧泉) 「平賀敬美術館」 〔廃業〕
※新型コロナ感染急拡大につき、当面温泉レポは休廃止施設に絞ってUPしていきます。
湯巡りを重ねていくと、ときに記憶にふかく刻みつけられるお湯に巡り会います。
これはそんな1湯でしたが、惜しくも2018年5月に廃業したようです。
箱根湯本温泉(福住横穴湧泉)「平賀敬美術館」
住 所 :神奈川県箱根町湯本613
電 話 :2018年5月廃業
時 間 :11:00~17:00/45分、水・木休(営業時データ)
料 金 :1,500円 (入館料500円+入湯料1,000円)(同上)
オフィシャルHP(閉鎖)
関東を代表する名湯、箱根湯本温泉の発祥は、湯本熊野神社下に湧く「惣湯(そうゆ)」で、奈良時代の天平十年(738年)、加賀白山の泰澄の弟子釈浄定坊による「惣湯」の発見が箱根温泉の開湯とされています。
「惣湯」は現在も湯本第9号源泉として温泉台帳に登録され、現役の泉源として利用されています。
(参考資料は → こちら(ワクワクはこね温泉 第 2 回「箱根湯本温泉」/神奈川県温泉地学研究所))
おどろくべきことに、明治時代中頃までは箱根湯本温泉は「惣湯」1 本だけで支えられてきました。
明治25年(1892年)頃、湯坂山の麓で横穴が掘削され、あらたな温泉が湧出しました。
これが名湯の誉れ高い「湯本(福住)横穴湧泉」です。
湯本第3号源泉として台帳登録されたこの源泉は、箱根屈指の老舗旅館、「萬翠楼 福住」(日帰り不可)のみで入れましたが、2005年からここ「平賀敬美術館」でも入れるようになりました。
しかし、Web情報によると、2018年5月にこの施設は廃業となり、わずか12年ほどしか入湯できなかったことになります。
「箱根湯本温泉の湧出状況について」(神奈川県温泉地学研究所、1986年)によると、このエリアで初めて温泉実態調査が実施された昭和33年当時、実質源泉数64のうち自然湧出泉は3、7、9、13、22号の5源泉で3、7、22号は横穴湧出泉、9号は竪穴湧出泉、13号は自噴泉という区分けでした。(のちに9号泉(惣湯)は動力揚湯に変更)
第3号泉(湯本(福住)横穴湧泉)は、昭和33年当時でも湯本にわずか3本しかない横穴からの自然湧出泉であったことがわかります。
これは、2008年5月に入湯したときのレポをリニューアルしたものです。
廃業施設ですが、レポは現在形で仕上げています。
------------------------------------
箱根の玄関口、箱根湯本駅から東海道を塔ノ沢方面に歩いていくと、左手に早川にかかる朱い欄干の湯本橋が見えます。
この橋の通りが「湯場滝通り」で、渡ったさきが湯本最古の「湯場」地区となります。
渡って左手に蕎麦処「はつ花」、正面には「萬寿福旅館」がそれぞれ構えて、湯本でももっとも風情ある一画です。
「萬寿福旅館」前で道は左右に分かれ、車や人の大半は左手「湯場滝通り」沿いに流れます。
右手は前方に湯坂山が迫る行き止まりのエリアで、湯本のなかでひときわ落ち着いたたたずまいをみせています。
右手に老舗「萬翠楼 福住」、正面に「住吉旅館」、その裏手には箱根温泉発祥の地とされる湯本熊野神社が鎮座されます。
【写真 上(左)】 サイン
【写真 下(右)】 外観
「住吉旅館」前の路地を左手に曲ってさらに進むと「平賀敬美術館」が見えてきます。
路地はここで行き止まりとなり、その先は須雲川の流れに突き当たります。
