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AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

石&ASKA

2016年07月20日 | 名所ガイド、巡礼記
Salyuの崇高なる歌声を堪能する前に、明日香村で回っておきたいポイントがいくつかあった。

明日香村といやぁ、石舞台古墳をはじめ、酒船石、猿石、亀石、二面石、鬼の雪隠など、謎めいた古代石造物の宝庫である。
我が敬愛する手塚治虫先生も『三つ目がとおる』、『火の鳥』などの作品の中で、これらの石造物に関して様々な諸説を発表している。
ならばその諸説が本当がどうか、我々手塚ファンが先生の意志を継いで現地まで赴き、その真偽を確かめねばなるまい。




我々が最初に向かったのは、亀形石造物のある場所。
ユーモラスな亀の形をした貯水槽があるというので、これは是非見てみたい。

どうやら有料らしい。また今度にしよう。



田んぼのあぜ道で亀石発見。やっとかめ!(名古屋弁で「お久しぶり」という意味)
これは私は人類誕生以前の地球に飛来した旧支配者の類のなにかだとにらんでいる。



そして竹やぶの中でこの謎の石造物を発見!
酒船石という、どうやら古代人が酒を造るためにこしらえたものだとされているが、はっきりしたことはわかってないらしい。


だが、手塚先生の著書『三つ目がとおる』の第一集の第四話「酒船石奇談」の中では、これはある薬を調合するための調合台であると、古代三つ目族の末裔である写楽が説いているのだ。
17種の原料をこの台で混ぜ合わせ生成された汁を人間に飲ませると、人間は生きながら人形みたいになり、死ぬまで命令者のいいなりになるという。
日本各地の巨大古墳はそうやってかつての支配者が奴隷人形になった人間を役使させ建造されたのだと。

そう、私もそれを試そうとここまでやってきたのだ!
アブトル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベル・エス・ホリマク・・・・・・



しかし、私は一つ重大なことを忘れていた。
その魔薬の調合に必要な17種の原料とその生成の仕方は、二面石の仕掛けの中に記されてあるということを!



今から二面石のある場所まで行くと、とてもじゃないけど音話祭のSalyu開演の時間には間に合わない。
仕方なしに今回は悪魔の薬の調合はあきらめ、石舞台地区に向かった。


ここも有料らしい。17:00を過ぎていたのでもう閉まっていた。
でも、上の丘みたいなところから見えるらしい。



石舞台古墳。
不細工な墓だと言われているけど、この明日香の緑の大地に堂々とたたずむその悠然とした姿と名状しがたい形状は、なんだか圧倒されるものがある。
ちなみに写楽はこの古墳の中で石焼きイモを焼くという大事件を起こしている。



で、なぜこんなむきだしになったできそこないのような墓になったのかというと、手塚先生はこう考察されております。
ここに埋葬された王さまは、きっと中途ハンパな気持ちで死んでいったのだと。
(『火の鳥 ~ヤマト編~』より)

で、こんなディズニーアニメのような突貫工事が行われたのだと。



この石舞台古墳に埋葬されたとされる王。



明日香村は小学生の時の遠足以来だったと思うが、駐車場もタダだしなかなかいい所だ。
そして、いにしえの古代石造物に壮大なロマンを見出すのもおもしろい。
空気もおいしい。
また昼寝でもしにこよう。

アブトル・ダグラム・オムニバス・ノムニス・ベル・エス・ホリマクル・・・・・・


今日の1曲:『STONE FREE』/ THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE
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クレイジー・トレイン

2016年06月22日 | 名所ガイド、巡礼記
先週、私がただ手塚グッズを漁りたいためだけにわざわざ宝塚くんだりまで行ったと早合点してもらっては困る。
私はそこまでイタい手塚ファンではない。

行きしはJR線で来たのに、帰りは阪急の宝塚駅に向かったのは、そう、この時期阪急電車では手塚キャラのラッピングされた電車を運行させているという情報をキャッチしていたからにほかならない!
そのためにSONYのサイバーショットを片手にこの蒸し暑いさなか宝塚駅のホームで今か今かと待ち受けていたのである(全然イタくない!)。
いつ宝塚駅にその電車が到着するのかは皆目わからなかったが、まぁ1時間もすりゃ来るだろうと楽観的にホームのベンチでiPodでメタルをランダムに聴きながらのんびり待っていた。
しかし、待てど暮らせど手塚ラッピング列車はやってこない。もう何本の急行をやりすごしただろうか。
駅員が監視カメラで私を注視してたら、明らかに怪しい奴である。鉄道マニアにしては様子がおかしすぎるからな。
そうこうしてるうちにもう2時間は経過した。辺りもすっかり暗くなった。
そんなバカな・・・、ヤツはきっと来るハズだ!!

ついに意を決しホームの下の駅員室まで赴き、手塚ラッピング列車の運行時間を駅員に尋ねるというハメに。
するとなんと!手塚ラッピング列車は梅田駅~雲雀ヶ丘駅間でしか運行してない普通列車であることを聞かされア然ボー然リジーボーデン。
いやいや、なんで手塚治虫ゆかりの宝塚駅に停車しいひんねん!絶対来る思うがな。
駅員さんが次の急行に乗れば雲雀ヶ丘駅にちょうど手塚ラッピング列車がやってくると教えてくれたので一目散に上のホームに駆け上がり、急行に飛び乗った。


しかし、こんなビニール袋ぶらさげて構内ウロウロしてる者の身にもなってみぃ。



そして雲雀ヶ丘駅到着。
あった。これだ!アトムや!写楽や!鳳凰や!



電車内は広告すべてが手塚関連一色。まさに宝夢列車!



手塚マンガにも阪急電車がちょくちょく出てるみたい。ピノコも乗ったとか。



どういたしまして。



写楽も出てきた。
確かに宝塚駅に2時間待ちぼうけは疲れた。



梅田駅に到着して乗客がみんな降りて改札口へ行くのをやり過ごしてからじっくり撮影開始!

カシャ!



カシャ!



カシャ!



貨車!



