昨日の新聞の天声人語に、宇宙滞在連続167日の日本記録を土産に国際宇宙ステーションから無事生還した古川聡さんの、言葉が取り上げられていました。
~「重力を本当に感じます。重力のお陰で座れますから」「冷たくて新鮮な空気。息ができる空気が周りにたくさんあるのは素晴らしい」
無重力の中で長い時間を過ごしてきたからこそ感じる重力の力。宇宙ステーションでは味わうことのできなかった空気の新鮮さ。宇宙服を身に着けないで息が吸えるという 空気があることの素晴らしさ。地球から離れたことのない者にとって、その実感あふれる言葉から、改めて地球という惑星に住むことのできる幸せを感じることができました。
古川さんの言葉の他に、同じ宇宙飛行士だった山崎直子さんの著書「夢をつなぐ」にある言葉も紹介されていました。
~「どんな存在も、決してムダというものはなく、世の中のすべてのものには意味がある」「どんなに悲惨な災害が人々を襲おうとも、飢餓や貧困、差別や格差が厳然としてあろうとも、それでも生きている世界は美しい。」
だからこそ、生きるということには確かな意味があり、命あるものの世界は尊く美しい……そんなメッセージが伝わってくるような気がします。3.11があったことでなおさらそう感じてしまうのでしょうか。
山崎さんの言葉を読みながら、かってブログで取り上げた詩を思い出しました。高階紀一さんの「小さな質問」という詩です。
小さな質問
高階 紀一
すいーっ と 空から降りてきて
水辺の
草の
葉先に止まると
背筋をのばし
その子は
体ごと
神さまにきいた
なぜ ぼくはトンボ゜なの?
神さまは
人間にはきこえない声で
その
トンボに言った
ここに今
君が必要だから
「どんな存在も、決してムダというものはなく、世の中のすべてのものには意味がある」という山崎さんの思いを詩に表したような気がします。
ムダどころか、この世界になくてはならない必要な存在、大切な存在が、あなたであり、私であり、トンボであり、命であり、地球上のすべての存在なのではないかと思います。意味があるからそこに在るのであり、そこに在るからこそ意味ある存在なのでは……この詩を読みながら、そんなことを深い所で実感しています。