早川と須雲川の合流点に湯坂山が迫るこの一角は、湯本でも古い泉源が集中する要の地です。
このこぢんまりとした美術館は、独特な作風で知られる画家・平賀敬の晩年の邸宅を美術館として開放するもの。
こちらのWeb資料(FUMA CONTEMPORARY TOKYO BUNKYO ART)によると、平賀敬は1936年東京に生まれ、1965年渡仏しパリを拠点に創作活動に入り1977年帰国、2000年没。「2005年晩年を過ごした箱根湯本の邸宅にて平賀敬美術館開館」とあります。
この建物はもともと「萬翠楼 福住」の別荘として明治後期に建てられ、井上馨、犬養毅、近衛文麿など明治の元勲が逗留した由緒あるもので、「福住旅館別荘主屋」の名称で国の登録有形文化財に指定されています。
→ 文化庁データベース
解説文から一部引用します。
「桟瓦葺,寄棟造の木造平屋建で,北側の1間幅廊下の南方に和室7室と台所,北方に便所と浴室を配する。湯本福住旅館の長期滞在者用客室として建設された別荘風の上質な数寄屋造建築。」
【写真 上(左)】 玄関前サイン
【写真 下(右)】 玄関
【写真 上(左)】 玄関正面
【写真 下(右)】 回数券案内露天
一見重厚な瓦葺の和風建築ですが、構えは西欧式コの字型のシンメトリになっています。
和風の玄関の奥に平賀敬のアバンギャルドな作品が掲げられ、一種独特な雰囲気を放っています。
玄関わきに入浴回数券の案内。通常入浴料1,000円のところ、5枚綴りで300円、@600円+入館料500円の計1,100円で入浴できます。(通常は入館料500円+入浴料1,000円の計1,500円)
【写真 上(左)】 廊下
【写真 下(右)】 トイレも和シック
玄関で料金を払って館内へ。貸切制ですが、先客はなくすぐに入れました。
館内は木の感触がやわらかい和風の仕上げ。造作の意匠がさりげなく凝っていて見応えがあります。
廊下には平賀敬氏の作品がところせましと展示されています。
【写真 上(左)】 洗面所入口
【写真 下(右)】 浴場入口
ふたつ(3ヶ所?)ある浴場のうち奥のひとつのみ使用しているようで、原則45分1組(1~3名)の貸切制、週末など事前予約したほうがベターかと。
廊下の奥右手に浴室。扉のうえには「室浴號弐第」という渋い銘板が掲げられています。
浴場入口にタオルがおいてあり自由につかえます。
【写真 上(左)】 浴場の銘板
【写真 下(右)】 浴室からの脱衣所
【写真 上(左)】 浴室
【写真 下(右)】 窓と照明
扉をあけると眼前にすばらしい浴場が展開します。
入ってすぐよこが脱衣所。数段ひくく浴槽と手前に寝湯スペース。
崖下に設えられた浴場は全体に暗く、橙色のまるい照明が場内をぼんやりと照らしています。
要人が多く入浴したためか、窓には外敵侵入防止用の鉄格子がはめられています。
窓の外左手下に送湯装置らしき金属の箱が置かれています。
【写真 上(左)】 鉄格子
【写真 下(右)】 送湯装置?
【写真 上(左)】 天井-1
【写真 下(右)】 天井-2
木組みで湯気抜きのある高い天井は(唐)傘天井かもしれません。湯気のこもりがなく快適な浴室。
【写真 上(左)】 隣の浴場との仕切りと天井
【写真 下(右)】 桶&椅子
職人芸のタイル床と豪奢な総大理石の浴槽(2人ほど)の対比が見事。
レトロな風情は、関東近県では伊豆湯ヶ野温泉「福田家」(→ レポ)の榧風呂と双璧では?