今日の1曲:『Crazy Train』/ Ozzy Osbourne
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ガールズ、ガールズ、ガールズ

2016年06月19日 | 名所ガイド、巡礼記
またしても来てしまった・・・宝塚の手塚治虫記念館に。
このへんの道路が昨年あたり整備されて表の火の鳥像も入口正面近くに移動された。
いや、あいかわらず神々しい。コスモゾーンを感じるね。

しかしここに何回足を運ぶんだ?って、人生で3回目ですよ。
今記念館では「手塚治虫のヒロインたち」と題して手塚治虫が描いた女キャラクターをフューチャーした催しものが開催されてるが、別にそれが目的というわけでもなかった。




まぁ、ちょっとしたグッズ漁りっすね。ここってそれぐらいしか楽しみがない。
今回の催しにちなんだ特別限定ヒロイングッズコーナーも設けられてあった。



ちょっとパンキッシュなヘアーの手塚オタクと思しき外人さん2人が手塚キャラグッズのガチャガチャに興じている姿が大変微笑ましかった。




来館3回目にして初めてジャングル・カフェを利用してみた。



子ども向けに作られたんだろうが、どうも内装がハデすぎて落ち着けないんだよ、ここ。
私自身『ジャングル大帝』に全く思い入れがないってのも原因だろうが。



コーヒー豆は引き続き福田珈琲さんが卸してるみたいだ。
こないだ来館したときはまだ売られていたマコちゃん巾着袋に包まれたドリップコーヒーはもう売ってなかった。



1Fの資料コーナーにあるいつもすっとばしていたこの手塚作品年表を今回じっくり閲覧してみたのだが、手塚先生の生前のマンガ家人生の尋常ならざる多忙ぶりに改めて驚かされた。
手塚治虫何人いるんだ?みたいな。人間業やないでこれ。



特に1970年代の手塚先生の創作の爆発ぶりは凄まじいというほかない。
『きりひと賛歌』、『奇子』、『ばるぼら』など、ディープな大人向け劇画タッチのサスペンス中編傑作を立て続けに発表する傍ら、『鳥人体系』や『火の鳥 乱世編』などのスペクタル長編傑作を同時進行で描いてる!
80年後期の晩年に描かれていた『グリンゴ』、『ルードウィヒ・B』、そして『ネオ・ファウスト』の3本同時の構想といい(ただしいずれも未完)、手塚先生の無尽蔵ともいえるその研ぎ澄まされた天才的な構想力は、手塚先生没後、底の浅いありふれた大ヒットクソ人気キャラマンガ一本でだらだらと何十年も食いつないでる90年以降のマンガ家たちとは格が違う、違いすぎる!




で、「手塚治虫のヒロインたち」グッズ特設コーナーでこれ買った。
『人間昆虫記』のヒロイン十村十枝子カバー画のトートバッグ。
たしか『人間昆虫記』も70年作品。当時のフラワームーブメントの影響も感じられるサイケなデザイン。



今日の1曲:『Foxy Lady』 / The Jimi Hendrix Experience
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路地裏の散歩者 ~乱歩先生を訪ねて~ 夜編

2016年05月08日 | 名所ガイド、巡礼記
名張行く前に、以前に江戸川乱歩生誕地碑を巡礼された方のブログをいくつか参照したのであるが、みなさんだいたい私が前記事で載せたような(写真ポイントもだいたい一緒)昼間の名張をレポ―トしてるものばかりで、夜間レポというのは見かけなかった。
まぁみなさん私みたいにヒマやないからさっさと帰らはるんやろうけど。
そこで昼間、怪人二十面相のパネルの付いた街灯を撮影している時にふと思ったのである。
これは夜暗くなってからだと、また違った名張の貌が浮かび上がってくるのではないかと。

私は夜の名張を徘徊するべく、とりあえず足がヤバいことなっていたので町の中心部にあるじいさんばあさんしかいてないショッピングセンターでメシを食いながら足の回復、そして夜の帳が下りるのを待った。


やはり夜の名張は昼間とは一味違っていた。
古い旧家が多く並ぶ(中には廃屋同然のボロ屋敷も所々に点在していた)忘れ去られ時の止まったこの夜の名張は、乱歩先生が小説の中で描いた大正~昭和初期にかけての猟奇的な犯罪が起こることを予兆させる、あのあやかしの舞台そのものの雰囲気をとどめており、そのただなかをひとり徘徊する気分というのは、あたかも自分が乱歩先生の小説の中の妖しげな犯罪事件に自ら巻き込まれようとする好奇心旺盛な主人公になったかのようでございました。
いや~しかし、これはちょっとしたトワイライト体験でしたぜ。


昭和初期ぐらいに開業して、現在はすでに廃業したと思しきこの古色蒼然たる写真舘は、中でも実にいい雰囲気を醸し出していた。
ここはひょっとして今でも怪人二十面相の秘密のアジトなのではあるまいかとさえ思えてくる。



ここを通る時は、何度も何度も屋根の上を確認しないではいられなかった。
だってこの長屋伝いに今にも屋根の上を飛び跳ねる子供の体に大人の顔をくっつけた醜怪な不具者の姿が現れるのではないかと、気が気でなかったからだ。


実際この人気のない通りの向こうから小っさいオッサンが歩いてくる影が現れた時は、「出たーーっ!!一寸法師だぁーっ!」って、全身戦慄が走ったもんな。


名張地区では建物と建物の間の細い路地空間を『ひやわい』と呼ぶ。
そのひやわいを通って、まさに民家の路地裏に『江戸川乱歩生誕地碑』がひっそりと設けられているのである。



突如壁伝いに猫が現れたので、飛び上がらんばかりにビックリした。
この画像のブレはその動揺のためだ。
いけない。私は名張の夜の人外境のせいで、一種異様な妄想に捕われているのだ。
そして路地に怪しい人影が!!って、俺やんけ。ビビらせんな。




夜の江戸川乱歩生誕地碑広場。
ここには夜になると、地獄の道化師、夜光人間、青銅の魔人、電人M、黄金仮面、人間豹、鉄人Q、盲獣などの類がどこからともなくゾロゾロと集まってくるなんて奇譚がありそうではないか。



とまぁ、このように、同じ巡礼地を昼と夜と二回に分けてわざわざレポートするなんてのは、おそらく私が初めてであろう。
せっかく写真撮ったんで載せたかったってのもある。

でも、これからこの地を訪れようと思う乱歩ファンの方には、是非夜の名張を体感することをオススメしておきます。
さすれば、天井の節穴から毒を垂らして殺人に及んだ屋根裏の散歩者、内壁全面が鏡で覆われた球体の中に入って発狂した男、椅子の中に身を投じて奥さまのふくよかな体の感触を密かに味わっていた変態椅子職人などの犯罪的な心情心理がふつふつと感じとれるやもしれません。


それと、『二銭銅貨煎餅』。
この乱歩の処女作品名を拝借したシャレの利いたゴジョウダンのような煎餅は、山本松寿堂という由緒正しき和菓子屋で売られております。
(煎餅には小さな紙片が添えられていますが、「南無阿弥陀仏」の謎めいた暗号文は記されておりませんのであしからず。)


前ログ(『路地裏の散歩者』昼編)に掲載した名張の中心部の写真で、鳥居門の左横の紫ののれんがかかっている店が山本松寿堂さんです。


今日の1曲:『夜歩く』/ 筋肉少女帯
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路地裏の散歩者 ~乱歩先生を訪ねて~ 昼編

2016年05月06日 | 名所ガイド、巡礼記
赤目四十八滝巡りで大理石のようになり果てた重い足を引きずって次に向かった先は、ひとつ先の名張駅。
どうしてこのような辺鄙な処に向かったのかと言うと、それは江戸川乱歩先生に会いに行ったからにほかならない。
ハハ、滝巡りなどはついでのことだったのだよ。

そう、ここ三重県名張市は、かの猟奇探偵作家の江戸川乱歩先生がお生まれになった地。
つまり、この地に乱歩先生の白昼夢のような猟奇のルーツが隠されているってわけだ。
愛読者ならここを訪れないでどおする!

