半年前までは月に十回ほど勉強会や講演会に出席していた。それが最近では半数以下の三四回に減った。薬品メーカー主催の講演会に殆ど行かなくなったためだ。
薬品メーカー後援の講演会は高血圧糖尿病高脂血症に話題が偏り、内容は勿論勉強になるところもあるのだが、どうしてもメーカー寄りの我田引水色が抜けず、公平公正とは言い難い。それに高脂肪高カロリー高塩分食は身体に良くないと講演をしておきながら、会の終了後、和洋中華の豪華な立食パーティがあり食べ過ぎてしまう。そして家に戻るのが午後十時前後と遅くなり、若くない私は翌日疲れが残ってしまう。というわけで、出席数は激減した。
もうひとつ、あまり後味の良くない現実的な変化もあった。こうした薬品メーカー後援の講演会は事前に是非御出席をとタクシー券を持ってきてくれることが多いのだが、某メーカーは私が主力薬品をジェネリックに変えて売り上げが大きく減ったせいか、タクシー券を持ってこなくなった。ちょうど親しかった前任者が転勤となり担当が交代したせいもあるのだろうが、よい気持ちはしない。その薬は非常に高価なので積極的にはジェネリックを使っていなかった私も厚生省の指導路線に乗ったのだ。
中にはタクシー券を要求する医師も居るようだが、私にはできない。勿論タクシー券がないから行かないというわけではなく、興味がある内容の講演であれば出かける。