AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ジェイミーと戦慄

2025年02月27日 | プログレッシヴ草稿
ビル・ブラッフォードが活動を再開したらしいとの朗報が舞い込んだ矢先・・・
(てゆーか来日が決定!!https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-20514


その彼のSNSから悲しい知らせが・・・・


第3期キング・クリムゾンなどで活躍したパーカッション奏者、画家のジェイミー・ミューアさんが、去る2月17日に死去。享年82歳。


ジェイミー・ミューアなんてアーティストは、まぁキング・クリムゾンの音楽を嗜んでいなければ、縁もゆかりもない存在かと思われる。
しかもジェイミーがクリムゾンの作品に参加したのは、たった1枚(まぁクリムゾンの場合、そんなメンバーがゴロゴロいるけど)。

それが、1973年リリースの5th『太陽と戦慄』である。




ただ、ジェイミーはこの作品1枚で、我々クリムゾンファンに強烈なインパクトを与え、その後残ったメンバー(特にビル・ブラッフォード)にも多大なる影響を与えることになる。


ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォードという誰もが知る優等生メンバーに、無名のジェイミー、そしてデヴィッド・クロスというヴァイオリニストが加わった第3期の新編成クリムゾンってのは、一番トチ狂った音楽性を放っていた時期かと思われる。
ブラッフォードは、絶頂期のイエスに莫大な違約金を払ってまでしてバンドから脱退し、クリムゾンに加入している。
彼のクリムゾンに対する憧憬の念は、当時相当のものだったと推測できる。




上のDVDは、20年くらい前にヤフオクか何かで購入したブートレグだったと思うが、これに収録されていた「太陽と戦慄 パート1」のビート・クラブの奇跡のライブ映像がとにかく衝撃だった。

このステージでのジェイミーの変人奇行ぶりは伝説的で、まぁ観てもらえばわかるだろう。

King Crimson - Larks' Tongues in Aspic (1972)


『太陽と戦慄』は高校時代後半くらいの頃に購入し鑑賞したと記憶してるが、ちょっと難解だった1st『宮殿』にようやく馴染んできた頃で、本作でまた恐ろしくワケのわからんことになってて、まぁ一筋縄ではいかなかった。
ただ、人間椅子の和嶋氏も「天国に結ぶ恋」などで模倣している「太陽と戦慄 パート1」におけるロバート・フリップのあのヘンチクリンな変態奏法は、不可思議にも私の感性に刺さるものがあった。




『太陽と戦慄』は、神秘的なジャケットからも醸し出されてるように、錬金術的なオカルティズムに溢れている。
ロバート・フリップはこの時期、ニューヨークで出会った白魔術師であるという女性ウォリ・エルムラークのソロ作品をプロデュースしたり、神秘学者G・I・グルジェフの思想に強く影響を受けていたという。

本作における一種の密教儀式のような、この神秘主義的インプロヴィゼーションは、指ピアノ、木琴、ゴング、ホイッスル、自転車のパフパフ、ノコギリ、キッチン用品などをかき鳴らす、毛皮を羽織ったジェイミー・ミューアの自由奔放なパーカッションと、異質な存在感が絶大な化学反応をもたらしているのだと。




気だるいリズムに合わせて打ち鳴らされる「バシャ、バシャ」という音は、ジェイミーが水面を手で叩いているのだとか。


ジェイミー・ミューアがクリムゾンを一年足らずで脱退した経緯も実に奇妙なもので、最初はEG社員がなぜか事実を隠していたこともあり、様々な説が尾ひれを付けて流布したらしい。
私が浪人生の頃に知り合った同じ予備校に通っていた人間椅子好きの女の子から聞かされた内容は、いつものごとくクリムゾンのステージで打楽器をシバきまくっていたら、シンバルが彼の足の上に落ちてくるというアクシデントに見舞われたんだとか。
ジェイミーは「ウギャーーーっ!!」という奇声を発してステージから逃走。そのまま謎の失踪を遂げ、二度とクリムゾンに戻ることはなかった。
そして数年後、どこかの修道院に入門していたことが発覚した・・・・というものだった。

後日キング・クリムゾンの特集本を読んで、そこで語られていた真相は、クリムゾンに加入した頃、ジェイミーは仏教に傾倒していたんだとか。
ある日彼は、インドの神秘家パラマハンサ・ヨガナンダの著した『あるヨギの自叙伝』という本を読んで感銘を受け、それから瞑想をはじめ、禁欲生活を選択。
アルコール、タバコなどの嗜好品をいっさい絶ち、精神修行を積んだ末にドラマティックな神秘体験(肉体離脱)を経てクリムゾンを脱退・・・という流れだったらしい。