【写真 上(左)】 シェルの石鹸受け
【写真 下(右)】 芸の細かい意匠
【写真 上(左)】 湯口(上から)
【写真 下(右)】 湯口(側方から)
竹筒のなかの塩ビパイプから熱めのお湯を16L/minほどしずかに注ぎ込み、全量をオーバーフローのかけ流し。
【写真 上(左)】 オーバーフロー
【写真 下(右)】 かけ流しの掲示
浴槽よこに白磁染付の陶枕がおいてあり、大理石の内床に寝そべるとあふれたお湯で寝湯を楽しめます。
これがかの福住横穴湧泉ですから贅沢なものです。
【写真 上(左)】 寝湯スペース
【写真 下(右)】 白磁染付の陶枕
【写真 上(左)】 内床と浴槽
【写真 下(右)】 大理石の内床
カラン2(出ず)、シャワー・シャンプー・ドライヤーなし。平日(連休)13時で貸切。
前後の入浴客はいないようでした。
さて、注目のお湯です。
ほぼ適温のお湯は無色透明で浮遊物はほとんどなし。
明瞭な芒硝味と微塩味に、わずかながらアルミニウム系?の収斂味がまじります。
はっきりとした石膏芒硝系の湯の香が湯面からも立ちのぼります。
ヌルすべとキシキシとよわいとろみが絶妙にブレンドされた湯ざわりで、やわらかさはさほど感じられないもののなぜか入っていてほっとするお湯です。
硫酸塩成分を含み、湯中の指先が青白く発光しています。
【写真 上(左)】 正面からの浴槽
【写真 下(右)】 斜めからの浴槽
【写真 上(左)】 上部からの浴槽
【写真 下(右)】 湯色
ほどよく温もりますがほてりはほとんどなく、浴後に爽快感が出てまたぞろ入りたくなるあと曳き系のお湯は格調高く文句なしの名湯。
泉質は異なりますが、なぜか姥子の「秀明館」(→ レポ)を思い起こしました。
じつはここの前にそぐそばの「住吉旅館」(→ レポ)に入りましたが、そちらの湯場惣湯系のお湯(湯本第7号・9号、41号)とは微妙にニュアンスがちがうような感じがありました。
なお、惣湯系の源泉に入れる施設は以下のとおりです。
・住吉旅館(後註:廃業の模様) → レポ
・大和旅館 → レポ
・萬寿福旅館 → 入湯済未レポ
・早雲の湯 和泉 → 入湯済未レポ
神奈川県温泉地学研究所資料によると福住横穴湧泉(湯本第3号源泉)の泉源は「平賀敬美術館」の周辺になっています。
おそらく「平賀敬美術館」の奥の湯坂山の山裾、惣湯(第9号)にもほど近いところかと思います。
「萬翠楼 福住」の公式Webによると、福住の使用源泉は湯本第3号泉(福住横穴湧泉)。
なのでここは福住より泉源に近いところで横穴湧泉に入れる貴重な浴場ということになります。
【写真 上(左)】 休憩所
【写真 下(右)】 お茶菓子(料金内)もお洒落
浴後、休憩室でお茶菓子をいただけます。
男性のスタッフの方と少しはなしをしました。(画伯のご子息かもしれません。)
「お湯は福住と同じで、こちらの方が泉源に近い。」「お湯の質には自信があるが、知られていないので入浴客はあまり多くない。」とのことでした。
料金1,500円はきびしいですが、お湯といい、浴場の雰囲気といい、温泉好きならいちどは入る価値があるのでは。
(入館時に「HPを見た」といえば入館料100円引になります。)
なお、Pは建物前に1~2台分しかないので、湯本のPに停めて散策がてら歩いていったほうがいいかもしれません。
アルカリ性単純温泉 42.4℃、pH=8.9、湧出量不明、成分総計=0.545g/kg、Na^+=145mg/kg、Ca^2+=28.2、Cl^-=135、SO_4^2-=142、HCO_3^-=29.9、メタけい酸=45.3、メタほう酸=4.95 <H17.5.10分析> (源泉名:福住湧泉(湯本第3号))
<温泉利用掲示> 100%天然温泉かけ流し
