★日本の印象派・金山平三 展
兵庫県立美術館
金山平三と言えば、《港町神戸》、《雪景色》、そして《芝居絵》である。
初夏のような神戸へ行って来ました。
初めて金山平三の名前を知ったのは、美術雑誌に掲載された《芝居絵》を観た時です。
色彩が美しいのはもちろんですが、《品の良さ》を感じたんです。
こんな絵を描く人は、《普段はどんな絵を描いているんだろうか?》
震災前のことですが、以前の《兵庫県立近代美術館》へ観に行き、
そこで初めて《彼の風景画》に出会いました。
以来、《日本の風景画》といえば、一番に金山平三を思い浮かべます。
今回は、兵庫県立美術館が現在の地に移転・開館10周年を記念して企画されたもの。
作品は一応、制作年代順に展示してあります。
東京美術学校時代の作品を観る限りは、
《誠実さと緻密さ》は感じますがいわゆる《画家としての才覚》みたいなものはほとんど感じません。
卒業後、自費でフランスへ留学。
順を追ってみていくと、しだいに彼の絵にしっかりとした変化を感じ取れます。
いろんなものを吸収して《物の見方、つかまえ方》に大きな変化があり、
いわゆるメジャーな絵かきと遜色のない作品をしっかり描いています。
びっくりしました。日本人は誠実で几帳面ですね。
あちこちで描いたスケッチはほんとに美しいです。
印象派の作品の特徴である《影の部分の多彩な色彩》がみられます。
美しい、一枚ほしいです。
数年で帰国、以後制作した作品の質はそんなに大きく変わっていません。
《物の捉え方》が確実に自分のものになっていた証拠です。
ただし色彩がモノトーンに傾いていったのは、いかにも《日本の風土》を的確に表現しているように感じました。
それが《雪景色》に繋がっていきます。
雪の積もった部分が白一色の面で描かれ、
その他の部分が線で描写、
そこから彼の作品の主要な構成は《面と線》と極めて単純な絵画となり、
僕には一種の《抽象絵画》のように観えました。
今回は新たな発見です。
《金山平三は面と線の画家である》。
疎開地山形の、《最上川の雪景色》は、情感に流されず、面をしっかり抑え、とても構成的です。
その後、生活の場とした《大石田の村の人々》の姿が登場するようになると、《芝居絵》にも繋がる魅力が生まれます。
生活者の感覚が表現されと同時に、白と黒の世界は神秘的な雰囲気さえします。
そして面と線に筆跡という東洋人らしい感性に磨きがかかります。
この頃の作品はどこか力が抜けて観ていて愉しですね。
・《大石田の最上川》1948年
《雪景色》もいいですが、
僕は《港町神戸》などの《都会の街並み》を描いた《風景画》が特に好きです。
《面と線》が魅力的になり、さらに鮮やかな色彩が加わって、ただただうっとりするばかり。