『絵本で 娘に プロポーズ』という新聞のタイトルを見て、思わず記事を読むことにしました。朝日新聞のニッポン・人・脈・記というシリーズに掲載された記事でした。<親になる 子になる>という里親や養子縁組をした親子の関係を特集したシリーズもので、連載6回目の記事でした。
プロポーズは、絵本作家のあいだひささんが、養子として育ててきた我が子に、血がつながった親子でないことを告知する際の 愛を込めた思いでもありました。娘さんが3歳の誕生日を迎えた時に、あいださんは手づくりの絵本をつくって贈り、その中で「ずっとずっといっしょ」というプロポーズの言葉を伝えました。
実の子ではないことを告知するのは、本当の親になるためにいつかはくぐりぬけなければならない、とても苦しく心が痛む行為なのではないかと思います。
あいださんは、40年以上、里親や養親を支援してきた岩﨑美枝子さんの、「真実告知はプロポーズと同じ。『あなたは私たちの宝物なんだよ』と肯定的に言わなければ」という言葉が印象に残っていて、絵本にして伝えることを考えたとのこと。
プロポーズは、相手のすべてを受け入れ、生涯に渡って人生を共にすることを約束する言葉でもあります。『ずっとずっといっしょ』という言葉から、宝物である我が子への愛と いつまでも共に生きていくことを約束する 親としての思いが、ストレートに伝わってきます。
娘さんの心にも、このプロポーズは 温かく そして しっかり とどいたことと思います。
4歳になった時に、娘さんは(出版された絵本の中では、なつかという名前の女の子)ぽつりと「私もママのおなかから生まれてきたかったな」と言ったそうです。あいださんは、岩﨑さんの助言を思い出し、ワンピースの中に娘の頭をもぐりこませ、おなかから生まれるまねをさせました。娘さんは「おっぎゃあ」とはしゃいだそうです。
このことから、あいださんは年齢に応じて繰り返しつたえることが必要なのだと身にしみて感じ、毎年のように誕生日に手づくりの絵本を贈っているそうです。
血がつながっていない親子だからこそ、血がつながっている親子以上に乗り越えなければならない辛く苦しいことがこれからもたくさんあるのではないかと思います。でも、こんなに娘さんのことを愛し、細やかな心遣いのできるお母さんですから、ずっとずっと幸せですてきな親子関係をつくっていくことと思います。
もしかすると、血がつながっていることだけがよりどころとなり、日々の親子関係が冷たく希薄な家庭もあるのではないでしょうか。実の親が我が子を虐待して死なせたり、餓死させたりする悲しい事件もありました。
親子のありかたについて、深く考えさせられた記事でした。
子どもが幸せな時は、親も幸せな時。子どもが幸せな時は、みんなが幸せな時。
家庭でも、社会でも、未来の主人公となる子どもたちが大切にされる日々でありたいものてず。