77年11月に発売された ぷらいべえと
以来
オリジナルアルバムとしては
明日に向かって走れ
以来
6月に社長に就任して
フォーライフの建て直しに
着手
2足のわらじを履いて
の東奔西走の日々
アーティストでありながら
むしろ裏方の仕事にのめり込むように
表舞台から
身を引こうとしていた時期でもある。
浅田美代子さんとも結婚されて
第2次吉田拓郎の幕開けでもあった。
激しい青年期は
75年つま恋で燃焼し、
その後フォーライフレコードで
次の自分のスタイルを模作しつつ
このアルバムを発表した頃
世間では
ソフト&メロー
なる
音楽の波が
ブームとして
激しさ
メッセージ
など
時代を熱く語るなんて
暑苦しい詩や
歌 曲調なんかは
徐々に
飽きられてきていた。
いわばニューミュージックが呼び名と
その括りが定着してきて
人々の間に
聴いていて心地よいものを求める
そんな空気感が
安定的に広がりを見せてきた。
オシャレな音や
歌詞が
時代受けするようになってきた。
そんな中
戸惑いながらも
その雰囲気を感じつつ
他人に提供曲の仕事で
時代を感じ取っていた
吉田拓郎さん。
キャンディーズだったり
太田裕美さん 梓みちよさん
木之内みどりさん
森山良子さん
他 提供曲を世に送ってる。
変わりつつある時代の風は
確実に
75年を境にして
決して
拓郎さんたちにとっての順風には
ならなかった。
事実 裏方に周り
原田真二さんのプロデュース業
そして、
フォーライフレコードの立て直しで
色物アーティストを多くレコードデビューさせたフォーライフ。
なりふり構っていられなかった
そのプライドをすててまで
フォーライフレコードを守るという選択肢に奔走しながら
世に送り出した アーティスト 吉田拓郎のアルバム作品
「大いなる人」
ファンの僕は待望だったし、
オリジナルアルバムということもあり
期待大だった。
アコースティックなものに
アコースティックな音に飢えていた
こともあった。
よしだたくろうが
吉田拓郎に変わった
フォーライフからの
表記
果たして音作りも変わってしまったのか?
レコードに針を落とすと……
1曲目 「あの娘に逢えたら」
軽いR&Bのリズムにのって
スイングするように
気持ちよさそうに歌う
拓郎さんがいた。
隠れた名曲だ。
カラオケでよく歌う今でも好きな歌。
アルバムアレンジは
はっぴいえんど の鈴木茂氏
このアルバムから
本格的に拓郎さんとのバッキングや、アレンジを徐々に濃密に担当していくことになる。
このアルバムのイメージが
「深夜」のイメージ
夜の静寂に
繰り広げられる物語
静かに部屋で深夜
ステレオから
このアルバム曲が流れるのは
なかなかおつなものです。
2曲目 「未来」
そのアルバムがいいか
悪いかは
1曲目でわかる
は
僕の持論で
また、それを決定付けるのも
2曲目であって
正しく
ダメ押し的ないい曲。
「未来」
後の
「ローリング30」
に松本隆さん作品の
「恋唄」「言葉」
という名曲が出てこなかったら
この「未来」が
それに取って代わらず歌い続けられたのだろうか?
と思えるほど
名曲のスローバラードなのだ。
作詞作曲吉田拓郎のもとで
やさしいラブソング
夜 しっとりと聴きたい1曲だ。
3曲目 「カンパリソーダとフライドポテト」
都会の女と田舎ものの男
を比喩的に表した
タイトル
だそうな
当時ラジオに
精力的にプロモーションで出演し、
アルバムセールスをみずから
繋げようと
アーティストと営業を兼ねてた。
シングルカットにもなり
この歌を押しているんだと
……
あまり好きじゃないタイプをシングルカットしたんだなと
当時思ってたりした。
イントロで流れるケーナの音色が
切なくさせる。
4曲目 「アン ドゥ トロア バイバイキャンディーズ」
言わず知れた
提供曲 このアルバム発売前に
キャンディーズの解散のニュースが……
切ないバラードが
解散ということで尚更箔がついた形で
際立った曲として、自らもcoverして
メッセージソングとしている
さよならキャンディーズと歌ってる。
1番綺麗で可愛く歌もほんとに上手くなっていったアイドルグループ
だったあの頃のキャンディーズ。
僕は「やさしい悪魔」より
拓郎さんの提供曲ではこちらが好き。
5曲目 「乱行」
ブラスサウンドが重く厚く
イントロから響く ソフトタッチのR&B
全体的にソフト&メローをフィルターにかけながら
しっかりR&Bを効かせる
拓郎さんのルーツ音楽として
聴くことが出来る。
B面 1曲目
6曲目 「悲しい気持ちで」
これも効果的にブラスサウンドを入れてのアレンジ。
皮肉タップリの歌詞が拓郎節だ。
7曲目 「おいでよ」
このアルバムの中でしっかりじっくり
聞かせる ラブバラードのR&B
おい ! でよぉ
という歌い出し
「おい!」って呼ばれてるような
歌い回し
「おい! 出よう」
同伴者を一緒に店から出ることを促すようなそんな言葉使い
と似た
歌い方。
おい! でよぉ~
8曲目
「あなたを愛して」
あのケンとメリーのBUZZ
への提供曲
歌い出しの音が低い
低い
拓郎さんの曲つくりは
音階が乱高下する
低いところから高いところまで
音域 音階が幅広く
下降旋律もあり
非常に難しいと思う。
ミドルテンポの歌いやすい
ラブソング。
これも結構好きだなぁ
でも
歌いづらい~
9曲目 「大いなる」
アルバムタイトル曲ではなく
「人」が抜けている。
大いなる人とは誰ですか?拓郎さんのことですか?
当時インタビューでよく聞かれてましたっけ…
なんだったんでしょう?
憧れの対象 ?
大いなる人になれたなら……
大いなる人生を全うできたなら……
願望なのでしょうか?
この曲だけが唯一 アコースティックギターで、バンジョーが入り
フォーキーな仕上がりとなっている。
こんな曲を沢山聞きたかったと
あの頃の僕は思った。
10曲目 「歌にはならないけれど」
アルバムラストの曲
拓郎節 呟くように
叫ぶように
思いと感情を上手く吐き出すよう
な歌詞をR&Bできっちり
締める。
アルバムがコンセプトアルバムのように
言葉で叩きつけるような
強烈なメッセージはもう
影を潜めた代わりに
音つくりを通して
表現してる新たな吉田拓郎さんの音によるメッセージアルバムだと
認識した。
比較的おとなしめなイメージだけれども
裏方に専念してる間をぬって
発表されたアルバム
としては
いい出来になっている。