駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

今にわかる

2010年03月15日 | 身辺記
 いつ頃からか、昼食後往診に行くまでの間、昼寝をするようになった。きっかけは忘れたが、今では欠かせないものになっている。
 なぜか、そうすると身体が楽だからだ。気が付かないうちに体力が落ちているのだ。
 実は落ちたのは体力だけでなく脳力も落ちている。患者さんの名前を想起しにくくなった。ほらあの人と、いつも診ている患者さんの顔と病気は浮かんでくるのに名前が出てこず、事務看護婦にしょっちゅう尋ねている、情けないを通り越して恐ろしくなるほどだ。
 見た目は暦年令よりも若いらしく五、六歳若く見られることが多いのだが、中身はちゃんと年を取っている。年を取るとは、どんな感じかと聞かれれば、衰固乾乏帰懐と言ったところか、なあに今に分かると言っておこう。教授や親父が昨日聞いたことをまた聞くので、どうかしているなあと思っていたが、今では成る程こういうことだったんだとよくわかる。
 尤も、衰固乾乏帰懐は幸い今のところ穏やかに感ずる程度で、後期高齢者の患者さんのように辺りを憚ることなく、兆しているわけではない。
 そう強がっても、あれはこれだったのかと得心しつつ、不惑を過ぎて張り切っている病院の部長連中から疑問のまなざしを向けられると、なあに今に分かると嘯いている。
コメント (4)
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