夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

夢が叶った瞬間

2013年03月22日 17時20分49秒 | タナゴ釣り
 当初は同行するROSSI 46さんの希望で今シーズン最後のヒラメ釣りに行く予定だったのですが、折からの強風のため、もし出船できない場合の逃げとしてタナゴ釣りをチョイスしておきました。両方の用意を済ませておいたのですが、船頭さんから『無理』との電話があってヒラメは断念することとなりました。
 で、今回はタナゴ釣りです。かなりの間行っていなかった霞ヶ浦です。ROSSI 46さんはタナゴ釣りは初めてです。僕の家からROSSI 46さんを拾って霞ヶ浦に行くとかなりの遠回りになる事を気遣って、彼の方から我が家に来てくれるとのこと。早朝に来てくれる事になったのですが、風はどんどんとその強さを増し、家の中でも外のピューピューの音が聞こえて来ます。待ち合わせの時間が近付いたので、僕も駐車場に行ってヒラメ釣りの道具を下ろしていました。その時は立っているのが大変なくらいの風になっていました。彼はバイクで来るので、僕の気持ちの半分くらい来ないのではないか?と思い始めた頃、爆音と共に彼のバイクが。
 凄い風に二人して苦笑でしたが、本当によくバイクで来られたものです。『恐怖との戦いでした。まさに直線ドリフトで走って来ました。』とは彼の弁。
 こんな最悪の条件にもかかわらずにここまで頑張って来てもらったのですから、こちらとしても気合を入れなければなりません。いつも通りに車を走らせながら今日の釣りを組み立てていました。まずは風が避けられる所というのが今日の第一条件です。今日は彼のタナゴ釣りデビューなので、こんな最悪の状況下でも僕の責任下で気分良く釣ってもらう必要があるのです。釣りは最初が肝心で、最初に酷い経験をしてしまうとその釣りには二度と行かなくなってしまうのが常です。で、風が避けられそうな場所をいくつか思い起こし、そこを順番に攻めて行けば良いのですが、初心者の場合はそれに加えて目指す釣りに行き着くまでの状況を考慮する必要があります。それを考えながら今日の釣り場を構築しながら霞ヶ浦に向かいました。
 最初に竿を出したのは土手で風がさえぎられる場所です。昨年まではかなり釣れていたと聞いていたのですが魚信がありません。少々のフナが釣れて、しかも徐々にサイズアップしてます。少々のフナでも『楽しいなぁ』を繰り返してくれるROSSI 46さん。普段彼がやっている渓流釣りやヒラメ釣りでは使わないウキを眺めているのが楽しいとか。彼が幼少の頃にお父様に連れて行ってもらったウキ釣りを懐かしんでいるように思えました。
 ここではフナしか釣れないので場所を移動します。この辺で一匹くらい釣っておいてもらわないと最終的に狙っている難しい場所ではお手上げになってしまいます。少々風は当たるのですが、ここのポイントより確立が高い場所に移動しました。タナゴ釣りをしていて思うのですが、タイリクバラタナゴ以外は風を背に受けるより正面に受ける場所の方が釣れる気がしています。枯れた葦が集まっていてその隙間に仕掛けを入れて釣るのですが、風があるのでしんどいです。そして再びフナが釣れて。。。フナでも結構楽しんでくれてます。そして、魚信に乗せた彼の手に少々赤みを持った魚が飛び込みました。・・・ヤリタナゴだ!『これがヤリタナゴというのですか。』としみじみと見入る彼。生涯初のヤリタナゴです。でも僕が想像していたほどの色はなく、水温がまだ上がってないことを理解しました。低水温下でのタナゴ釣りはタナゴ達がまとまっている場合が多いです。ですから、ここでは彼に少々粘ってもらったのですが、その後もフナばかり。念のため、もう一ヶ所似たようなヤリタナゴの場所へ移動しました。ここでもフナを連発する彼。