★「ニキフォル」知られざる天才画家の肖像
原題:Moj Nikifor
監督:クシシュトフ・クラウゼ
音楽:バートロメイ・グリニャク
キャスト:クリスティーナ・フェルドマン、ロマン・ガナルチック、ルチアナ・マレク、他
2004/ポーランド
カメラがポーランド南部の町クリニツァの雪景色を美しく華麗にとらえている。
雪の舞う映像は哀しいくらい美しい。
哀切漂うメロディとともに絵画的な映像美を堪能。
ニキフォルの名前を初めて知った。
彼の作品は生の芸術アール・ブリュット(Art Brut)というカテゴリーに入るのだそうだ。
人が描く絵画そのものを分類することはおかしい。
絵画表現は思考すること、
対話すること、
そして生きることであり、
人間の尊厳に関わることだからだ。
そういう意味では画家は皆同じ地平に立っている。
私はかつて自閉症といわれる子供たちをサポートする仕事してたことがある。
彼らの描く線とニキフォルの描く線には共通性がある。
色彩の扱いにも共通性が見られるように思う。
意志を伝える線は力強く、
色彩は鮮やかであり、
表現は明快である。
そして不思議と皆温かな世界が描かれている。
私にはそれは言語表現のもどかしさと、
自らが受けた社会の理不尽さへの抵抗のようにも感じられる。
ニキフォルの言葉がおもしろい。
「色彩のことは色に聞け」