AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

イット・バイツの限りなき挑戦

2009年04月09日 | プログレッシヴ草稿
私にとってSHM-CD第一号となったIT BITESの最新作「THE TALL SHIPS」。
安い輸入盤にしようと迷ったけど、HMVの日本盤にはIT BITESのファミリーツリーの冊子がついてくるという噂を聞きつけ、通常盤より200円高いだけだったのでSHM-CD購入にふみきったのだが、商品が届いてみるとその特典が付いてなくって逆上して壁をおもくそどつくハメになった。痛かった。

そんなやり場のない私の憤りを、IT BITESのこの最新作は見事に払拭してくれました。
20年のブランクを全く感じさせないどころか、洗練されたプログレッシヴさとポップさをより全面に打ち出し、その両要素が絶妙なバランスで溶け合った壮大なスケールのプログレッシヴ・ハード・ポップの傑作というべき名作に仕上がっており、昔からの熱心なIT BITESファン達が「完成度としては過去最高のデキ!」と大絶賛していたのもうなずけました。

ただねぇ~、私はフランシス・ダナリーのVoに対しての思い入れが強すぎるため、本作を聴いている時頭の中でついついヴォーカルラインをフランシスの声に入れ替えて、「やっぱりVoがフランシスだったら・・・」などという、考えてはいけないことを考えてしまい、ノスタルジックな気分に陥るのだった。

IT BITESは私にとって、プログレポップ(ポンプ・ロック?笑)というより一風変わった異端ハードロックという捉え方をしていて、フランシスのあまりにも個性的でアクの強いヴォーカルに、ファンキーでトリッキーなギターがそういう唯一無二のIT BITESらしさを大部分担っていたと思うのです。
もともとプログレポップ嗜好があんまりない私がこれだけハマったのは、フランシスの魅力によるところが大きかったのではないかと。

新Vo&Gのジョン・ミッチェルは、なるほど確かにフランシスに声が近いという印象はあるが、私には“タイプが似ている”とまでは思えなくて、まぁプログレポップファン好みのする良質の爽やかヴォーカリストという感じですね。
だから、楽曲も以前よりストレートなプログレポップナンバーが6割を占めている感じがします。
まぁ(IT BITES - フランシス・ダナリー)+ ジョン・ミッチェルという計算式に対する当然の答えが出たアルバムといったところですな。
昔のIT BITESに一番近いと感じたのは、コーラスハーモニーがユニークな“Great Disasters”。このIT BITES特有のコーラス技!これぞThat's Bites!IT BITES!!
“The Wind That Shakes The Barley”などは昔ながらのIT BITES的要素とジョン・ミッチェルの柔軟なヴォーカリゼーションが絶妙にマッチした素晴らしい例で、彼らの相性のよさを見事に証明している。
ただ、ラストの13分にも及ぶ超大作だが、あまりにもベタな起承転結に、もろクイーンなコーラスは正直聴いてて恥ずかしくなった。こういうのはフランシスだったらやらんだろう。

いやいや、それでも新生IT BITESの復活作としては会心のデキである。とにかくどれも楽曲のクオリティーが高く、メロディーラインなど、やはり個性的で素晴らしい!
全てのプログレ・ポップファンはもちろん、最近のDREAM THEATERの音数の多さとヘヴィさにうんざりしてきた方にもオススメしたい。

そして彼らの20年振りの復活と、“限りなき挑戦”に盛大な拍手と京都名物八橋を送りたい所存である。



今日の1曲:『Great Disasters』/ IT BITES
コメント
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