リボル・ペシェクとチェコ国立交響楽団のマーラー交響曲全集を聞いている。
高価だが、音質もいいし、演奏も時に溌剌、時にしみじみと感興深い。
半分ぐらい、ライブ録音。特に6,7,8.9,10番アダージョは拍手も入り、臨場感がある。
地味と言えば地味なマーラー演奏だが、ノイマンやマーツァルが好きな人だったら、
かなり楽しめる全集であることはまちがいない。
1番4番5番以外は2枚組でじっくり聞かせる。
セーゲルスタムのような圧倒的感動演奏ではないが、心静かにマーラーの情感を味わいたい人にはうってつけの演奏である。
ゆっくりと、旋律を愛おしむように丁寧に演奏している。
独自のアーティキュレーションも取り入れられ、意外な驚きがある。
基本的にばら売りされていたCDを新たに装丁を作り直さずに四角い箱にプラケースのまま詰めただけの仕様で、嬉しいような、安易なような開封したときの拍子抜けがあった。
私のようにじっくりしみじみとマーラーの旋律や質感を味わいたい人には最適な渋い全集である。
ライブゆえの演奏の傷を云々する人もいるが、私には全く気にならない。2枚組の時の曲割りがよく考え尽くされた親切な作りとなっている。値段以外はお勧めのマラ全である。
ゆっくりとその旋律を愛おしむ深い淵から響くマーラー