と、豪語してみたものの、私も実は最初はそれほど乗り気じゃなかった。
この地を探索した人(これがことごとくそれほど乱歩ファンでない人)のブログなどを参照に、名張の乱歩スポットをリサーチしていたのだが、あまりにも情報が乏しいのだ。
というか、何もなさそうな雰囲気なのだ。
まぁゆうたら生まれた地というだけで、乱歩先生自身ここで過ごした思い出は全然記憶に残ってなくて、先生にとっては「見知らぬふるさと」だったわけであります。
だから名張まで行ってあまりにもショボかったらあれなんで、今回むりくり滝巡りツアーを組み込んだわけである。


名張駅を降りて改札口を出ると、駅のすぐ真ん前に乱歩先生はたたずんでいた。



しかし、この名張という町はあまりといえば活気がない。
平日の3時過ぎってのもあったのだろうが、人がいなさすぎる。
駅前に一応乱歩像を立ててはいるが、その高名なる乱歩先生の名を借りて市民総出で町おこしをしようなどという野心は微塵も感じられなかった。

とにかく『江戸川乱歩生誕地碑』という記念碑がこの町のどこかに立っていると言うので、さっそく探索することに。
いちおうマップ画像を探偵手帳に保存してきたが、道が思いのほか入り組んでてわかりずらい。
なのでBDバッヂを来た道ごとに大量にばら撒かなくてはならないことになりそうだった。


どうやらここが街の中心部のようであるが、車はけっこう走ってるが人が全然歩いていない。



人が住んでいる気配すらない。



アーケード商店街の店の看板もボロボロで、その店名をとどめていないのがほとんど。
その荒びっぷりは、国から見捨てられた町といったところである。
ほんと人っ子ひとり歩いてない。もうほとんどゴーストタウン。


なんという心細さ・・・・・
私はまさに、見知らぬ惑星にひとり降り立ったストレンジャーの心情になっていた。
それにしても、さっきの余計な滝巡りで、あ、足が・・・足が・・・・


こ、この土蔵は・・・
乱歩先生が蝋燭灯して執筆作業にいそしんでいたという、あの土蔵でねべが?!
(乱歩先生が名張に住んでたのは生まれてから2年間だけです)



街灯二十面相を発見!
いくらやる気が感じられないとはいえ、こういうの見るとテンション上がってくるね。



案内看板を発見!もうすぐだ!
せやけど、どうも二十面相とアルセーヌ・ルパンをゴッチャにしてる節があるんよね。
まぁ一緒みたいなもんやけど。



第二の看板!もうちょいか?しっかしこれほんまわかりにくいわ。
最初見逃してだいぶ行きすぎてもてさっきの鳥居のとこ戻ってもーてたからな。



ついにきた!
ワー、なーんもあらへん広い空き地。



ほんまに民家の密集する路地裏にひっそりとある、なんや忘れ去られた広場って感じ。
たぶん本日(いや、今月?)の来訪者は私一人であろう。

まぁでも後ろの古家(多分誰も住んでへん)がいい味出してるじゃねぇか。



さて、どうしたものか。
とりあえず人間椅子Tに着替えて(誰に見られてる気配もなかったので)自撮りなどしてみた。



裏へまわると・・・・
オオ!乱歩先生のあのあまりにも有名な文言が!!



一応当時除幕式に参加したらしい乱歩先生と奥さんの写真も展示してあった。



広場のベンチに腰をおろししばらく足を休めながら、「ああ、俺はGWのさなか、何もないとわかっていて、なんでこんな広場にひとりで来たのだろう?まだ乱歩好き、あるいは人間椅子好きの彼女でもいれば同行してもらって乱歩デートなんて洒落たことができたのかもしれない。この広場で芋虫ゴ~ロゴロ遊びや人間椅子ゴッコなどという変態遊戯に興じれたかもしれない。
この数日間、中華食いに行ったり、シェフが狩猟した鹿の肉のパスタ食いに行ったり、島ヶ原の温泉行ったり、伊賀の忍者見たり、サンショウウオ見たり、滝巡りしたりしたけど、なにひとつとして心より面白いことはなかった。

うつし世はゆめ、よるの夢こそまことちゃん。

乱歩先生、私をあなたの想像した幻夢郷、パノラマ島に連れて行って下さい!」

などと、ひとり心の中でボヤきながら虚無感に耽った後、相変わらず人気のない町中の路地を重い足を引きずりながらトボトボ引き返していったのでした。




今日の1曲:『芋虫』/ 人間椅子
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滝川クリステル

2016年05月05日 | 名所ガイド、巡礼記
GW突入寸前にいきなり7連休を与えられ「ヤハァーーーっ!!」となったものの、これといって行きたいところもやりたいことも思い浮かばず、ま、とりあえず東京でも行くかと思い立ったものの、格安夜行バスはほぼ席が埋まっており、高い交通費払って東京行くにはあまりにも動機が乏しすぎた。

で、結局東京行きは断念し、意外と近場の名張(大阪出るのとたいして変わらん)の赤目四十八滝巡りでもしようかと思い立ったわけだが。

10時過ぎくらいに赤目口駅に到着。
ほんまなーーんもない見事な田舎。バスのりばには何組かのカップルや一匹青年、サラリーマン風の中年、外人など数人がいた。
まぁ全員滝巡り参加者の面々だ。だってそれしかない。




バスで約10分で赤目四十八滝門前に到着。
上へあがっていくと、まずタッキー&さんちゃんが我々を迎えてくれた。




日本サンショウウオセンター入口が入山口となっており、入山料をちゃっかり払わされた。




まぁでも世にも珍しいオオサンショウウオなどを間近で見れたのでよしとした。
いや~のそろのそりとした太古からのこいつら見てるとほんと心癒されますよ。
もう滝巡りなんかしなくてもいいんじゃねぇかと。Vektorのメンバーにも教えてやりたい。




そうも言ってられず、センターを出てとにかく山道をいく。
ほぼ石畳の山道は、私のEDWINの安物のカジュアルシューズには決してやさしくはなかった。




タキーーーっ!いや、キターーーっ!
赤目五瀑とされる最初のひとつ不動滝。



赤目牛を拝んで旅の安全と金運と女運を祈る。
この牛と赤目滝に関しての言い伝えみたいなんが書いてあったが、時間なかったんで読まずに先へと急ぐ。




赤目五瀑の次のポイント千手滝地点で早くも昼食に。にぎりめしをほおばる。
さっきバスに同乗してたお客さんらが次々に追い越して先へ先へと進んでいく。
いや、朝あんま食べてきてなかったんで。




次なる赤目五瀑ポイントは布曳滝。一筋の白い布のような滝だ。
さっき追い越された客どもをここで一気に抜き去りズンズン先へ進んでいった。
俺を見くびるんじゃねぇ!




