社会保険庁(以後『社保庁』と略)とはかつて存在した厚生労働省の外局で、政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業、厚生年金保険事業、国民年金事業等の運営を任務とする社会保障担当の行政機関です。
皆様には“消えた年金”として名を馳せたあの組織です。あの件があって社保庁は解体され、2010年1月1日に日本年金機構として新たに上記任務を行う組織として生まれ変わりました。しかし、現実を見てみると名前が変わっただけでほとんどの職員はそのままで、やってることも一緒です。
かつて社保庁の怠慢によって年金を支払っていたにもかかわらず、払っていない事になっていたりして、年金がもらえなかったり減額されたり・・・そんな事が多発したのが年金記録問題です。またグリーンピア(日本の大規模年金保養基地。年金保険料1,953億円を投じたグリーンピアの売却総額は、わずか約48億円だった)のお粗末。加えて2007年8月3日 一部の社保庁職員が不正なオンライン操作を行って年金の不正受給や着服を行っていたというのですからこの組織がどれだけ腐っているのかが解ると思います。
1997年1月に、「現在加入している制度以外に公的年金に加入したことがあるかどうか(複数の年金番号を持っているかどうか)」を回答するハガキを送り、合計約1,818万件を対象に、1998年度から2006年度にかけて順次照会を行い、年金手帳の基礎年金番号への統合を進めてきました。
しかし、2006年6月時点において、コンピュータに記録(年金番号)があるものの、基礎年金番号に統合・整理されていない記録が約5000万件(厚生年金番号4000万件、国民年金番号1000万件)あることが判明し、社保庁が年金記録をきちんと管理していないことが指摘されました。これが、いわゆる「宙に浮いた年金記録」です。
また、2007年6月14日、総務省に「年金記録問題検証委員会」を設置し、外部有識者に今回問題化した年金記録の管理・事務処理について、経緯、原因、責任等の調査や検証等を行わせたのですが、2007年10月に出した報告書では、社保庁における多くの問題に対して、組織的に十分な改善対策が長期にわたって執られてこなかったことが今回の年金問題につながったとし、業務の総括責任者である歴代の社会保険庁長官を始めとする幹部職員の責任は最も重いとされました。
2007年6月22日 総務省に国家行政組織法第8条の審議会等として、社保庁の年金記録の訂正に関し公正な判断を示す年金記録確認第三者委員会が設置されました。
2007年7月20日 総務省に社保庁が年金記録問題への対応策を作業工程に沿って全力を挙げて取り組んでいるかをヒアリングしながら確認する「年金業務・社会保険庁監視等委員会(葛西敬之委員長)」が設置されました。同委員会は、約2年半にわたり計22回の会合を開き、社保庁が廃止される2009年末に活動を終えました。そして2010年2月16日、日本年金機構の業務をチェックする「年金業務監視委員会(郷原信郎座長)」が同省に設置されました。
ねんきん特別便
年金保険料を納付した記録がありながら基礎年金番号に統合されていないおよそ5000万件のいわゆる「宙に浮いた年金記録」につき、その持ち主として記録に結びつく可能性のある加入者・年金受給者に確認を促す目的で発送(封書)が開始されました。ねんきん特別便は2009年4月から全ての現役加入者への「ねんきん定期便」の発送が定期的に繰り返し行われます。
そして日本年金機構が本年(2010年)10月12日からコンピューター上の記録と紙台帳記録との全件照合作業を開始するのこと。これだけでも3,000億円かかるんですって!