------- 2021/07/31 追記 -------
温泉観光地の勝ち組筆頭に指折られる箱根ですが、近年の廃業施設はじつは少なくありません。
跡地の多くは外資をメインとした高級施設に生まれ変わり、そのほとんどは外来入浴できません。
なので、日帰りで入浴できる源泉の数は次第に減ってきていることになります。
子供のころから慣れ親しんだ箱根。
先の見えないコロナ禍のなか、少しでも多くの施設が生き残ってくれることを切に祈ります。
〔 2008/05/08レポに2021/07/31加筆。入湯は2008/05 〕
E139.6.7.400N35.13.39.100
【 BGM 】
■Glory To His Name - Jack Jezzro
湯巡りを重ねていくと、ときに記憶にふかく刻みつけられるお湯に巡り会います。
これはそんな1湯でしたが、惜しくも2018年5月に廃業したようです。
箱根湯本温泉(福住横穴湧泉)「平賀敬美術館」
住 所 :神奈川県箱根町湯本613
電 話 :2018年5月廃業
時 間 :11:00~17:00/45分、水・木休(営業時データ)
料 金 :1,500円 (入館料500円+入湯料1,000円)(同上)
オフィシャルHP(閉鎖)
関東を代表する名湯、箱根湯本温泉の発祥は、湯本熊野神社下に湧く「惣湯(そうゆ)」で、奈良時代の天平十年(738年)、加賀白山の泰澄の弟子釈浄定坊による「惣湯」の発見が箱根温泉の開湯とされています。
「惣湯」は現在も湯本第9号源泉として温泉台帳に登録され、現役の泉源として利用されています。
(参考資料は → こちら(ワクワクはこね温泉 第 2 回「箱根湯本温泉」/神奈川県温泉地学研究所))
おどろくべきことに、明治時代中頃までは箱根湯本温泉は「惣湯」1 本だけで支えられてきました。
明治25年(1892年)頃、湯坂山の麓で横穴が掘削され、あらたな温泉が湧出しました。
これが名湯の誉れ高い「湯本(福住)横穴湧泉」です。
湯本第3号源泉として台帳登録されたこの源泉は、箱根屈指の老舗旅館、「萬翠楼 福住」(日帰り不可)のみで入れましたが、2005年からここ「平賀敬美術館」でも入れるようになりました。
しかし、Web情報によると、2018年5月にこの施設は廃業となり、わずか12年ほどしか入湯できなかったことになります。
「箱根湯本温泉の湧出状況について」(神奈川県温泉地学研究所、1986年)によると、このエリアで初めて温泉実態調査が実施された昭和33年当時、実質源泉数64のうち自然湧出泉は3、7、9、13、22号の5源泉で3、7、22号は横穴湧出泉、9号は竪穴湧出泉、13号は自噴泉という区分けでした。(のちに9号泉(惣湯)は動力揚湯に変更)
第3号泉(湯本(福住)横穴湧泉)は、昭和33年当時でも湯本にわずか3本しかない横穴からの自然湧出泉であったことがわかります。
これは、2008年5月に入湯したときのレポをリニューアルしたものです。
廃業施設ですが、レポは現在形で仕上げています。
------------------------------------
箱根の玄関口、箱根湯本駅から東海道を塔ノ沢方面に歩いていくと、左手に早川にかかる朱い欄干の湯本橋が見えます。
この橋の通りが「湯場滝通り」で、渡ったさきが湯本最古の「湯場」地区となります。
渡って左手に蕎麦処「はつ花」、正面には「萬寿福旅館」がそれぞれ構えて、湯本でももっとも風情ある一画です。
「萬寿福旅館」前で道は左右に分かれ、車や人の大半は左手「湯場滝通り」沿いに流れます。
右手は前方に湯坂山が迫る行き止まりのエリアで、湯本のなかでひときわ落ち着いたたたずまいをみせています。