これを登るのかよ!マジか!?まぁ滝は上から下に落ちるものだからね。



これも滝なのか?雨降滝ですって。
ここでなら修行も可能か。というより拷問か。北斗の拳でハーン兄弟が受けてた水滴のやつ。




こういう苔むした岩に密集して咲いている花に心癒されるのも一興かと。



スタンプラリーはやらなかった。
もれなくではなく抽選30名様プレゼントだったので。
入山料とって急斜面歩かされて、せめてさんちゃんクリアファイルぐらいくれてもええやろ。




滝川クリステル(コメントするの面倒くさくなってきてる)。



赤目五瀑最終ポイント琵琶滝。
ここでみんなだいたい足をとめて弁当食ったりしてた。
確かにここは秘境めいていて一番清涼感があって居心地がよかった。




14時台のバス到着までまだ余裕があったのでその先の四十八最終滝も一応拝みにいったが、見どころは琵琶滝までだった。
帰り道は下り坂多めなのに行きしにとばし過ぎたのがいけなかった。もう足が重くて重くて・・・さっき追い越した客にもどんどん抜かされていって。
中学の時の体育祭の400メートル走で最初に飛ばしすぎて後半えらい目にあったあの時の教訓を全く活かせなかったのを心から情けなく思った。

まぁでも、ロジャー・ディーンのジャケ絵を彷彿とさせる幻想的な滝のフォーリン、そして私の身体の中の邪悪なもの、不浄なる魂を洗い流すかのような、この絶大なる清涼感・・・・・・・・

ほとんど登山したみたいなもんで足パンパンなって精魂尽き果て、ほんま思いつきで滝巡りなんかするもんやおまへんわ。


お土産にサンショウウオのホルマリン漬け。かーちゃんよろこぶぞ!



今日の1曲:『山椒魚』 / 人間椅子
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マコちゃんフォーエバー

2016年04月18日 | 名所ガイド、巡礼記
本町船場センター街の喫茶スカーレットのレポ記事でも言っていた通り、ここの「珈琲は黒い魔女」のコーヒー豆を卸している福田珈琲株式会社さんが、4月28日をもってコーヒー事業を廃業されるということで、これは一度訪れておかねばと先日大阪西区新町にある本店まで行ってまいりました。
http://kuroimajyo.com/


もちろん目的はマコちゃんグッズ。
手塚治虫先生が考案提供した「マコちゃん」は、まぁここ福田珈琲のマスコットキャラクターなわけでありまして、ここの前オーナーさんが手塚先生と高校の同級生で、そのよしみでマコちゃんを描いてもらったってわけなんですね。
かつてたくさんあったマコちゃんグッズは今はほとんど残ってないと店のHPに書いてあったけど、コーヒー豆のパッケージでもいいし、とにかくなんかあるだろうと。


地下鉄降りて地上に出てなにわ筋沿いを適当に歩いてると一つ目の筋にすぐ緑の看板が目に入り店を見つけた。
なんや、サムソンの店の近所やないかい。これは彼にも教えてやらねば。




店に近づいて店内の様子を覗きこむと、ここはどうやら事務所兼ちょっとした近所の住民相手の喫茶も営んでいるようであった。
外のガレージにも席があって近所の住民と思しきおっちゃんが新聞片手にコーヒーをやっていた。



おそるおそる店に入ると、店には女性客がひとりコーヒーを召していた。
セルフサービス式らしかったが、ホットを注文するとカウンターにいたお婆ちゃんが淹れてくれるみたいだった。
淹れてくれている間、店内をキョロキョロ見まわしたり、商品棚をマジマジ物色したり、かなり怪しい客に映ってたに違いない。
しかも平日の真昼間に働き盛りのオッサンがリュックしょってひとりでこんな辺鄙な場所の店に入ってきたんだから怪しいことこの上ない。

本格ブレンドコーヒーがなんと一杯200円。安!まぁ卸店だからこその値段設定。
近所の人いいな。

マコちゃんの絵の入ったカップで本格ブレンドを召すこの幸せ・・・・・
も、サイコー!



コーヒー豆の計り売りっていうんですか?こういうのしたことないから。
つかこの樽欲しい・・・・




年代物の豆挽き機。歴史を感じる。



いや、これはアカンやろ。年端もいかぬマコちゃんにそんなこと言わせちゃダメ!



コーヒーを飲み終わって、いよいよ本題に。
事務してはる女性の方にマコちゃんグッズは何があるかをたずねると、やっぱカップソーサーぐらいしか残ってないとのこと。
あと、マコちゃんの絵の入った缶の円筒容器を店の奥から掘り出してきてくれた。


なんやかんや購入してビッグサイズのマコちゃんビニールバッグに入れてもらった時は興奮した。
も、サイコー!



コーヒー無料券ももらった。でもマコちゃんの絵が入っててもったいなくて使えない。



つか、今回はたまたま仕事平日休みがとれたので行けたんだが、ここ土日祝は営業やってなくて、もうおそらく閉店まで店に行けないかと。
残念。もう一度ブレンド味わいたかったな。


つーことで手塚ファンは是非。あと残り10日ですので。


今日の1曲:『今日の魔女信仰』/ Electric Wizard
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ヨハンソン

2016年03月22日 | 名所ガイド、巡礼記
クトゥルー神話などを読み耽る時に、サンマルク、ドトールなどにはよく足を運ぶが、元来シャレオツな喫茶を巡るなどという趣味は持ち合わせてはいない。
ただ、一度赴かねばなるまいと思っていた個人経営の喫茶店がひとつだけあった。

それは、大阪本町の船場センタービルのB2Fの地下食堂街にある「スカーレット」という喫茶店。
大阪出る用事があるときに寄ってみようと以前からずーっと思っていたのだが、土曜日は15:00に閉店してしまい、日曜・祝日は定休日でなかなかタイミングが合わなかったのだ。
しかしこの喫茶、ネットにもあまり詳しい情報が載っていなく、辿り着くまでかなり迷った。食べログというナビサイトに地図は載っていたが、ビルの地下2階なんてこともかかれてなかったし。
一番恐れたのが、もう閉店して営業してないのでは?ってことだったが、店の看板を発見したときは心からホッとした。




ここの喫茶店の存在は、私がTwitterでフォローしている手塚治虫先生のご息嬢であられるるみ子さんのつぶやきから偶然知ったのですが、まぁ純喫茶雑誌などにも取り上げられることのない商店街の商売仲間相手にひっそりとやっているという感じのほんとうに小さな喫茶店。




で、私がこの喫茶のどこに興味を持ったのかというと、まぁすでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、この喫茶の看板マスコットであるマコちゃんが実は手塚治虫先生が生前に考案したキャラクターなんですね。

実際店を発見した時は、想定外の規模の小ささとレトロっぽさに唖然。
でもものすごくかわいらしくていい雰囲気の店。



マコちゃんがいる!ステンドグラスの!やっと会えたね!



