駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

睡眠薬の難しさ

2016年04月09日 | 診療

         

 睡眠薬にはかなりの進歩があり依存性の少ないあるいは無いと言われるものも出てきた。まあ、しかしこの辺は何千万錠と使われてからでないとはっきりしないと思っている。とにかく、睡眠は依存性が出来やすいので、注意して処方しているのだが、流れてくる患者さんには手こずることもある。

 年始めに七十台前半一人住まいで生活保護の小父さんが、転居したからと受診され、降圧剤と睡眠薬を所望された。前医の処方を見て、取り敢えず出してあげる。前医の処方を直ぐに変えるのは間違いの元なのを若い先生にはご注意申し上げておきたい。一見では患者を把握しきれないと心得た方がよい。

 さて、そうして処方してあげて二三回通院すると、睡眠薬だけ足りないとやってくるようになった。

 「あれ、どうして降圧剤と同じ数出したでしょ」。

 「いや睡眠剤だけ無くした」。変だなあと思いながら6回分出してあげる。

 次の受診から暫くすると、また「睡眠剤だけ落とした」。とやってくる。これはおかしい。踏み込んで聞くと、どうも降圧剤はきちんと飲んでいない様子。血圧の薬をきちんと飲んでください。ここでは、睡眠薬はこれ以上出しませんと、はっきり申し上げる。

 「一錠じゃ足りないんだよ、いつ、死んだっていいんだ」。と妙な開き直りのようなことを言われ、不快そうに帰って行かれた。果たして続けて通院されるだろうか。はっきり申し上げてどこか他に行かれても、全く気にしません。

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