欧州競馬を観ていると、あのエネイブルも、今年の英オークス馬のラヴも、深い芝の中を、前半1000mはゆっくり進み、ラスト800mから1000mのロングスパートを競い合うレースが主流。一方の米国競馬は、ケンタッキーダービーが典型ですが、クッションの効いた砂土の上を、スタートから先頭を競い合って、そのままゴールまで懸命に走り切った馬が勝つというレース。
言い換えると、欧州の競馬は「スタミナとタフさ」を追求する世界、米国競馬は「絶対的なスピード」を追求する世界。さて、世界の競馬を進化させる血脈を育てているのは、どちらの競馬なのでしょうか?
これはもう、米国競馬の圧勝と言ってよいと思います。日本の主流血脈であるサンデーサイレンス系も、キンカメのミスタープロスペクター系も米国血統ですし、何と言っても、欧州競馬の今を支配しているサドラーズウェルズ⇒ガリレオも、米国血統のノーザンダンサーから出ているサイヤーラインです。
にも関わらず、日本競馬は凱旋門賞制覇の夢を追い続けています。欧州競馬には、もともと日本馬以外、外から挑戦してくる馬がいません。もうそろそろ、唯一神みたいに、欧州競馬を仰ぎ見るのをやめる時期が来ていると思います。コントレイルやデアリングタクトには、ドバイや香港カップ、あるいはアメリカのBCターフも視野に入れては? と思います。
種牡馬としての価値は、凱旋門賞よりもドバイ、香港C、BCターフの方が上になる時代になりました。2400mのスタミナ・タフさよりも、1600~2000mのスピードがより高く評価されるからです。日本の競馬サークルも、そろそろニューノーマルへ、意識変革が求められていると思います。