近年、タロウマンというキャラクターをTVで見掛ける。
岡本太郎の太陽の塔と、ウルトラマンを足した様なヒーローもどきである。
太陽の塔で余りにも有名な岡本太郎だが、実際本人も、絵や彫刻も
キャラクターが際立っていた。
「芸術は、爆発だ!」と叫ぶCMも有名だが、
「グラスの底に顔があっても、いいじゃないか」という特製グラス付きの
ウィスキーのCMも、印象的だった。
その、岡本太郎の自伝を中学の頃、買って読んだ。
それが、この画文集『挑む』である。
この自伝の我の強さが、思春期の心を鷲づかみした。
日本の学校教育に反発し、漫画家の岡本一平、歌人の、かの子という芸術家夫婦に教育された
太郎は、青年期にパリに留学した。
語学の覚え方がまたすごい。小学校低学年のクラスに
入れて貰い、子どもたちと遊びながらフランス語を一年で習得。
パリ大学とソルボンヌ大学の聴講生となり、アレクサンドル・コジェーヴ
の講義に出て、アンドレ・ブルトン、バタイユ、ラカン、カイヨワ、バルテュスらと付き合い、
マルセル・モースから民族学を学ぶという信じられない青春を送る。
パリで前衛画の個展を開き、「ピカソはヨーロッパのオカモトタロウと呼ばれているのか。」
と言ってのけた。これには度肝を抜かれた。絵はヘタでいいんだ、とか人には嫌われるべきだ、
とか、迷ったときは必ず絶望的なほうを選んで来た、などの名言も多い。
今思い出しても強烈な個性が異彩を放っている。反骨精神のエネルギーの塊である。
〇座るのを拒む椅子まで生み出したはみ出し者の燃えるかたまり