【昨日の続きです】
昨日は、朝鮮半島こそが、民主主義の将来を左右するキーになることを申し上げました。本日のテーマは台湾です。この台湾も同じく、民主主義の行く末を決める歴史の分岐点となる候補であります。
「台湾はもともと中国の一部であり、ここが中国本土と統一されたところで、日本に関する影響は限定的」などと考えていると大きな間違いを起こします。もともと中国の一部というのは正しいのですが、「じゃ、沖縄は?」「八重山諸島は?」についてはいかがでしょうか?
琉球王国はそもそも独立した海洋国家でしたが、中国との関係では明・清とは冊封関係、すなわち臣下の関係であり、また17世紀からは薩摩の直接支配を受けた国でした。つまり主筋が2つある存在であり、明治以降、その領有については日本と清国で長きにわたり協議事項となっていました(実効支配は日本でしたから、今の北方領土問題とは異なりますが‥)。
明治12年に明治政府が琉球王国を強制併合して沖縄県とした後、それに異を唱える清国との協議が続き、明治13年には日本から清国に対し、八重山諸島・宮古島は清国、沖縄本島は日本、という案を提案してほぼ合意しかけましたが、清国内部や沖縄からの反対もあり調印には至りませんでした。その後、日清戦争が勃発、結局は明治28年の日清講和条約で台湾が日本に割譲されたため、先般の協議内容はうやむやになりました。
現在、対中国、対台湾の間で領土問題は尖閣諸島だけですが、もし台湾・中国が統一される事態になった場合、中国は日清戦争前の話をぶり返してくるのは必至と考えるべきです。
いやいや、台湾が中国へ帰属する訳はない、第一、アメリカが許すはずはない、と言う方がたくさんいると思います。確かにそのとおり。もし、台湾が中国に統一されれば、それはアメリカが負けたことと等しい。しかし、アメリカが考える優先順位が変わって、例えば、朝鮮半島を取るか、台湾を取るか、と考えて、台湾を譲歩するということは有り得ます。
実は2017年の秋あたりは危なかった、という人が何人かいらっしゃいます。評論家の寺島実郎氏は、この時期、トランプと習主席の間で、北朝鮮をめぐってビッグディールが成される可能性がある、と色んなところで講演されていました。寺島さんのビッグディールとは、習主席が北朝鮮の核開発を終わらせる見返りに、アメリカが台湾から手を引くかもしれない、という意味だったと思います。
万が一、台湾が中国本土と統一されれば、民主主義の最前線は、単に尖閣諸島だけでなく、八重山諸島(与那国島・石垣島・西表島等)と宮古島そのものになります。我々日本人が、その矢面に立たされることを認識しなければなりません。もっと、民主主義の危機について、僕らは深刻に考えるべき存在であり、追い込まれつつある存在だということを忘れてはなりません。