★3時10分、決断のとき
原題:3:10 to Yuma
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベール、ローガン・ラーマン、ベン・フォスター、ピーター・フォンダ、他
2007/アメリカ
この作品は、50年代の「決断の3時10分」のリメイク作品です。
ポスターから西部劇だとわかりましたが、
果たしてどんな物語かわからず、
ましてや誰が出ているのかも。
途中から、この映画は昔観たことあるなと思いましたが、
全く思い出せずでした。
アリゾナの強い陽射しと黒い影が美しいほどに強烈で、
荒野に生きる人間の視線もギラギラ鋭く輝くようで、
しだいに濃密な世界にすっぽり引き込まれました。
西部劇の定番シーンは揃っています。
果てしなく続く荒野、
小さな牧場、
土地をめぐる嫌がらせ、
駅馬車を狙う悪党たち、
お尋ね者と賞金稼ぎ、
小さな街の酒場と女、
保安官、凄い早腕拳銃、
そしてライフル、
アパッチ族などなど。
お楽しみ西部劇の全てのパーツが揃えてありますが、
物語はいわゆる勧善懲悪ではありません。
西部劇の出来は、
最後の戦いのシーンとその結末具合、
そしてラスト映像の消え行く印象で決まると思っています。
ボクがみた思い出の西部劇はほぼ間違いなく
この手順を壮絶に劇的にそして感動的に描いています。
この作品も全ての西部劇パーツを完璧と言えるほど
みごとに再生していました。
美しくあり、
懐かしくもあり、
哀しくもありです。
映画を観ながら体が震えた体験は久しぶりです。
この作品には、胸の奥から揺さぶるような、
理屈を越えたものが描かれています。
男が香る映画です。
クリスチャン・ベイルとラッセル・クロウの
二人の男の演技にはどこか
「あうん」の呼吸みたいなものを感じさせます。
《1日2ドルの稼ぎ 》
一日2ドルの稼ぎを要求。
ついでに息子の分も要求しています。
この映画の時代は南北戦争直後ですから、
2ドルというのはどれだけの貨幣価値があるのでしょうか。
極悪犯の護送報償は200ドル。
この額もいかほどのものか、
まったく検討がつきませんが、
家族を守るためにこの200ドルを求めて物語は展開するわけです。
さらにお金では買えないもの、
お金以上のプライスとは何か。
追いつめられてこそラストに決断した男のプレミアムパフォーマンス。
愛おしい物語でした。