日本将棋連盟会長の佐藤康光九段が、NHKの将棋解説でこの手は言葉で説明しにくいと言っていた。佐藤康光さんは会長として据わりの良い人で、私の記憶にある限りではこの四十年では一番似合っていると思う、きっと長く続けられ名会長と言われるようになるだろう。
若い頃は三億と三手を読むと言われていたが、この頃は個性溢れる独特の将棋を指される。その佐藤康光会長が金の動きを見て、この手はちょっと言葉では説明しにくいと言われた。なぜこの手を指したかこの手が良さそうかは言葉では説明しにくいということはあるだろう。将棋だけでなく絵画や音楽やスポーツでも言葉にしにくいところがあると思う。そこを言葉であらわそうとすると本一冊分でも足りない世界がある。
言葉にするとわかるような気がするけれども、実は言葉では表現しにくいできない世界が一つどころか無数にあるのが人生なのだろう。五十年も生きるとその断面を言葉にして成る程と腑に落ちるようになる?。否、七十年生きても言葉だけでは腑に落ちないことは数多い。