もう僕が何を言わんとしているか判りますね。
まず、こういう作業は厚生労働省の職員も社保庁の職員も勿論日本年金機構の職員も行いません。総てアルバイトなどの人を雇ってやらせているのです。当然その人たちを雇う給料は我々の税金から支払われます。それから国民に送る葉書や封書も物凄い数だと思いますが、それらの製作費や郵送代も総て僕らの税金から支払われます。その上、この不祥事によって設立された様々な組織(年金記録問題検証委員会、年金業務・社会保険庁監視等委員会、年金業務監視委員会 など)の委員や会合場所などにも総て僕らの税金が使われています。これで今までどのくらいの税金を使ってきたのでしょうか?そして、今度は全件照合作業に3000億円が必要なのだそうです。総額にすると多分○兆円というレベルだと思います。誰が見ても元社保庁の不始末を我々のお金を使って埋め合わせているという構図が果たして正しい事なのでしょうか?僕が考えるにこれらの事は総て社保庁の怠慢によって発生した事ですので、総て社保庁の職員がやればいいことで、それに人員が必要なら社保庁の職員がポケットマネーで人を雇って、様々な組織を作って対応し、我々の税金には一円も手をつけないというのが本来の姿であるように感じます。あともう一つ現在進行形の犯罪級の事があります。それはこの年金問題の解決に時間を掛け過ぎているという事。解決しなければその間に亡くなられた方などは年金をもらえないままです。厚労省や元社保庁の人間にしてみれば少しでも支払いはしたくないでしょうから、このまま解決させずに時間を掛ければ掛けるだけ儲かる事になります。沢山の無駄遣いをしてその埋め合わせをせず、時間を掛ければその分の支払いが減るということは、その分赤字が減るわけで張本人(社保庁)にとっては好都合でしょうが、年金を支払っているにもかかわらず、年金を貰えないで人生を終えている人はどんどん増えているわけです。これでは堪ったものではありません。こういう姑息な手段は厚労省や社保庁は得意にしている技です。
で、改めてこの問題を良く考えてみると社保庁のみが原因を作っているのです。そして、その社保庁は名前を日本年金機構に変えただけで、未だにほとんど同じ職員で同じように営まれています。こんな莫大な費用を支払わなければならない状況を作った人たちが何のオトガメも無く、まったく責任がない我々国民がどうしてその埋め合わせをしなければならないのでしょう?我々が選挙で選んだ政治家ならまだしも、社会保険庁の人間は我々が選んだわけでもありません。社保庁が悪いのであればその社保庁が労力及び費用を担うべきで決して我々の税金を使ってはならない問題だと思います。
とはいうものの、社保庁は厚生労働省の外局ですから、厚生労働省にはその監督責任を問われるのは当然であります。しかしなが社保庁に対して厚労省はあまり言えない現実があります。それは社保庁は厚生労働省の天下り先ですから、(将来的に自分たちがお世話になるかもしれない所に)あまりとやかく言うと、厚労省の役人がもし後々社保庁に天下るかもしれないので、後が良くないという構図があるのです。実際僕が社会保険庁の傘下である社会保険事務所を提訴したときも、厚生労働省の医局長は社会保険事務所を助けるべくまったくの出鱈目の証言をして来ました。これによって僕は敗訴しましたが、こんな嘘出鱈目を平気で書類にしてくる厚生労働省を見て可愛そうだと思った事と、僕が敗訴しても苦しむのは僕ではなく全国民なので、もうこれ以上争っても仕方がないと思えて辞めたくらいです。つまり、社保庁は厚生労働省に守られて好き勝手をやってきた団体で、それ以下でもそれ以上でもありません。そしてこの構図は社保庁が日本年金機構に名前を変えた現在も残念ながら続いております。ですからこれからも我々の税金を使って様々なもっともらしいことをしてくると思いますが、国民の皆様がそれでいいと言うのであれば僕もそれでいいです。
またもう一つの無駄使いに小沢さんの起訴があります。小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件です。なんで小沢さんが起訴相当になったのか?を知らない人が案外多いので最初にことわっておきますが、帳簿に土地の売買の記載が成されていなかったということです。こんな些細な事です。小沢さんが悪い事をしたかどうかは別にして、まったく信じられない事が平気で起こっているのです(東京第5検察審査会の平均年齢が低すぎるとか)。そもそもこの件については結論が見えています。捜査のプロ中のプロである検察(事実を捻じ曲げてまで提訴するくらいの組織です)が提訴を断念したという事は、小沢氏がたとえ悪い事をしていてもそれを今の司法では裁けないという見方をしたからです。それに対して素人集団である東京第5検察審査会は二度にわたって起訴相当としたというのはまったく信じられない話です。これによってまた我々の税金が沢山使われます。裁判だってタダで出来るわけではないですし、それにかかわる沢山の人たちだってタダで動いているわけではないのです。先にも述べましたがこの件については結果が見えていて、これで小沢さんが起訴されて裁判になって、でも検察は裁判に勝てるだけの証拠を持ち合わせていないのですから小沢さんに無罪が下って、小沢さんの暗雲は総て晴れて正々堂々と政治家を続けてられるのです。何か言われたら『検察も提訴しなかった。裁判でも白だった』と言えば、誰が不満を持っていようとこれ以上の事は言えないわけです。そういう結果が判っていながら莫大な税金を使うということは、まさに東京第5検察審査会を行った人たち(男5人女6人。平均年齢34.55歳)の自己満足を税金でさせて上げるという無駄使いと言うしかありません。そして、もし小沢さんが黒だったとして我々の生活にどんな不都合があるのでしょうか?せいぜい政治資金規正法の虚偽記載共謀の罪で50万円以下の罰金らしいです。その辺事を良く考える必要があると思います。勿論、記載漏れなどは脱税の可能性がありますのでそのままにしていい筈はありませんが、もっと国民にとって有効なお金の使い方が沢山あるわけですから、こんな些細な事に我々が一生懸命に支払った血税を沢山費やし、沢山の労力を使ってその代償をしっかり考える必要があると思うのです。そう考えるといっそこの裁判は辞めてしまった方がよほど税金を節約できるはずです。
もっとお金を有効に使う事を考える必要があると思います。