右手に老舗「萬翠楼 福住」、正面に「住吉旅館」、その裏手には箱根温泉発祥の地とされる湯本熊野神社が鎮座されます。
【写真 上(左)】 サイン
【写真 下(右)】 外観
「住吉旅館」前の路地を左手に曲ってさらに進むと「平賀敬美術館」が見えてきます。
路地はここで行き止まりとなり、その先は須雲川の流れに突き当たります。
早川と須雲川の合流点に湯坂山が迫るこの一角は、湯本でも古い泉源が集中する要の地です。
このこぢんまりとした美術館は、独特な作風で知られる画家・平賀敬の晩年の邸宅を美術館として開放するもの。
こちらのWeb資料(FUMA CONTEMPORARY TOKYO BUNKYO ART)によると、平賀敬は1936年東京に生まれ、1965年渡仏しパリを拠点に創作活動に入り1977年帰国、2000年没。「2005年晩年を過ごした箱根湯本の邸宅にて平賀敬美術館開館」とあります。
この建物はもともと「萬翠楼 福住」の別荘として明治後期に建てられ、井上馨、犬養毅、近衛文麿など明治の元勲が逗留した由緒あるもので、「福住旅館別荘主屋」の名称で国の登録有形文化財に指定されています。
→ 文化庁データベース
解説文から一部引用します。
「桟瓦葺,寄棟造の木造平屋建で,北側の1間幅廊下の南方に和室7室と台所,北方に便所と浴室を配する。湯本福住旅館の長期滞在者用客室として建設された別荘風の上質な数寄屋造建築。」
【写真 上(左)】 玄関前サイン
【写真 下(右)】 玄関
【写真 上(左)】 玄関正面
【写真 下(右)】 回数券案内露天
一見重厚な瓦葺の和風建築ですが、構えは西欧式コの字型のシンメトリになっています。
和風の玄関の奥に平賀敬のアバンギャルドな作品が掲げられ、一種独特な雰囲気を放っています。
玄関わきに入浴回数券の案内。通常入浴料1,000円のところ、5枚綴りで300円、@600円+入館料500円の計1,100円で入浴できます。(通常は入館料500円+入浴料1,000円の計1,500円)
【写真 上(左)】 廊下
【写真 下(右)】 トイレも和シック
玄関で料金を払って館内へ。貸切制ですが、先客はなくすぐに入れました。
館内は木の感触がやわらかい和風の仕上げ。造作の意匠がさりげなく凝っていて見応えがあります。
廊下には平賀敬氏の作品がところせましと展示されています。
【写真 上(左)】 洗面所入口
【写真 下(右)】 浴場入口
ふたつ(3ヶ所?)ある浴場のうち奥のひとつのみ使用しているようで、原則45分1組(1~3名)の貸切制、週末など事前予約したほうがベターかと。
廊下の奥右手に浴室。扉のうえには「室浴號弐第」という渋い銘板が掲げられています。
浴場入口にタオルがおいてあり自由につかえます。
【写真 上(左)】 浴場の銘板
【写真 下(右)】 浴室からの脱衣所
【写真 上(左)】 浴室
【写真 下(右)】 窓と照明
扉をあけると眼前にすばらしい浴場が展開します。
入ってすぐよこが脱衣所。数段ひくく浴槽と手前に寝湯スペース。
崖下に設えられた浴場は全体に暗く、橙色のまるい照明が場内をぼんやりと照らしています。
要人が多く入浴したためか、窓には外敵侵入防止用の鉄格子がはめられています。
窓の外左手下に送湯装置らしき金属の箱が置かれています。
【写真 上(左)】 鉄格子
【写真 下(右)】 送湯装置?
【写真 上(左)】 天井-1
【写真 下(右)】 天井-2
木組みで湯気抜きのある高い天井は(唐)傘天井かもしれません。湯気のこもりがなく快適な浴室。
【写真 上(左)】 隣の浴場との仕切りと天井
【写真 下(右)】 桶&椅子
職人芸のタイル床と豪奢な総大理石の浴槽(2人ほど)の対比が見事。
レトロな風情は、関東近県では伊豆湯ヶ野温泉「福田家」(→ レポ)の榧風呂と双璧では?
