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ヨアヒム・キューンとテイエ・エリンのグループ

2019-03-17 | JAZZ
ヨアヒム・キューンとテイエ・エリンのグループが、1970年に録音した2枚、
このような演奏は、最近めったに聴かないのですが、この記事を書くに当って久しぶりに取り出してみました。
デビュー当時のテイエ・エリンは、オーソドックスなモダン・ジャズを中心にプレイしていたようですが、1970年代に入ると、それまでのスタイルをガラッと変えてフリー・ジャズの世界へと変貌を遂げていきます。

「ACOUSTIC SPACE」 ODEON E 062-34180
  
EJE THELIN(tb) JOACHIM KUHN(as, p)
ADELHARD ROIDINGER(b) JOHN O′PRAYNE(ds)
録音 1970年4月30日 Stockholm

クレジットはエイエ・テリンのリーダー・アルバムとなっており、曲も彼のアイデアで生まれています。
演奏は4つのブロックから構成され、最初から音の洪水となる完全な即興で、キューンのアルト・サックスは、吹くより「鳴らす」感じで、A面はエリン共々、がむしゃらさが目立ちますが、B面は2人がベース、ドラムスをバックに交互に演奏する部分もあり、最後は鳴らしていた2人の「音」の洪水が打ち合わせたかのように同時に止まって終わりとなります。


上記録音から5ヶ月経った9月には、最初のメンバーからドラマーが交代し、「ニュー・グループ」というサブ・タイトルが付き、ヨアヒム・キューンが前面に出てきます。

「THE NEW JOACHIM KUHN - EJE THELIN GROUP IN PARIS」 METRONOME MBLP 2/40005
  
EJE THELIN(tb) JOACHIM KUHN(as, p)
ADELHARD ROIDINGER(b) JACQUES THOLLT(ds)
録音 1970年9月23、24日 paris

こちらはメトロノームとはいえ独盤ですが、録音されたのはパリで、レコード2枚に収録されています。
4面の曲は全て同じタイトルの「Arrondissement」で8曲、演奏時間合計は凡そ1時間ですが、上記に比較しメロディアスな部分も現れ、バランスも取れています。
レコードは、エリンのトロンボーンによるファンファーレ的なフレーズでスタートし、ベースとドラムスをバックにキューンとエリンがそれぞれソロを取る部分もあります。
キューンのアルトは、最初の「ACOUSTIC SPACE」に比べて強引さが少なくなり、本職のピアノの出番の方が多くなっています。
この2枚組、惜しむらくは最後のエリンのトロンボーンの演奏中にフェイドアウトすることもなく、突然終わってしまうことです。

なお、ベーシストのアデルハルト・ロイディンガーは、日本のミュージシャンのEU遠征を切っ掛けに、佐藤允彦や山下洋輔、それに坂田明とも共演し、何枚かの録音を残しています。

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