大阪のコーヒー豆の会社「福田珈琲」の以前の社長さんが手塚治虫先生と同窓であったことから、店のマスコットキャラを依頼し生まれたのがこのマコちゃんだったんですね。
ゆえにどの手塚マンガにもマコちゃんは登場してはおらず、本当にこのコーヒー店のためだけのキャラなんです。
つまり、手塚ファンの間でも知る人ぞ知るキャラなんですね。
まぁ宝塚の手塚治虫記念館に訪れたことのある方なら、マコちゃんの絵柄のはいった巾着袋に包まれた「珈琲は黒い魔女」っていう商品は見かけたことあるかと思います。


鏡にも窓にもマコちゃんが!



スカーレットの店のマスターは、よくいるナニワの初老のオヤジさんといったところ。
食べログにランチ店と書いてあり昼メシ時だったので「ランチてあります?」とオヤジさんに聞くと、「え?そんなんおまへんで。見ての通り小さい喫茶店でっさかい」と訝しがられた。
ネット情報にランチて載っていたというと、「それは向こうが勝手に書いたデタラメですわ。せっかく来てもろたのにすんませんな」とえらい申し訳なさそうだった。
ま、でもこの店に来ることが目的だったのでランチなどは初めからどうでもよくて、とりあえずトーストセットを注文。



写真見てもろてもわかるように、もう昔ながらの味。
トーストも、なんでこういう純喫茶みたいなところで食べるとこんなにもおいしく感じられるのか。
ブレンドはその辺のチェーン店とはやっぱわけが違う。コクがあるというか、美味。


私が手塚マンガファンでこの店に訪れたと告げると、オヤジさんはにわかに嬉しそうな反応を示した。
案外私のような客がこの喫茶に訪れることは滅多にないらしい。
ここのマスターもやっぱ幼少の頃に手塚マンガを嗜んできた世代の人で、店番を前のオーナーから譲り受けた当初は訪れるお客さんにこの店のマスコットが手塚治虫がデザインしたものであることを自慢してたらしいが、やっぱり反応が悪く「はぁ」みたいな感じだったので、次第に言わなくなったとか。
まぁ私みたいなファンからしたらたまらんのやけどね。

元々話し好きの人みたいで、その日は1時間以上もこのオヤジさんと手塚マンガ話やこの店の成り立ちみたいな話で盛り上がってしまった。
実はマコちゃんをこの店の看板キャラにするにあたって、手塚プロダクションとちょっと混み合ったややこしい大人の事情があったなど。
あとやはり、幼少の頃からリアルタイムで初期の手塚マンガに触れてきた団塊の世代の人と、私のように没後に中期~後期の作品に触れて感銘を受けた者とでは、手塚マンガに対する思い入れの観点や価値観が全然違うなということ。
オヤジさんにとっては、やっぱ今みたいにまだマンガとかほとんどなかった時代に『ジャングル大帝』や『アトム』に触れて、その幼少の頃のドギマギした興奮や記憶が強烈に残ってるんですね。
一方私のようなモダンなマンガを読んできた後追いで、しかも18歳くらいで手塚マンガに触れた者にとっては『鳥人体系』や『陽だまりの樹』、そして『火の鳥』らへんの作品に手塚の名作家たる一筋縄ではいかぬ構成力の凄さ、偉大さ、奇天烈さを感じるんですね。

この喫茶に寄る前に、梅田の丸善ジュンク堂の一角に設置された『手塚治虫書店』コーナーに立ち寄ってたんだが、そこで手塚マンガを一冊買ったらオリジナル書籍カバーをしてもらえたので、オヤジさんにそれを見せたところあまり反応が得られなかったことでも、やはり相当のズレを感じてしまった。

ロビタがいっぱいのカバーだぜ。



それでもその日、久しぶりに手塚マンガのことをこんだけ話せたことがほんとうに楽しかったらしく、店を出るときにオヤジさんがレジの奥から創業当時お客さんに配ったというマコちゃんの絵のはいった希少なマッチ箱をくれたときは感激した。

あと、オヤジさんが教えてくれた残念なお知らせがひとつ。
このマコちゃんの絵のはいった「珈琲は黒い魔女」という商品は3月いっぱいで生産中止になるとのこと。
http://kuroimajyo.com/
このマコちゃん巾着袋はなぜか家にひとつだけあったんだけど、だいぶ汚れてたので今回またこの喫茶で新しいのを購入。

にしても残念だ。
でもこの喫茶スカーレットが営業している限り、いつでもマコちゃんに会えるよね。
てなことで、手塚ファンの方は、是非一度かわゆくて情緒あふれるこの純喫茶に訪れることをオススメしておきます。




今日の1曲:『Coffee Shop』/ RED HOT CHLI PEPPERS
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西天満パノラマ島綺譚

2016年03月14日 | 名所ガイド、巡礼記
昨年、居心地のよかったいきつけのメタルバーが閉店してしまって、最近は大阪に寄った際にちょくちょく梅田の暗黒バーに足を運んでいるのだが、先日店に入るとけっこういっぱいの常連客で賑わっており、しかもその辺の普通のバーでありがちな俺の人生学的な興味もクソもない話題が中心となっていて、マスターはいじられキャラのひとりの客をひやかすことに余念がなく(以前もそれをやっていた)、かなりの疎外感を味あわされていた。
しかもBGMがアクセプトまがいのパワーメタルが中心で(こういうのダメなんだよな)、その日はマスターの気まぐれでそういう括りで流しているようで、私がボソっとリクエストしたメタルはことごとく聞き流されてしまった。
元々飲み仲間のなれ合い的な雰囲気が苦手で、音楽という共通の話題があるからこそこういった場所に来ているのに、音楽の話題そっちのけで常連客中心でワイワイやられるこの空気に私の我慢が限界に達するのは時間の問題であった。

本当なら他にいく所もないので朝までいるしかないのだが、始発まで2時間以上もあったにも関わらずいきなり席をスクっと立ちあがって会計を告げた。
当然「えっ?」という顔をされたが、そんなことお構いなしでお見送りも待たず足早に店を出ていった。

まぁ私が店を出ていく決心をしたのは、実はちょっと行ってみたいバーがあったからなのであるが。
その暗黒バーのトイレにそのバーの名刺が貼られていて、その妖気漂うあやしい店名が以前から気になっていたのである。

そのバーの名前は、パノラマ島。

学生時代、江戸川乱歩作品を貪るように愛読していた私には、なんと魅惑的な店名であることか!
おそらくミュージックバーというワケでもないだろうし、そこのマスターが乱歩好きで乱歩の作品名を拝借したという確証もなかったので、得体は知れなかったがとにかく行ってみることにした。
場所は西天満らへんにあるらしく、さっき暗黒バーでなんとなく場所を確認していたので、夜中の2時過ぎにいかがわしいラブホ街を通り抜け、ポン引きの勧誘をかわしながら、寂れた通りをズンズン進んでいくと、一際照明の明るい店舗があって近づいていくとそこがまさに探し求めいていたバーであった。

