超人日記・作文

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

徒然俳句・輪舞曲

2024-09-30 08:05:04 | 自作俳句
幼少の雲の遠さや巴里の秋
墓標まで登る途中の彼岸花
童顔の様なかたちの木の実かな

信号の無き車道なり秋の蝶
残されし糸瓜炒めと後半生
月の夜消し忘れたるテレビの間

秋涼や薄きジャケツが役に立ち
秋桜がオレンジ色に町を染め
唇は柘榴の色や旧校舎

里の奥落ち葉の宿に人疎ら
秋の園身を反らしつつ輪舞かな
木枯らしに舞い散る落ち葉赤子の手
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岡本太郎「挑む」を読む

2024-09-29 00:03:29 | 無題
近年、タロウマンというキャラクターをTVで見掛ける。
岡本太郎の太陽の塔と、ウルトラマンを足した様なヒーローもどきである。
太陽の塔で余りにも有名な岡本太郎だが、実際本人も、絵や彫刻も
キャラクターが際立っていた。
「芸術は、爆発だ!」と叫ぶCMも有名だが、
「グラスの底に顔があっても、いいじゃないか」という特製グラス付きの
ウィスキーのCMも、印象的だった。
その、岡本太郎の自伝を中学の頃、買って読んだ。
それが、この画文集『挑む』である。
この自伝の我の強さが、思春期の心を鷲づかみした。
日本の学校教育に反発し、漫画家の岡本一平、歌人の、かの子という芸術家夫婦に教育された
太郎は、青年期にパリに留学した。
語学の覚え方がまたすごい。小学校低学年のクラスに
入れて貰い、子どもたちと遊びながらフランス語を一年で習得。
パリ大学とソルボンヌ大学の聴講生となり、アレクサンドル・コジェーヴ
の講義に出て、アンドレ・ブルトン、バタイユ、ラカン、カイヨワ、バルテュスらと付き合い、
マルセル・モースから民族学を学ぶという信じられない青春を送る。
パリで前衛画の個展を開き、「ピカソはヨーロッパのオカモトタロウと呼ばれているのか。」
と言ってのけた。これには度肝を抜かれた。絵はヘタでいいんだ、とか人には嫌われるべきだ、
とか、迷ったときは必ず絶望的なほうを選んで来た、などの名言も多い。
今思い出しても強烈な個性が異彩を放っている。反骨精神のエネルギーの塊である。

〇座るのを拒む椅子まで生み出したはみ出し者の燃えるかたまり
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徒然俳句・凱旋門

2024-09-28 00:03:33 | 自作俳句
深々と心を洗う虫の声
後半生真知に映る流れ星
石像に眠りしままの黄金虫

秋の森木菟眠る奥に入る
秋の宵一つ二つと柿を剥く
秋の野に幼き蜂と戯れる

柘榴の実余りの赤に目を逸らす
秋満ちて樹液滴る町の奥
秋思う空の絵筆が美の故郷

やがて来る冬を知らずや野紺菊
月落ちて目覚めし人に秋の虫
剥き栗や凱旋門を歩みつつ
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日々の随筆・啄木と寺山

2024-09-27 00:03:29 | 無題
寺山修司著『啄木を読む』は一冊の本にまとめられているが、
実際は、他に、「太宰・中也を読む」や、「鏡花を読む」
「乱歩・織田作之助・夢野久作を読む」「江戸を読む」も
収録されていて、一冊丸ごと啄木論ではない。
そういう、嘘つきなところも含めて、寺山らしいと言える。
この本の中で、一人の歌人で一つの時代の青春を
代表させることができたのは啄木までだった、と説き、そうした意味では、
啄木は「最後の歌人」であり、以降、啄木以上に歌人らしい
歌人は出現しなかったと、寺山は言う。
少年時代の啄木は、「ふるさとを愛しながら、ふるさとにいることが
できない」という矛盾に悩まされていた、と寺山は言う。
その点では「誰か故郷を思わざる」を書いた寺山も同じだった。
都会に出て、改めて思い出す、故郷とはそういうもの、という
寺山の強烈な家出論に通じるふるさと観である。
啄木の「いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば
指のあいだより落つ」という歌を挙げて、故郷の柱時計と、
故郷を出てさ迷っている自分の砂時計の対比を連想している。
「大いなる彼の身体が憎かりき その前にゆきて物を言う時」という歌の
大いなる彼の身体とは、やがて来る次の時代を指していると彼は言う。
「われ泣きぬれて 蟹とたわむる」情景を詠んだ啄木は、
自分の悲しみを愛していた。その啄木を、憧れを隠しつつ、寺山は見ていた。

恋人にわれは昭和の啄木と胸張って言う寺山の自負
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徒然俳句・秋燕

2024-09-26 00:03:07 | 自作俳句
秋の曲わが革命は荷が重し
秋館取り壊されて夕陽雲
バレエ部の秋大会や強き脚

雷鳴の響きのあとに秋時雨
黄葉を踏み散らしつつ胸が鳴り
わが胸の汽笛を誘う秋北斗

青空の深みを目指す秋燕
鎮魂歌秋口ずさむ人虚ろ
残業を終えて見上げる天の川

故郷やさ迷い歩き柿実る
天国は探せば遠し稲雀
迷い雲銀河に消えて夜寒かな
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