【物流新世紀】(1)ネット通販が変えた物流 アマゾンの破壊力と宅配業界の曲がり角 (2/5ページ) - MSN産経ニュース
2009.7.7 21:53
アマゾンなどネット通販の事業拡大は、配送を受け持つ宅配業界にも波紋を広げた。
堺センター稼働にともなう宅配業者選定では、受注業者が熾烈(しれつ)な争いを演じた。「業者が示した最も高い入札額は、最低価格より20億円上回った」(業界関係者)との声もある。
(中略)
日通総合研究所経済研究部研究主査の佐藤信洋氏は「産業の軽薄短小化で貨物量の伸びは経済成長率を大きく下回っている。物流業者は成長力のある市場をめざしており、通販市場は有望な分野だ」と指摘する。
野村総合研究所の予想によると、平成21年度のネット通販市場は旅行などサービスも含めると7兆4千億円で、20年度の6兆2200億円から約19%拡大。25年度には11兆7100億円に達すると予想され、低迷の続く百貨店、スーパーを横目に、業績は順調だ。
国土交通省によると、年の取り扱い個数のシェアはヤマト運輸(38・7%)と佐川急便(33・4%)の2強で7割を超える。市場が低迷するなか、3位以下の宅配便業者は生き残りをかけて経営戦略の練り直しを迫られている。
業界3位の日本通運と4位の日本郵便は共同で新会社「JPエクスプレス」を設立、今年10月には「ゆうパック」と「ペリカン便」を統合した新ブランドを立ち上げる。
UPSやフェデックスなど海外企業の参入も活発化しており、競争激化をきっかけに業界の勢力地図が塗り替えられる可能性も出てきた。
物流業界の中でも消費者になじみ深い宅配業界。淘汰(とうた)の波は押し寄せるのか。「物流新世紀」のもう一つの側面が、成熟期を迎えた業界から浮かびあがる。