6月11日朝、中国海軍の空母「遼寧」が、沖縄本島と宮古島の間を通過して、東シナ海から太平洋に展開したそうです。こうした行動は2016年と2018年に次いで三回目。
公海上を通過するだけですから、何かこちらから抗議する内容のものではありませんが、明らかに牽制行為と言えます。前にも書きましたが、日本と中国にとって、沖縄本島と八重山諸島・宮古島の間というのは、一つ間違えれば国境ラインとされていた場所です。
簡単に振り返ると、琉球王国はそもそも独立した海洋国家でしたが、中国との関係では明・清とは冊封関係、すなわち臣下の関係であり、また17世紀からは薩摩の直接支配を受けた国でした。つまり主筋が2つある存在であり、明治以降、その領有については日本と清国で長きにわたり協議事項となっていました。明治12年に明治政府が琉球王国を強制併合して沖縄県とした後、それに異を唱える清国との協議が続き、明治13年には日本から清国に対し、八重山諸島・宮古島は清国、沖縄本島は日本、という案を提案してほぼ合意しかけましたが、清国内部や沖縄からの反対もあり調印には至りませんでした。その後、日清戦争が勃発、結局は明治28年の日清講和条約で台湾が日本に割譲されたため、先般の協議内容はうやむやになりました。
現在は、名実ともに日本国領土であり、日米安保の枠内ですから、バタバタと慌てる必要は全くありませんが、もし台湾の領有問題が片付いた時、中国がこの地域に対する領有権を強く主張してくることは間違いありません。今からでも、日本人として、八重山諸島(石垣島・西表島・与那国島・竹冨島など)および宮古島を真剣に守る意識を持たなければなりません。
冒頭の中国海軍の牽制行動は、彼らが尖閣諸島の先に、八重山諸島・宮古島の領有まで見据えたものであることを忘れてはなりません。