そのうち釣り師が一人話しかけてきました。なんと自転車タナゴ君です。しばらく見ないうちに大きくなって、最初は彼だと判りませんでした。最近の霞ヶ浦の状況やお師匠さんの話をしばらくしていたのですが、その間もROSSI 46さんはフナを連発。そして再び場所を移動することにしました。これで最終的に目指す釣り場に行くにはまだ少々早すぎます。これで行ったら悔しい思いをするだけなのは判っています。ですからその場所に行くまでの間にどこかもう少し練習できる所がないか考えたのですが、僕の知る限りではないように思えました。彼がまだブルーギルを釣ったことがないと言うのでドックに立ち寄ってみました。上手くいけばヤリタナゴをはじめタイリクバラタナゴや他のタナゴが釣れる可能性があるからです。ドックで釣り出した彼はすぐに掛けました。しかしタナゴの仕掛けでは少々きついサイズです。切られてしまいました。多分ブルーギルです。前に釣っていた人が沢山のブルーギルを捨ててありましたから。そして僕がタナゴのヒラ打ちを発見し、少々頑張ったのですが駄目でした。ドックで遊んでいるうちにちょっと考えて、最終的な釣り場で釣る前にもう一ヶ所ヤリタナゴが釣れる場所を思い出しました。同じ川なのですが、最終的な釣り場の上流に位置する釣り場です。
 早速行って釣り出しました。今日は水が澄んでいてとても釣り辛い状況です。しかし、この澄みの状況は最終的釣り場の練習にはばっちりでした。タナゴ釣りをする皆様であれば澄みの状況下でのタナゴ釣りはかなり難しい事はお分かりになると思います。しかし、彼は渓流釣りで鍛えた木化け石化けを駆使して魚に警戒心を与えないようにしながらとうとうヤリタナゴを釣り上げました。メスでしたが立派です。しかも、この難しい場所で5匹も。これなら大丈夫だと踏んだ僕は最終的釣り場に向かいました。底が丸見えの場所なのですが、ここは大きなヤリタナゴが沢山居ます。過去に華々しい実績を持った場所です。場所を前にして彼はすぐにヤリタナゴが群れているのを見つけました。中には10cmオーバーのヤリタナゴが!とても釣り辛い場所なのですが彼の今までの経験を総動員して責めます。最初は彼の流す餌には見向きもしなかった彼らですが、だんだんと興味を示し出しました。そして、餌がその群れを通過している途中で彼はいきなり誘いを掛けました。いままでポーカーフェイスを決めてきたヤリタナゴですが、これには溜まらずに群れの二匹が取り合うように餌に突進。その瞬間彼の手首が返って・・・竿がいい感じにしなって良型のヤリタナゴが彼の手に飛び込みました。明らかに10cmを超えるヤリタナゴです。そして彼はニコニコしながら『これ何ですか?』って。ヤリタナゴのこんなに大きいのを見たことがなかった彼ですから他の魚だと思ったようです。興奮した僕はすぐに車までカメラを取りに行って。。。本当に嬉しく感じました。
 自分で釣る事は経験を積めばそれほど難しくありません。でも釣らせる事は本当に難しいのです。しかもベテランでも結果を出すのが難しい超澄みの状況下ですから嬉しさ倍増でした。彼も思い通りの結果にとても喜んでくれて。。。二人の夢が叶った瞬間でした。
 その後2ヶ所を見て回りましたがオイカワが釣れただけ。あまりの寒さと十分な結果をすでに得ていたので、夕方のゴールデンタイムは割愛して帰宅の道に付きました。

 友人が他界してからは毎日彼のことを思い出してしまっていた僕ですが、この日は何度か思い出しただけで済みました。釣れなくても僕を信じて頑張ってくれたROSSI 46さんがいたからこそ僕もそれに真剣に応えようとしていたからです。お陰様でとても心が軽くなりました。ROSSI 46さんありがとう!

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