一度ブックオフで見かけたことがあるが、古本でも高価でよー手が出ナンダ。
この本にはロバート・フリップ卿も感銘を受けたんだとか。




ちなみに、原タイトル『Larks Tongues In Aspic(ゼリーの中の雲雀の舌)』という象徴的なフレーズは、ジェイミーが生み出したもので、この作品がいかにジェイミーの奇抜な発想の上に成り立っているのかがわかろうというものだ。


ジェイミーの魂は、奇想天外な彼の即興センスとクリンとしたチョビ髭、そして神秘的な『太陽と戦慄』のデザインとともに、これからも我々クリムゾンファンの心の中で生き続けるだろう。


R.I.P. Jamie Muir.


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サイクス

2025年02月01日 | やっぱりメタル!!
先月末に突如ジョン・サイクスの訃報が舞い込んだ時は、「え!?」という感じだった。

まだ65歳という若さで・・・


まぁ元来いわゆるスーパーギタリストというものに傾倒するタチではないので、ジョン・サイクスというギタリストをそれほど好きだった訳ではない。
ただ、やはり80年代からHR/HMを聴いてきた者としては、彼が参加した作品を避けて通るのは難しいかと。




一番最初にサイクスのギターに触れたのは、ラジオから流れてきたタイガーズ・オブ・パン・タンのポップナンバー「Love Potion No.9」だった。
ま、これはアメリカのドゥーワップグループThe Cloversのカヴァーなんであるが。
日本ではザ・サーチャーズのカヴァーヴァージョン「恋の特効薬」という邦題で馴染みがあるらしいが、メタラーにとってはパンタンVer.ですわな。




そしてヘヴィ・メタル界にプラントもどき現象をもたらした不朽の名作ともいうべきホワイトスネイクの1987年の大ヒット作『白蛇の紋章 ~サーペンス・アルバス~』



中学生の頃、メタル仲間とのメタルビデオ鑑賞会で「Still of the Night」のPVを目撃したときの衝撃は凄まじかった。
まぁこのPVに映ってるメンバーは実はデヴィカヴァ以外誰もこの曲のレコーディングに参加してないっていうのは後から知らされることになるのだが。
その時初めて私はジョン・サイクスの存在を知ることとなった。




本作はデヴィッド・カヴァデール以外では、ジョン・サイクス(ギター)、ニール・マーレイ(ベース)、エインズレー・ダンバー(ドラム)の編成でレコーディングされ、キーボードでドン・エイリー、そして「Here I Go Again」のソロでエイドリアン・ヴァンデンバーグも参加している。


まず冒頭のリレコーディング曲「Crying in the Rain」からして、サイクスの鬼のようなピクハモ&チョーキング技が炸裂しまくっている。
「Bad Boys」の全編に渡るゾクゾクするようなヘヴィリフ。「Is This Love」での咽び泣くような哀愁の名ソロ・・・と。
とにかく本作におけるジョン・サイクスの貢献ぶりは計り知れないものがある。


レコーディング後のデヴィカヴァとサイクスの間にどのような確執があったか詳しくは知らないんだけど(金払い?)、歴史に残るこれほどの名作を共作しながら彼らの溝は永遠に埋まることはなかった。
まぁたぶんPVの女をはべらせてパツ金にして色気づいて天狗になってたデヴィカヴァが悪いんだと思う。


そして、デヴィカヴァに対する恨み骨頂の復讐心でサイクスがフレットレスベースの使い手トニー・フランクリン、大御所カーマイン・アピスのスリーピースの布陣で結成したスーパーバンドがBLUE MURDERってことで合ってます?




しかもサイクス自らがヴォーカルを担当するという。
これが案外歌唱力があって巧かったりするので驚かされた。
にしても、歌い方にしろ曲調にしろ、『白蛇の紋章』を引きずってるな~ってのが痛いほどわかる。

それが特に顕著なのが「Still of the Night」っぽさの否めない「Sex Child」。
大好きなナンバーだが。



大学時代に所属していた軽音内では次なる2ndアルバムがやたら同期の間で流行ってて、ちょっとしたビッグジャパンアルバムだったらしいが、この頃はメタルに興味なくしててまだ未聴です。

ジョン・サイクスに関してはそんなところです。


R.I.P. John Sykes.
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さらば2024,さらば味園

2024年12月31日 | 晒しな!日記
今年もあと数時間ですね。
毎年言ってますが、早いものです。

家庭の事情もあり、今年ライブ行ったのってAJICOくらいだったんじゃないかな?

