映画を観た。
★少年メリケンサック
監督:宮藤官九郎
出演:宮崎あおい、佐藤浩市、ユースケ・サンタマリア、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城、他
2009/日本
メリケンサックを握りしめ、眉間にしわを見せるあおいちゃんのポスターを観て、「コメディアンヌとしての「宮崎あおい」はどうなんだろうか?」とそれこそ半信半疑で観に行った。 宮藤官九郎が監督と脚本を務めるコメディ。昔は美系、いまや単なるオッサンと化したパンクバンドが、全国ツアーに繰り出して抱腹絶倒の騒動を巻き起こす! レコード会社に勤めるかんなは、ネットで少年メリケンサックというパンクバンドのライブ映像を発見。すぐに契約に向かう彼女だったが、現れたのは汚いオヤジたち。なんと、その動画は25年も昔のものだった。
で、結果です。
ものすごく張り切って、ほんとに一人で健気に頑張るんだけど、コメディアンヌにはなりきれない、かわいいあおいちゃんだった。
汚いしかも臭さ充満のオッサン達に混じって、あおいちゃんのピュアーな笑顔だけを一際目立つように創られた、まさに抱腹絶倒の映画として創られたんだけど、ボクはすっからかんとは笑えなかった。 こんなにくせ者役者ばかり集めて、ありえない話に加えて、さらに予想不可能な騒動を繰り返し間違いなく面白い映画なんだけど、冷ややかに見極めようとする自分に気づいた。ちょっとがっかり。どっぷり浸たりきるような笑いがほしかった。やはり、宮藤官九郎さんの行き当たりばったりしき脚本がギクシャクしたのかもしれない。そういう意味では、ちょっともったないなとも思う。
ラスト、宮崎あおいを、あのポスターのように眉間にしわをつくり、絶叫パンクバンドやらせたら、映画史上に残る最高傑作の一つが生まれただろうと思うと惜しい。雰囲気として、そこまで持っていけそうだったのになぁ。
最高に美しくも可笑しなシーンは、宮崎あおいと木村祐一の二人が、港で腰掛けて語り合うところ。縮こまった醜男木村と赤いブーツのすらーとした宮崎あおいの二人の姿をとても対照的に映している。ひょっとして、美と醜をハイコントラストで描くことが、クドカンさんの狙いだったのか。
ところで、この映画のパンクって、一体なんなんだ?