赤い窓枠に赤いカーテン。うん、雰囲気やよし。



バーは2階で営業しているらしく、壁一面赤く装飾された階段を上がっていった。

このドアの飾りに直面して、なにかしらゾッとする一種異様な戦慄を感じないではいられなかった。
もしやこの仮面の眼孔の奥からマスターが誰が来たか覗いているのではないかしら・・・・
そして、この扉の向こうには、一体どのような妖艶で犯罪的な世界が待っているのだろうか。



おそるおそる店のドアを開けると、マスターがひとり店でヒマそうにしていた。
水夫の格好をしており、名刺にも島長と書かれていてなかなか己の世界観を持っている人物のようだ。




とりあえず、江戸川乱歩好きで店名に惹かれて店を訪れてみたという旨を伝えると、確かにマスターも乱歩が好きで店名も乱歩の『パノラマ島綺譚』から拝借したものだということを話してくれた。
まぁだからといってこの店がべつに猟奇探偵趣味専門のバーっていうわけじゃなくて、あくまでバーの店名としてシャレているから採用しただけで、どのような客が来ても対応するごく普通のバーとのこと。
だから、身分を隠して怪しいエロティシズム遊戯に耽るなんて行事もないし、なにかしらペテン師めいた不可思議な犯罪に巻き込まれるなんてこともないみたいだ。
実際、私の後から入ってきた3人連れの酔っ払いの客なんか、窓際のソファ席に座ってただ食事をしにきただけみたいだったし。


案外シャレオツな雰囲気のバーで、お食事処としても機能している。



ちなみに店内のBGMでかかってたのはTHE WHOの『Tommy』。
マスター(島長)は非メタル派でプログレッシヴロックなども通ってなくて、あまり音楽趣味は咬み合わなかったが、やはり彼も筋少は好きらしかった。
江戸川乱歩を読みだしたのも、実は筋少の影響が強かったらしく、その辺は私と同じだ。
その夜はナゴム時代のあの放送禁止となった「ドリフター」の話で盛り上がってしまった。

マスター自身音楽に携わってきた人で、現在もオリジナルバンドの一員として活動しており、ステージでは道化のメイクを施すらしい。
やっぱりな。それは乱歩の『地獄の道化師』からインスパイアされたキャラに違いない。


店の書棚には春陽堂出版の江戸川乱歩全集がズラリと並べられていた。



春陽堂のは多賀新の猟奇的銅版画がほどこされた装丁で、私もこの全集を学生の頃集めていた。



太陽の塔が祭られてあったのは、たいへん心騒がされた。



いや、店のオシャ怪しい雰囲気といい、マスターの乱歩趣味といい、いたく気に入り申した。
あとこの店に足りないのは、人間椅子とキング・クリムゾンくらいかな。
いや、この店のBGMにクリムゾンの『太陽と戦慄』はすごく合うと思うんだ。
しかし、成り行きとはいえ、いい店を見つけたものだ。
これで始発まで過ごすいい逃げ場、いや、私の猟奇趣味を満たす格好の居場所ができた。

やった、やったぞ。やったやったーー。


そしてその2週間後、夜中の3時に己の所持している乱歩本や筋少や人間椅子やブルー・オイスター・カルトのCDを店に持ちこんで、カウンターに座ってニヤニヤしながらひとりソルティドッグをチビチビやっている私の姿があった。




今日の1曲:『パノラマ島へ帰る』/ 筋肉少女帯
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怒・怒・怒

2016年02月13日 | 名所ガイド、巡礼記
またもや平城宮跡の記事でまことにメンボクない。

いや、平城京歴史館スペシャルウィンター2016というのがあって、『奈良と火の鳥 ~手塚治虫が描いたやまと~』という、大変興味のそそられる催しものが近所の平城宮跡で開催されているとの情報を小耳にはさみましてねぇ。
手塚治虫の不朽の名作『火の鳥』jの中で奈良が描かれた“鳳凰編”、“ヤマト編”の原画を展示するという、まことに地味な企画なんですが、天気もポカポカ暖かい陽気だったし、まぁ何か得るものがあるのではないかという浅はかな期待を胸に、日光浴がてら車でこのだだっ広いだけの宮跡に馳せ参じたわけでございます。


ほんま、だだっ広いだけでっせ。



まずは東院庭園内にて自慢のiPodでブルートゥース飛ばして、このお気に入りマイアミサウンドポッドから耳触りのよいナンバーをBGMに『火の鳥 ~鳳凰編~』を読み耽る。



即身仏になられた良弁僧正に思いを馳せ、「宇宙のなかに人生などいっさい無だ!ちっぽけなゴミなのだ!」という悟りの境地に達したところで、朱雀門前の平城京歴史館へと赴いた。

やっぱり出た。



遣唐使船。仏師茜丸は夢の中でこっから落っこちて、その後の己の生まれ変わりの姿で鳳凰に出くわすのだ。



銀の鳳凰。茜丸はこれを見てさぞかしぬかよろこびしたろうな。



案の定、館内は基本撮影禁止。
まぁ予想はしていたが、中は奈良時代の風景をあしらったモニュメントだとか、東アジア史年表とか遣唐使の教材的アニメシアターなど、子供向けのアトラクションがほとんどで、極めてどうでもよかった。
『火の鳥』のコーナーは館内奥らへんで展開していた。
確かに手塚先生の原画が展示されてあった。
個人的に実は原画とかはそれほど興味ないんだが、敬愛すべき前世紀最大のマンガ家である手塚先生の肉筆で描かれた原画となると、やっぱそれなりに感じ得るものがあった。


なぜか吉備真備殿のパネルは撮影OK。



吉備真備とか、物語上地味な役柄のパネルはあって、なんで橘諸兄とか良弁僧正のパネルがないんだってはなし。
あぁ、真備は遣唐使として唐に渡った人物だったからか。
    


あとこれも。枠の中に入って君も遣唐使!ハイ、ポーズって、しょーもな!



