駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

痩せるには

2010年03月19日 | 診療
 痩せることはなかなか難しい。本人の心がけだけでは容易に実現できないのが常だ。
 それでも標準より10kg多い程度の肥満者は、何度も口うるさく指導すれば時間は掛かるがかなりの人は数キロ痩せられる。それでも駄目な人は栄養士の一対一の指導を受けてもらう。そうすると八割方の患者さんは数キロ痩せることが出来る。しかしながら中太りでない大太りの患者さん、男性で90kg超、女性で75kg超の方は、沢山肥って居るのだから4,5kg痩せるのは簡単そうで実は意外に難しい。何度厳しく注意しても痩せられない、あまり厳しく言えば来院されなくなる。栄養士の指導も中途挫折が多いのだ。
 まあそんなわけで、BMIが30を越えた患者さんには気長に対している。根比べで対峙していかないと通院が途切れて元も子もなくなるからだ。
 それがある日突然、こちらが焦るくらいどんどん痩せ始めることがある。なにか隠れた悪性疾患でもと検査しても異常はなく、重い口を開かせれば殆どは不幸に見舞われた強いストレスの結果なのだ。本当に辛い大きなストレスは10kg15kgの体重減少をもたらすことがある。こういう時は、ほれご覧痩せられるじゃないかと冗談も言いにくく、ああそうですかと見守るしかない。残念な事にと言っていいかどうか、たいていの場合ストレスが和らぐとある程度元に戻られることが多い。
 だから、水を飲んでも肥ると真顔で反論される超肥満者も真剣なら痩せられるはずなのだと秘かに思っているのだが、それを上手く受けいれられるようにお話しするのは、町医者二十年未ださほど容易なことではない。
コメント (2)
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