超人日記・作文

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">夢の効用</span>

2009-03-12 23:27:47 | 無題

夢には多大な関心を寄せてきた。心理学や精神分析の本も読んだ。ユング派はヒントにはなる。
夢は自分が忘れていることに気づかせてくれることがあるように思う。ジョージ・ハリスンの夢を見た次の日、インドに行ったギリシアの聖人伝を読んだりすると、昨日の夢は前触れだったのかなと思ったりする。
夢占いの本も読んでいる。いちばん詳しいのは、不二龍彦著の、学研の「決定版夢占い大事典」である。不二龍彦氏は虎に咬まれる夢は出世の兆しだと言うが、夢で虎に咬まれたその後目覚ましく出世した覚えもない。つまりこの本はあまり運命の予測にならないが、夢に対して人が持っている俗信や常識的イメージとはどのようなものか教えてくれる。
夢は自分の潜在的興味が向かっている方向を先取りするところがあるようだ。
自分が心の奥で何を欲しているかをイメージで提示してくるのだ。例えば私は夢の中でディオニュソスの巨像を茂みの奥に見たことがある。そのイメージはディオニュソスについての長い文章を導いた。
夢にはプラスの部分と、自分がふだんいやだと思っていることを繰り返し見せるマイナスな部分と両方あるようだ。最近、電車の料金をどんどん割引してもらって楽しく家に帰る夢を見たが、その後気に掛っていることが次々に片付いた。
明恵上人は自分の夢を仏教の修行の進み具合を測る物差しとして用いた。明恵上人にとって夢は仏の世界との交流手段なのである。夢で潜在的な現実と交流することに興味があり、その意味では明恵上人には愛着があり、京都の山寺の高山寺に行ったとき、明恵がかわいがっていた犬の置物のレプリカを買って、机の横に置いてときどき眺めている。「昨日見た夢の続きも知っている、山寺で買った明恵の犬の置物」という短歌を書いてみたりした。ギリシアではアルテミドロスの「夢判断の書」が国文社で出ている。これも運命の予測にはならないが、古代の俗信がわかる珍しい本だ。夢の効用は、本や学説よりも自分の経験と照らして利用するのが、いちばん当てになるようだ。



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