コーナーの一角に、火の鳥の羽になぞらえたハート型の色紙が用意してあって、そこに願い事などを書いて火の鳥の画が描かれてある壁に貼り付けるシステムのようで、七夕の短冊よろしく来場した客の様々な思いのメッセージが書かれてるのを読むのはおもしろかった。
ヒョウタンツギの絵を描いてるものが数点、また「アッチョンブリケ」と書いたヘタクソなピノコの絵が描かれてあるのも見受けられた。
中には火の鳥のロゴを忠実に再現しただけのやつとか、ハングル文字で書かれてるやつもあった。
「ウォルター・ベッカーに会いたい」とか、「好きな人のとなりの席になりたい」などの純粋な個人の願い事が書かれてある中に、「お金をほしい」と明らかにアホそうなガキが書いた穢れたメッセージのもあって、このガキは来世はミジンコに生まれ変わって、その次はカメで、そっから永遠に人間には生まれ変わることはないだろうなと思った。
一番感銘を受けたのは、大人びたキレイな字で「原画が見れてよかった」と心からの感想が書かれた横に、メチャクチャ上手い鳳凰の絵が描かれてあった小学6年の女の子のメッセージ。いや、これにはコスモゾーンを感じないではいられかった。
この色紙ひとつで、マンガのヴィジュアルの古くささに囚われず、ちゃんと手塚治虫マンガの普遍的なおもしろさ、『火の鳥』の宇宙的奥深さを読みとれる聡明なお子様であることがわかろうというものだ。


館内からは船の甲板にも出れる。そしてそこから平城宮跡が一望できる。まぁやっぱだだっ広いだけやなと。



平城京歴史館限定のセンスのいい火の鳥グッズを密かに期待してたんだが、手塚治虫記念館のグッズコーナーで見かけたもんが数点あるのみだった。
アトムマグカップとか、奈良とビタ一文関係ないやろ!!(怒)

お、こいつはいいじゃないか!と思ったら・・・・庶民の懐事情考えろや!(怒)



ちなみにこの『奈良と火の鳥 ~手塚治虫が描いたやまと~』は、3月6日まで開催されております。
明日2月14日は劇場アニメ『火の鳥 鳳凰編』が上映されるらしいので一瞬行こかなと思ったが、バレンタインデーにアラフォーのおっさんがひとり平城宮跡にアニメ見に行くって、あまりにも悲しすぎるのでやめた。まぁ手塚アニメにはそれほど興味がないので。
2月28日には、鳳凰編での我王対茜丸の鬼瓦対決にちなんで、ミニ鬼瓦作り体験なんていうステキなイベントも催されるそうです。
どの鬼瓦作品が最も迫力があるかを競う真剣勝負!
レジ並んでて前の客がモタモタしてるとか、ヤフオク100円差で競り負けたなど、日頃の怒りを貯めこんでイベントに参加しよう!




なお、この鬼瓦対決に負けた側は、片腕を切り落とされます。



おう、鳳凰がむかえにきてくれたよの。



今日の1曲:『Hey Joe』/ Jimi Hendrix
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ナラヤン

2016年02月08日 | 名所ガイド、巡礼記
今回の奈良大立山まつりでは、四天王の山車バトル以外にも平城宮跡内で様々な奈良ならではの(これは奈良県民が必ず口にするフレーズ。だから気にしないで)催しものや展示、出店などが展開していた。

1日目の大極殿前ステージでは、年配の方たちが「ありゃさこりゃさ」と、ええじゃないかスタイルで踊る地味ーーなダンスが繰り広げられていた。
ちょっと前の方で椅子に座れる特別観覧席の値段は2500円。身内の者が出ててもPerfumeが出てても払いたくない。




鹿はすっこんでろ!



そのほかには、生首の展示。



おそらく竹から生まれてそのままひきこもりになって成長してしまったかぐや姫の成れの果てちゃん。



なにがでるかな?なにがでるかな?



ジャ~~ン!こりゃアバンギャルドだねぇ。



奈良県内のご当地グルメの出店ブース。
ラーメン屋には長蛇の列ができていた。
まぁこの寒さだ。当然だろう。500円とリーズナブルだったし。




1日目はラーメン。



2日目はカレーうどん。



今年初に開催された奈良大立山まつり。
賛否両論あるようだが、四天王の山車は(ねぷた祭りのパクリ感甚だしいとはいえ)色鮮やかで絢爛で迫力あったし、本格的な日本太鼓パフォーマンスも拝めたし、奈良ご当地グルメも堪能できて私個人としてはまぁまぁだった。


来年もまた来たいね。



今日の1曲:『彩(エイジャ)』/ STEELY DAN
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4人はアイドル

2016年02月05日 | 名所ガイド、巡礼記
仕事終わりに、週何回かは西大寺の奈良ファミリーの半額弁当を買いによく平城宮跡の間道を通って帰るのだが、先週ドシャブリの日に大極殿院の敷地内で、なにやら光る巨大な物体がうずくまっているのが垣間見られ心騒がされたが、その時はまぁいいやとそのまま弁当買って帰宅した。
その週の土曜日の新聞に、平城宮跡で四天王の山車が大暴れしている写真が掲載されていて、そうか!あのときの光る巨大な物体は四天王だったのかと!

どうやら「奈良大立山まつり」というものらしく、今年の冬初に開催された新イベントらしい。
奈良在住の姉の話によると、ほとんど青森のねぷた祭りのパクリで、それでいて岸和田祭りほどの盛り上がりもなくどこかこじんまりとしており、奈良県民の間では賛否両論だとか。
あのドシャブリの日が初日だったらしく、えらい幸先の悪いスタートになってしまって、お祭りスタッフやイベント出場者の方々が不憫に思えた。
2月2日まで催されていて、まぁ平城宮跡は私にとって散歩コースなだけであって、ここで時折開催されてる催事にはほとんど関心がなかったんだが、新聞に掲載されていた写真があまりにも色鮮やかで、仕事も最近ヒマになってきてほぼ定時で帰れるので、帰りにいっちょ寄ったるかという気になった。
その日は、タマキンが縮こまるような寒い日であった。


黄泉の国へと続く三途の川を航行する船に誘導されるまま、大極殿院に向かった。



持国天。東勝神洲を守護する。


いわゆるジョジョ立ちというやつか?



増長天。南瞻部洲を守護する。


スピーク・イングリッシュ・オア・ダイ!



広目天。西牛貨洲を守護する。


アイム・ユア・ファーザー!



多聞天。北倶廬洲を守護する。


めっちゃ怒ってるし。



実をいうと、今週2日連続このイベントに赴いており、初日は停車している四天王をひと通りカメラにおさめて、半額のオリジン弁当を買うため出店のラーメン食ってからすぐ平城宮跡を後にしたのだが、どうやら四天王の四基の山車は19時半頃、大暴れし出すとの情報を小耳にはさみ、これは見逃したなとその瞬間を目撃するべく2日目も足を運んだ次第である。


2日目もまたテキトーに四天王をカメラに収めて、その日はカレーうどんを食って休憩所で暖をとっていた。
すると、確かに19時半になると来場者がソワソワし始めたので、カレーうどんの汁を一気に飲み干してから大極殿院へ向かうと、四天王の足元にはすでに法被を着た者たちがスタンバっていた。

そして、大極殿前のステージから、ドンドコドンドンという狂おしいくぐもった太鼓の連打が聞こえてきた!



それが合図だったのか、東西南北の四天王たちが一斉に大極殿の方に向き出したではないか!

こ、こいつ、動くぞ!



