夏バテか秋バテか...とにかく夏の終わり頃から身体が妙にだるくて、
けれど家事や仕事に支障が出るわけでもないからなんとなくずっと放っておいた。
そう言えば整体もごふさたしちゃってるなぁ。こんな体調の時に通っていた所はアクセスがいまひとつで足が遠のいている。
「ポチッ」
スマホで検索してみると、もっと近くに知らなかった整体院がヒットした。
讃えるばかりのクチコミに少し疑問を感じたけれど、えいやっとお試しを体験。
通院するとなると、お試し料金とは打って変わってこんなに!と思うほど高い料金を示され一瞬たじろいだが、施術してもらった時の、この整体師さんはいいかも...という根拠のない直感を信じてクレジットカードを差し込んだ。
昨日、その3回目。
何を施されても、硬いですねぇ、入らないですねぇ、うーん...自律神経失調かな...などなどのネガティブな言葉にちょっとうんざりし、食事?睡眠?姿勢?と対処しなければならないであろう言葉を投げかける。
「ま、そのうちよくなってくか」
もう考えるのはやめて委ねよう...そう思った時に聞かれた。子供のことを。娘との関係を...。
何でも話せる母娘、私がいるからストレス解消できると娘はよく口にする。
勉強に踏み込みすぎる私の言動のことはなぜだか言えず、良好な関係だとボソボソッと伝えた。
「悩んでること、迷ってること...は?」
だから...、あ、子供より自分の仕事だわ。これが私の仕事です!というモノがない。結婚してもしなくても、子供がいてもいなくても、私の真ん中に仕事が欲しかった。今の仕事は嫌いじゃない。でも...、
職人になれば大成したんじゃないか、
あのまま総合職で退職しなければよかったんじゃないか、
いや、辞めた後の数十年、何かに突き進めたんじゃないか...。
「不調の原因は仕事...じゃないですね」
そう断言すると、仰向けになった私に腕を力一杯天井に突き上げさせ、
「仕事!」
と言いながら、その腕を振り下ろそうと力を加えられる。
「💢💢」
動かない。そして、
「娘!」と言いながらおなじことをされる。
「~~」
え?うそ...コテンと下がった。
何度やっても同じ。力の加減も同じ。
キツネにつままれたような感じ。
「娘さんとの関係...ですね」
試されている時、
あぁ、そうなんだ、子離れしなきゃ、放っておかなきゃ...いろんな思いがぐるぐるして、蓋をしていた気持ちがわぁっと溢れ出て、先生と向き合って話し始めたらなぜだか涙もあふれてきて...。
「気づきましたね。放っておいていいんだと思いますよ」
何度そう思っただろう。
何度娘に宣言しただろう。
「もうお母さん何も言わないから」
スマホに毒されて勉強もままならない毎日にイライラし小言ばかりになり、
娘からしたら、例の“やろうと思ってたのに”の気持ちに溺れそうだったのだ。
“放っておく”ことはとても難しい。
そう感じているから、自分の仕事の不甲斐なさに逃げていた。
それはそれ、これはこれ...なのに。
ひとしきりだだ漏れる言葉を受け止めてもらうと、あれっ?と思うほど清々しい気持ちにさえなって次の予約を入れた。
あれから数日が経っている。
「ま、いっか。放っておこう」
こう言い聞かせて、何も言わなくても彼女なりにやるコトをやる姿を見て、慣れていこう...放っておくことに。と思う。
学生時代も独立してからも結婚してからも、ずっと放っておいてくれた、でも想っていてくれた母の強さと優しさを改めて感じながら...。
☆医院を出たら...彩られた空☆