風はひんやりしているが、我が街はもう春満開だ。境内の桜は跡かたもなく散り、桜餅の葉が緑も初々しく茂っている。
襟裳の春はまだ遠いだろうか?何もない春こそ春なのだろうと訪れたこともない襟裳の春を想う。もう四十年も昔になるのか。森進一が歌った「襟裳岬」は新鮮だった。演歌歌手と思われていた森進一とフォークの流れに生まれた歌の組み合わせは、気持ちの良い驚きと新しい感覚を与えてくれた。
思えば森進一はこの歌に触発されたか、かねてから抱いていた?自分の考えを打ち出すようになり思わぬ?紆余曲折を重ねてしまう。振り返れば、マスコミは森進一を暖めてはくれなかった。
太平洋を望む襟裳の岬で、何もない春風に吹かれてみたい。きっと心洗われるだろう。