今年AJICOの大阪追加公演の会場は、味園ユニバースだった。




その元キャバレー施設であった味園ユニバースの入居しているこの昭和テイストな老舗レジャービル「味園ビル」の2階テナント部分が12月末で営業を終えるというのは、酒飲みではない私にとっても残念なニュースであった。

今日は各店営業してるのかな?
来年は跨ぐのだろうか?




2階の飲み屋街はデカダンな趣の店が列挙しており、新宿のゴールデン街をこのフロアに凝縮させたといったところだろうか?




二階の飲み屋街へは、このヨーロピアンな螺旋通路を昇っていくんだよね。



初めて味園ビルに訪れたのは、数年前の人間椅子のライブの時。




この時期にロックバーのDJ大会に参加した時、意気投合したドラマーの人がいて、その時元ボアダムスのギターと奇人ドラマー吉田達也氏とのノイズユニットZENI GEVAの事が話題にのぼって、同じ店名の”銭ゲバ”っていうバーが味園ビルにあるということで、人間椅子終演後に一緒に立ち寄ったことがある。




ここはロックバーという訳ではなかったが、マスターはロック好きな人のようで、店のドアには人間椅子のお札ステッカーが貼ってあった。




二回目は坂本慎太郎くんのワンマンライブで。




まぁ味園ユニバースはしばらくライブハウスとして運営していくとのことで、また訪れるかもしれん。


こういった風景がいずれなくなってしまうのかなと思うと、やっぱ寂しいですね。




よヰお年を。
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大作主義テクノ

2024年11月10日 | まったり邦楽
え?Perfumeもう新作?
なんかペース早い気もするんやけど、前作出したんいつやった?
ついこないだやったような気が・・・


へんにアーティスティックな方向になった前作で、なんかPerfumeに冷めちゃったとはいえ、情報などは勝手に入ってくるし、動向はそれなりに気にしてはいた。

昨年なんかは大人気アニメの映画『すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』の主題歌に起用された「すみっこディスコ」ってアニソンを出しているが、これがもの凄くオシャレで完成度が高くて。ディスコ三部作の中で一番好きかも。




海外ツアーなどで「Love Cloud」など、未発表の曲を初披露したり、まだまだ前進姿勢を保っている姿も嬉しく、今後の活動にも大いに期待がもてた。

今年6月からスタートした「Perfume "COD3 OF P3RFUM3 ZOZ5" Asia Tour 2024 」では、今作の冒頭を飾る先行シングル曲「The Light」も披露された。
最初ライブで盛り上がることを想定したあざといコール&レスポンス曲かと思ったが、ヴォーカルラインのクールさ、そしてエレクトロサウンドとの絶妙な掛け合いがとてつもなくカッコいい良ナンバーだ。




先月末にリリースされたPerfumeの最新作『ネビュラロマンス 前篇』。

まず、スターウォーズ、ダフト・パンク、寺沢武一マンガなどをごちゃ混ぜにしたようなハリウッドSF映画ちっくなジャケ画と、「前篇」ってのに面食らった。
え、これに続編があるの?二部構成?
まるでHELLOWEENの『守護神伝』やんけ。




いや~私もガキの頃からそういうの好きだけどさぁ、中田ヤスタカ氏もそういった中二病的な感性をお持ちだったんですね。


一応今回は限定版の方をAmazonで予約注文したが、発売日当日、想定以上に大層なブツが届けられてビックラこいた。
そういえば昔の輸入盤CDはこういうトール型のパッケージだったこともあるな。




しかもパンフレット付き。
いまだサブスクをやらず、CDを購入して音楽を楽しんでる私みたいな物欲主義者には嬉しい遊び心。




本作はコンセプト大作として、てっきりクイーンズライチの『OPERATION:MINDCRIME』みたく凝った演出のイントロで始まるのかと思いきや、いつものごとく前半はほぼ既出曲の詰め込み。SEとか全然ない。
まぁSF映画のサントラというイメージで作られたのかもしれない。

