まずはこの地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。またご遺族の方々にお悔やみ申し上げます。そして被災されている方々にあっては、まずは自分の命を守る事を第一に考え、怪我や病気などにもご注意願います。
災害があるとTVなどの報道では大きく被災している場面を次々に放映してくれます。それが個人的所有物である場合、それに疑問を抱かないわけではありませんが、そういう映像を見せて頂く事によって、今後もし我々が被災した時にどのようにしたら良いかというヒントになります。このようなヒントから今国土強靭計画で作られている壮大な防潮堤計画を考えてみたいと思います。
農林水産省と国土交通省が作成した報告書には、延べ35,000㎞に及ぶ日本の海岸線のうち、14,000kmの部分に堤防や防潮堤を築く必要があると記されています。勿論これらは津波対策ということです。しかし、そもそもこの防潮堤は津波対策に有効なのでしょうか?要は津波が来た時にそこに当てて追い返して人命を守るという単純な考えが正しいかどうか?です。
僕はこの防潮堤は人命を守るどころか、人命を奪う強大な凶器となると思えてなりません。地震の規模にもよりますが、今回の熊本地震で放映されている映像を見ていると沢山の大きくて強靭そうな建造物が壊れていますし、舗装道路も地面が動くことによって粉々になっていたりしています。ちなみに防潮堤は鉄筋コンクリートですからビルなどの素材と大きさや厚さは違うとはいえ同じ素材です。大きな地震が来れば伸縮性が乏しいコンクリートには確実にヒビが入ります。そこに津波が襲うわけです。津波は普通の波と違ってすぐには引きません。ですから普通の波という考え方では対処できません。遠くの沖で海面がせり上がり、それが押し寄せてくる現象と思っていただけたら、そちらの方が正しい認識だと思います。つまり、普通の波は短い周期の水の上下運動であるのに対して、津波は長い周期の横への水の移動なのです。これが、上気したようなひび割れた大きな防潮堤に衝突してきます。そして、その水は継続的にどんどんと押してくるのですから、それを止めたら海面はどんどんと上がり10mや20mくらいはすぐに上がってしまいます。短い距離の防潮堤であれば防潮堤が切れた所に水が流れてそれほどせり上がりませんが、連続した防潮堤だと海水は逃げ場がないので上にしか行けないのです。そんな高くまでせり上がった水をひび割れた防潮堤が止められるでしょうか?誰が考えても無理であることは明らかです。で、まず津波の力に耐えられなくなった防潮堤の弱い部分が破壊されます。するとその競りあがった水が一気に流れ込んできます。これは何もしない津波が堰き止められて蓄えたパワーをもって一気にその力を吐き出すわけですから我々の想像をはるかに超えた勢いになるでしょう。まるで爆発と同じです。
地震の規模や揺れの方向、そして防潮堤の角度によってそのパワーは異なると思いますが、止めれば止めるほどそれを超えたときのパワーは大きくなるのです。よってかえって何もない方がパワーは少なくてすむのです。10mそこそこの高さでは一番大きな被害が出る大きさに思えます。こんな物を我々の税金で作っているのですから堪ったものではありません。ほんの少しではありますが、僕が払った税金も使われているはずです。それが人を殺す事になるかもしれないと思うと心が痛みます。
この防潮堤にどのくらい莫大な費用がかかるのかはわかりませんが、そんなことより昔の人がやっていたような竪穴式住居を作ってあげた方が確実に安全です。今の科学技術をもってすれば完全防水の地下都市さえも出来るかもしれません。高層マンションをそのまま地下に埋め込むだけのことですから。きっとその方が費用的にみても相当安上がりだと思います。地下にあれば突起物がないので津波はただ単に上を通り過ぎるだけです。もし津波が来たらみんな地下で待機して、津波が引いたらまた出てくれば良いだけです。勿論こちらも動く土地に作るのですからそれなりの強度で作る必要はあるでしょうが。
壊れた家、破壊されたブロック塀、変形して波を打ち剥がれた舗装道路・・・熊本の被害を見て、ここに津波が来たらどうなるだろう?と想像してみました。するとそれはまさに東日本大震災の状況そのものだったのです。過去にあったことから勉強してこれからに役立てることはとても重要です。国土強靭計画も議員さんが儲けるための一つの事業となっていますので、単純でアホらしくて何も役立たずの物が多々見受けられます。自分の欲が満たされれば他人(国民)はどうなってもいいというのが彼らのスタンスです。よってここで今一度しっかりとした(国からお金をもらわない)学者が計算して正しい方法に移行する必要があるのではないかと思います。