駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

女性リーダーの時代か

2016年05月21日 | 政治経済

           

 昨日は朝方ちょっと涼しく照らず降らずで過ごしやすい一日だった。問題患者さんも受診されず、七十名と平均よりわずかに多い患者数で、仕事の方も順調で月に三日あるかどうかの好日だった。

 先日、台湾総統に民進党の蔡英文氏が就任した。中国との距離の取り方が注目されている。とりあえずは付かず離れずで様子見だろう。まあ、しかし中国寄りの馬英九氏とは異なる路線を取るのは間違いない。余計なことだが外見(ハンサム)で女性票を集めた?馬英九氏とは対照的に失礼ながら外見では男性票を集められない蔡英文氏の支持には政策支持の要素が強いと見ている。

 一体、蔡英文氏がどれほどの実力の持ち主かはまだわからないが、賢い人なのは間違いなさそうだ。ただ賢いだけではズル賢い人には勝てないので、これからを注目したい。日本の外務省はちゃんと読んで良い手を打てるだろうか?。論評する資格はないが賢さでもズル賢さでも今一歩に見える。

 世界ではサッチャーさん以降メルケルさん、スーチーさん、ミセスクリントン?と女性の傑出したリーダーが出てきている。蔡英文氏がこれに続くかどうか不明だが、可能性はありそうだ。フェミニストの主張は廃れてきているようだが、男女は同権でも同質ではない。優しい、細かい、丁寧、献身的といった資質がリーダーにも求められる時代なのかもしれない。

 当然次のアメリカ大統領はクリントンと思っていたが、トランプの目もありそうで、大丈夫だろうかと懸念している。選ばれてもイスラムメキシコ排除、外駐米軍費用全額負担など実際にはできない、今は不満層の歓心を買うために暴言を吐いているだけという見方もあるようだが、果たしてそうだろうか。トランプの目的は第一は自分が大統領になることなので、悪魔になけなしの良心を売ることも厭わない人物だということに気付く必要がある。国民には手の内を隠す政治家の本心を見抜くことが求められている。

 尤も人間には予想できないことを楽しむ期待する天邪鬼の性質もあるので、どうなるかはわからない。日本を飛び越えてトランプと金正恩が握手するなどという悪夢もゼロではなさそうだ。

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なんでも嫌で困るのは

2016年05月20日 | 診療

               

 少し認知が始まった患者さんの中には,理解できなくてもハイと言われる患者さんが結構多い。そうした場合はある程度こちらで類推勘案できるので問題は起きにくい。ところが少数ではあるが、どんな提案にも嫌、やらないと拒否される患者さんもいる。こうした態度は振り込み詐欺対策には良いかもしれないが、医者に診てもらう時には困ったことになることがある。

 Tさん男性77歳は十年ほど前から高血圧症で通院している。運動能力などには問題はないのだが数年前から認知が始まり、これは神経内科で診てもらっている。そこは遠いので当院でも診られますと言っても、嫌だということで併診していた。採血や画像検査などは神経内科でやっているので、当院ではほとんど検査をしていなかったのだが、ちょっと青白くなってきた感じがしたので、たまにはここでも採血検査をやらせてと説得したところ、どういうわけかまあいいかと拒否しなかった。軽い正球性の貧血があった。消化管出血があるかもしれないと、便を検査しようとするのだが、これにはとにかく嫌の一点張りでできない。容器を渡しても、毎回取れなかったと戻ってくる。看護師に、付き添ってこない妻に電話させたのだが、うちの人は惚けていますから無理ですと相手にしてくれない。困ったなあと手をこまねくうち、つい二か月半経ってしまった。先日、便秘がひどくなったというので、これはまずいと総合病院へ紹介した。さすがに便秘という症状があるせいか嫌とは言わず受診したのだが、結腸癌で手術が必要と返事が来た。

 十年間で一度だけ顔を見せた妻から怒りの電話が入り、「なんでももっと早く」と罵倒された。最後に腹の虫が収まったか「先生に言ってもしょうないか」と電話は切れた。二か月半というのは大きな遅れとは思わないが、確かに貧血を見つけた時点で消化管の悪性腫瘍の可能性は頭に浮かんだのだから、もっと強く動くべきだったかもしれない。どうも嫌だできないの一点張りについ根負けしたのがまずかった。元気そうで会話のできる認知拒否症には、特別対策が必要だと痛感した。

 スタッフは感謝されてもいいくらいなのにと味方してくれたが、なんとも後味の悪い一日を過ごした。

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家族への言葉が今を生きる我々に

2016年05月19日 | 人生

                      