ただ、M1~M7くらいまでほんと捨て曲なしの充実した内容。
新録では、3人がエレガンス&エキゾチックに歌うシットリムードな「Starlight Dreams」が秀逸。 
最近ではシティ・ポップなレトロサウンドが心地よいアース・ウィンド&ファイアーみたいなサビの「Morning Cruising」が超お気に入り。
ラストの「メビウス」は、いかにもエンディングテーマ的な疾走感あるエピローグナンバーで、今後のさらなるドラマティックな展開を期待させる。


いやいや、今から続編が楽しみである。


それにしても、ここにきてPerfumeの近未来テクノポップなエンターテイメント性をおもくそ出してきたな。

原点回帰!と言ってもいい。


彼女たちの戦いは、まだまだ続く。

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Killers 永遠に

2024年10月28日 | やっぱりメタル!!
80年初頭よりNWOBHMの精神を崩すことなく、いまだメタル界のトップに君臨し続けるアイアン・メイデン。

そのメイデンの結成当時のヴォーカルだったポール・ディアノが66歳の若さで永眠。


1980年、ポール・ディアノはアイアン・メイデンの初代ヴォーカリストとして華々しいデビューを飾ったが、バンドがツアーで忙しくなるとプライベート(まぁ女がらみ)で支障が生じるという問題を抱えて、結局たった2枚のアルバムを残してバンドを去ってしまう。




メイデン脱退後も様々なバンドで音楽活動を続けてはいたが、まぁあまりパッとした活躍はなかったと記憶する。Killersの栄光にしがんでた印象も強い。

元オーバーキルのドラマー、シド・ファルクなども在籍していたPaul Dianno's Battlezoneでは、メイデンの頃とは別人の、ジェフ・テイトのような歌唱力を獲得していたのは驚きだった(実際クイーンズライチかと思たもん)。



容姿も早い段階から太り始め、頭髪の方もちょっとアレになってきて、気づけば同一人物とは思えない姿に変わり果ててしまっていたなぁ(晩年は車椅子)。

ブルースとポール。最近会ってたのかな?



アイアン・メイデンの音楽に触れたのは中学生の頃。
現ヴォーカリスト、ブルース・ディッキンソン期の「Aces High」のMVを目の当たりにしメイデンの虜になった。
なので最初に買ったアルバは5th『Powerslave』で、そっから遡って次々にレコードを買い求めていって、いよいよポール・ディアノがヴォーカルを務める2nd『Killers』を購入し最初に聴いた時は、ディッキンソンとの歌声のギャップにかなり戸惑った。
えらい投げやりでパンキッシュな歌い方やなぁと。そんでやたら「ア~~オ!」って雄叫びが多いなって。
とにかく全然タイプが違う。




まぁ自分、アイアン・メイデンに夢中だったのは中学生の3年間くらい。
アルバムは8枚目まででストップしてます。
その中で最終的に一番好きになったのが、やはりポールの歌う2nd『Killers』。


オープニングを飾るインスト「3月15日」からしてメチャメチャカッコいい。
そして間髪入れずスティーヴ・ハリスのリードベースがグイグイ曲をひっぱる「Wrath Child」が切り込むこの流れにホント興奮した。
16ビートを刻むクライヴ・バーの変則的なドラムワークも絶品。




ポーの小説からとった「モルグ街の殺人」は、個人的に当時一番好きだった曲で、大学の時組んでたバンドでスタジオで演奏した時はメチャクチャ気持ちよかった思い入れのある曲。




タイトル曲「Killers」の緊張感&疾走感といい、とにかくこのアルバムは演奏が物凄く尖がっていて、最初から最後まで息もつかせぬ勢いで駆け抜ける。
メイデンは1st『IRON MAIDEN』から「オペラ座の怪人」など、おもしろい構成の曲を演っていたが、まだバンドの演奏自体、地に足がついていないという状態だったと思う。
その不完全さを2ndで全て補い、1stで獲得した人気で勢いづいたまま完成させたのがこの名盤『Killers』って感じ。


ブルースのヴォーカルも好きだが、やっぱポールは粗削りながら初期衝動、若さゆえの強烈なインパクトがある。
まぁそういうのって、短命に終わるのが宿命なのかもしれない。


ただ、まだヘヴィメタルが黎明期だった頃の80年代初頭、ポールは我々多くのメタルファンに生涯忘れえぬ衝撃を与えたヴォーカリストのひとりであったことは間違いない。


R.I.P.  Paul Di'Anno
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