「目立たない船長に」「そろそろ若手ではないと実感」 宇宙飛行士の星出彰彦さん会見詳報
14:14 産経新聞
2020年に日本人で2人目となる国際宇宙ステーション(ISS)船長への就任が決まった宇宙飛行士の星出彰彦さん(49)は6日の会見で、「目立たず、縁の下の力持ちの立場になりたい」などと抱負を語った。冒頭の発言と主な一問一答は次の通り。
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「今年は日本実験棟きぼう打ち上げから10年。日本の宇宙開発にとって大きなマイルストーンだったが、この節目の年に搭乗が決定し、うれしく光栄だ。日本は技術力でISSに貢献し、いろいろな研究や技術発展に寄与できた。2019年にはラグビーW杯が日本で、私が搭乗予定の20年には東京五輪・パラリンピックが開かれ、選手は記録や勝利に向けて挑戦する。私もほかの飛行士や関係者とスクラムを組んで、ISSだけでなくその先の宇宙探査に向けても、いろいろ挑戦したい」
−−船長は自身でも目標としていたのか
「日本人では若田光一飛行士が既に船長を務めたが、とてもじゃないが目標が高すぎ、特に自分の中では目標にしていたことはない。ただ、私自身も2回の飛行で船長に仕えたし、若田飛行士などとも地上の業務で接していて、大変さ、仕事や人柄に興味を持ってみていた。私自身がなぜ選ばれたかは正直、分からないが、そろそろ若手ではないというのが実感。あまり認めたくないが、ベテランの域に到達した年になったのかな。新しい飛行士に、自分のときはこうだったと伝える立場になってきたと少し、感じていた」
−−どんな船長になりたいか
「船長にもいろいろな個性がある。彼らの良いところを見つつ、ただ私ができることと、できないことがある。強烈なカリスマ性をもって引っ張るのは、私のスタイルではないのでは。船長として責任は持つが、各飛行士にある程度任せ、責任を持たせたい。ある意味で、目立たないリーダーだったらいい。メンバーがしっかり仕事をして、リーダーが縁の下の力持ちの立場になりチームが力を発揮すれば、それが一番かな。また、いい意味で笑顔を絶やさないチームになったらいい」
−−将来の月探査などが議論されている。今回の飛行は、従来の経験のときとは宇宙開発の段階が違うのでは
「まだ私の滞在中の実験は決まっていないが、将来の宇宙探査に向けての技術実証に少しずつ入っているだろう。例えば生命維持装置など将来遠い宇宙に行くときに必要になる技術や、人体への影響などに関する実験を行うことになるのではないか」
−−米国の新しい宇宙船に搭乗する可能性もあるが
「まだはっきりしないが、新しい宇宙船に乗ることには興味がある。私の前に野口聡一飛行士も飛行するので、2人で新しい宇宙船に乗れるといいなと思う。新宇宙船の運用を理解したい」