【写真 上(左)】 シェルの石鹸受け
【写真 下(右)】 芸の細かい意匠
【写真 上(左)】 湯口(上から)
【写真 下(右)】 湯口(側方から)
竹筒のなかの塩ビパイプから熱めのお湯を16L/minほどしずかに注ぎ込み、全量をオーバーフローのかけ流し。
【写真 上(左)】 オーバーフロー
【写真 下(右)】 かけ流しの掲示
浴槽よこに白磁染付の陶枕がおいてあり、大理石の内床に寝そべるとあふれたお湯で寝湯を楽しめます。
これがかの福住横穴湧泉ですから贅沢なものです。
【写真 上(左)】 寝湯スペース
【写真 下(右)】 白磁染付の陶枕
【写真 上(左)】 内床と浴槽
【写真 下(右)】 大理石の内床
カラン2(出ず)、シャワー・シャンプー・ドライヤーなし。平日(連休)13時で貸切。
前後の入浴客はいないようでした。
さて、注目のお湯です。
ほぼ適温のお湯は無色透明で浮遊物はほとんどなし。
明瞭な芒硝味と微塩味に、わずかながらアルミニウム系?の収斂味がまじります。
はっきりとした石膏芒硝系の湯の香が湯面からも立ちのぼります。
ヌルすべとキシキシとよわいとろみが絶妙にブレンドされた湯ざわりで、やわらかさはさほど感じられないもののなぜか入っていてほっとするお湯です。
硫酸塩成分を含み、湯中の指先が青白く発光しています。
【写真 上(左)】 正面からの浴槽
【写真 下(右)】 斜めからの浴槽
【写真 上(左)】 上部からの浴槽
【写真 下(右)】 湯色
ほどよく温もりますがほてりはほとんどなく、浴後に爽快感が出てまたぞろ入りたくなるあと曳き系のお湯は格調高く文句なしの名湯。
泉質は異なりますが、なぜか姥子の「秀明館」(→ レポ)を思い起こしました。
じつはここの前にそぐそばの「住吉旅館」(→ レポ)に入りましたが、そちらの湯場惣湯系のお湯(湯本第7号・9号、41号)とは微妙にニュアンスがちがうような感じがありました。
なお、惣湯系の源泉に入れる施設は以下のとおりです。
・住吉旅館(後註:廃業の模様) → レポ
・大和旅館 → レポ
・萬寿福旅館 → 入湯済未レポ
・早雲の湯 和泉 → 入湯済未レポ
神奈川県温泉地学研究所資料によると福住横穴湧泉(湯本第3号源泉)の泉源は「平賀敬美術館」の周辺になっています。
おそらく「平賀敬美術館」の奥の湯坂山の山裾、惣湯(第9号)にもほど近いところかと思います。
「萬翠楼 福住」の公式Webによると、福住の使用源泉は湯本第3号泉(福住横穴湧泉)。
なのでここは福住より泉源に近いところで横穴湧泉に入れる貴重な浴場ということになります。
【写真 上(左)】 休憩所
【写真 下(右)】 お茶菓子(料金内)もお洒落
浴後、休憩室でお茶菓子をいただけます。
男性のスタッフの方と少しはなしをしました。(画伯のご子息かもしれません。)
「お湯は福住と同じで、こちらの方が泉源に近い。」「お湯の質には自信があるが、知られていないので入浴客はあまり多くない。」とのことでした。
料金1,500円はきびしいですが、お湯といい、浴場の雰囲気といい、温泉好きならいちどは入る価値があるのでは。
(入館時に「HPを見た」といえば入館料100円引になります。)
なお、Pは建物前に1~2台分しかないので、湯本のPに停めて散策がてら歩いていったほうがいいかもしれません。
アルカリ性単純温泉 42.4℃、pH=8.9、湧出量不明、成分総計=0.545g/kg、Na^+=145mg/kg、Ca^2+=28.2、Cl^-=135、SO_4^2-=142、HCO_3^-=29.9、メタけい酸=45.3、メタほう酸=4.95 <H17.5.10分析> (源泉名:福住湧泉(湯本第3号))
<温泉利用掲示> 100%天然温泉かけ流し
------- 2021/07/31 追記 -------
温泉観光地の勝ち組筆頭に指折られる箱根ですが、近年の廃業施設はじつは少なくありません。
跡地の多くは外資をメインとした高級施設に生まれ変わり、そのほとんどは外来入浴できません。
なので、日帰りで入浴できる源泉の数は次第に減ってきていることになります。
子供のころから慣れ親しんだ箱根。
先の見えないコロナ禍のなか、少しでも多くの施設が生き残ってくれることを切に祈ります。
〔 2008/05/08レポに2021/07/31加筆。入湯は2008/05 〕
E139.6.7.400N35.13.39.100
【 BGM 】
■Glory To His Name - Jack Jezzro
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