 今日も晴れており、医院着いた時には軽く汗ばんでいた。郵便受けに届いていた、総合病院へ紹介した患者の返事を読む。高々四百字程度であるが、診察してくれた医師の性格と力量がよくわかる。N病院のM先生にはまた患者さんをお願いしよう。

 しばらく前になるがNHKで森山良子のファミリーヒストリーを見かけた。森山さんの父親、日系二世の久さんの数奇な運命に最後まで見てしまった。運命に弄ばれる東京ローズのことも出てきた。

 森山久さんは日本人とアメリカ人の良いところを併せ持っておられた方のようで、従容と覚悟を決めて静かにおおらかに生きようとされていたように受け取った。中で心に残ったのは、過酷な運命に対峙した時 We must live と家族に告げて生きようとされたことだ。

 生きている者生き残った者は生きてゆくのだという強い意志を感じた。余計な講釈を言わない人の心の奥に、秘かに宿っていた決意に感じるものがあった。

 自分と自分の家族へ発せられた言葉が、自然の脅威、科学の進歩と人間の愚かさが錯綜し混迷する今の世の中へのメッセージとも受け取れる。

 We must live.

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人間の尊厳、何それ

2016年05月18日 | 医療

             

 今朝は日本晴れの好天だ。そのせいか、早く明るくなり五時過ぎに目覚めてしまい、いつもより三本早い電車に乗ってきた。電車はまだ空いており最初から座ることができた。いつもの列車よりも携帯をいじくっている人が少なく寝ている人や朝ごはん?を食べている人が居た。高々四十分くらいで、乗り合わせる人も違うものだ。

 早く着き、時間があったのでマッサージ同意書を何枚か書く、そんなものを書くなという整形外科医の声が聞こえるが、敵もさるもので患者に要望させるので断りにくい。

 マッサージ同意書もそうだが、世の中の現実は机上の離論とは違う。グループホームの患者さんを少し診ている。どこの施設もそうだとは言わないが、施設によっては飼育に近い感じがする所もある。受け入れている認知症患者さんのレベルにもよるので一概に問題とは言えない。よしさんとかさっちゃんとか親しみを込めて呼びながら食事から下の世話まできちんとしているので、それでよいというか精一杯なのだろう。一日中、「いち、にっ、さん」と大声を上げている人、よだれを垂らしてうーあーとしか言えない人、車いすに座り毛布を掛けてもらい、夏も冬もいつも寒い寒いと言っている人・・・。

 世話をしている職員(ほとんどが女性、男性は大抵半年で辞めてしまう)の最大の関心事は排便睡眠がうまくいっているかどうかだ。要するに手間がかからないということが重要なのだ。視察で数時間見回りして、もっと人間の尊厳を考えて一人一人をキメ細かく大切にと注意すれば、きっと尊厳て何、私たちは精一杯やっていますよと返事が返ってくるだろう。まともな会話はできず、歩行もおぼつかない人達を暴れても縛ったりせずに、親しく名前を呼んで年余に渡り昼も夜も世話しているわけだから、一瞥の人に尊厳はと問われても、何のことと聞き返してくるだろう

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悪びれない人達

2016年05月17日 | 人物、男

        

 若い同業者にT君というのがいる。ラフな格好で日焼けしており一見プロゴルファーのように見える。時々勉強会で顔を合わせ会釈を交わしていたのだが、先日懇親会で同席し、愉快な?話をいろいろ聞かせてもらった。中でちょっと首を傾げてしまったのは、最初のお子さんが生まれる時分娩室へ入ったはいいが、奥さんがいきむのをなんでお前そんなにいきむんだと笑って見ていたら、分娩室を追い出されてしまい、次の子の時はお呼びがかかりませんでしたという話だ。どうして高々四五回顔を合わせただけの年嵩さの私にそんな話をしたのかわからない。お酒が入っており、面白い話だとでも思ったのだろうか。四角い私はそれは良くないなあと言ったのだが、悪びれる風でもなかった。

 勿論、我が子は可愛いようで、子供たちの成長記録を写真に撮っているという話も聞かされた。奥さんのことも気が利いてよく働くんですわと褒めていた。

 T君は問題児というわけでもなく、年長者に敬意を払うのを忘れず、笑顔を絶やさないので、同業者の評判も悪くない。神経が鈍いというわけでもなく、経営には抜け目なくきめ細かく気を配っているようだ。

 男性には結構こういうタイプの人が居る。女性にも少しは居そうだ。

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