続々と四天王たちが大極殿前に集結しだした。



ヤ~ヤド~、ヤ~ヤド~



ハイ、ラーメン!



サンキュー・アンド・グッナイ!



今日の1曲:『The Four Horsemen』/ METALLICA
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倉敷デニム&レザー

2015年09月30日 | 名所ガイド、巡礼記
年に一回、岡山のツレの別宅に集合するという恒例の「午後の旧連」の集い。
今年はシルバーウィーク末に日取りが決まり、いつもながらじょにい氏の提案で、せっかくだから倉敷観光をしてから集まろうということに相成った。


倉敷の前に岡山B級グルメを味わいに。
えびめしというものらしい。なかなかエゲつなそうな見た目だが、見た目ほど濃くはなく、なかなか美味であった。



その店でダラダラしてて、倉敷に着いたのは夕方の5時過ぎ。
空はすこし曇っていた。



江戸時代にタイムスリップしかたのような古風な町並みは、確かに情緒に溢れており趣きがあった。



倉敷では白鳥もサービス精神旺盛。いい感じに演出してくれる。
誰がどこ撮ってもええ感じの画が撮れますわ。



倉敷は、中学生の時の修学旅行以来。
思い出に残っていることは皆無に近く、現地に着いてプラプラ歩いてもなんの懐かしさもなかった。



でも、大原美術館の前に立った時、ハっとなったんだよね。
そういえば、ここで班集合写真撮ってもらって、同じ班のスラッシュ3バカトリオで「これヒーゼンのアー写めっちゃ意識してるやん!」ておおはしゃぎしてたんだよねー

HEATHEN
    

まぁでもその場にいた連中にそのこと説明しても、彼らはヒーゼン自体を知らないから、ひとりノスタルジックに浸るしかなかったんだよねー


倉敷のメインストリート?「デニム・ストリート」にやってきた。
つか倉敷がデニムのメッカて知らんかった。NWOBHMのバンドマンもここによく訪れたのか?
その奥の突き当たりに仙ちゃん記念館があったがもう閉まっていた。



その通りではデスラーのように青ざめた肉まんが売られていた。
あまりにもおぞましすぎるので、食べる気にはなれなかった。



名状しがたい色のアイスクリームは食ってみた。うん、見た目とは裏腹に美味。



なんでかアイビーホテルの中央庭園みたいなところで晩メシなんにするかとかの相談でダラダラと過ごしてしまい、



倉敷の町はすっかり暗くなってしまった。まぁ17時到着ってのが遅すぎたんだ。



倉敷ゲゲゲの妖怪館行きたかった・・・・



くらしきトリックアート迷宮館行きたかった・・・・



つか倉敷ってところは、オッサン団体がゾロゾロと観光するような所ではないなと今回思った。
せめて女の子連れてとか、あるいはひとりで行って気の向くまま喫茶に入ってクトゥルー本読んだりとか、そういう所なんだと。
まぁでもうちの連中の誰かが言い出さんと、こんな所へ行こうなんて発想はまず自分には生まれない。
そういう意味で、この連中とつるんでるのは非常に楽でありがたいと思っている。


土産。両者ともパッケージにつられて買った。
MOMOTARO×JEANSコラボ缶がいい。よくみると桃太郎がジーンズはいとる。



今日の1曲:『Breaking The Silence』 / HEATHEN
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コレクター

2015年09月26日 | 名所ガイド、巡礼記
石仏巡りで汗かいてまともに昼食も食っておらず疲れたので、「cafe瑠璃」というオサレな店に寄ってみた。
http://cafe-ruri.net/

外から様子を窺っていると、すぐに朴訥な好々爺風のマスターが出てきて、「どうぞどうぞ」と我々を招き入れてくれた。
おそるおそる中入ってみて、筋金入りのレコードコレクターの経営者の店だとわかった。




昨年新築オープンしたばかりらしく、中はほんまピッカピカ。防音壁も完備。



膨大なSPレコードのコレクション。そして様々な種類の蓄音機。
ほとんど個人の娯楽部屋といった感じ。



マスターが実際にゼンマイを巻いて蓄音機でSPレコードをかけてくれた。



再生中。この針の摩擦音といい、当時の録音空間そのままの生々しい音色。ウッ、ノスタルジック!

実際の音色♪

オーダーしたマスター手作りピザも美味であった(値段も程良い)。



帰り際に店の壁際に並べられている数々のレトロコレクションを物色してると、マスターが寄ってきてうれしそうに話しかけてきた。
年代物のオルガンがあって感心してたら、「それはヤマハに社名が変わる前に製造されたもんでねぇ・・・・」と、実際フタを空けて「ファ~~~」と鍵盤をおさえて音も出してくれた。



まぁ定年退職後、貯めたお金でコレクション自慢がてら始めた店という感じなのかな。
(あるいは閉店時間が日没というこの百姓生活習慣的あいまいな営業時間からして、多分この辺の農家の土地持ちの方だと予想される)
隠居して、片田舎で自分の好きなコレクションに囲まれたオシャレな喫茶を営んで、クトゥルー本に耽ったり、旧友たちを呼んだりして音楽や会話を楽しむ・・・・
男のあこがれである。

店内では常に上品なクラシック音楽。高価なコーヒーカップ。
ここ最近入ったカフェの中で一番の極上贅沢空間だった。
そして私はその日エンジェル・ウィッチのTシャツを着ていた事を激しく後悔した。


今日の1曲:『ANGEL OF DEATH』/ ANGEL WITCH
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仏マニア

2015年09月23日 | 名所ガイド、巡礼記
加茂町東南部の当尾の里一帯には、いろいろユニークな石仏たちが点在しているということで、今回は浄瑠璃寺参拝がてら、石仏マップに載っている石仏ポイントをいくつか回ってみることにした。

さて、どんな石仏がでてくるかな?(みんなついてきてよ)


まず、彼は我々を山門前で迎えてくれた石仏。んちゃ!



これらは浄瑠璃寺の本堂の裏の山際に並べられていた石仏たち。



だから、ブタネコロボットはすっこんでろ!



浄瑠璃寺を出て岩船寺の方角に向かい、その辺で車を降りて野山を徒歩で巡ることにした。




ん?仏?どこに?


これはどうやらこの巨岩に仏さまが線彫りされてる弥勒仏線彫磨崖仏というものらしい。
ほら、薄っすらと・・・・・(ついてきてる?)


気を取り直して・・・・

山道を延々テクテク下っていき緑のアーチをくぐって、ああ気分はグリーングリーン♪



キタ!今回のハイライト仏!
わらい仏でござい!



え~と、その傍らにねむり仏というものがあるハズなんだが・・・・・


えっ!これ?!いや、ほとんど戦場のメリークリスマスのデヴィッド・ボウイ状態ですやん。



仏仏仏仏仏仏仏仏仏仏仏仏仏仏仏・・・・・・・



ここらへんでもうええやろ。


今日の1曲:『菩薩』/ Steely Dan
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