20代のころ、図書館から借りてこの本を読んで少し衝撃を受けた本。
とにかく美しくも切ないラブストーリーだった気が。
で、20年たってからこの本が再び読みたくなり購入。
あ、こんな本だったっけかな?
20年経つと自分の感じ方とらえ方見え方が変わるようです。
相変わらず流れるような文章がとてもきれい。
読みやすくて音楽みたいな文章はおしゃれで素敵。
でも小説だからか、リアリティはあまり感じられない。
初恋の女の子を想う主人公の思いの深さ、情熱はよくわかる。
誰にでも一人くらい、何年たっても忘れられない、
それこそ一生を通して好きな人はいるんだろうと思う。
それが初恋の女の子で、
適齢期にその子に出会えなかったから、彼女と結婚できなかっただけ。
なんてことはない結婚後にその彼女と再会。
やっぱりほかの誰とも比べようもないくらいその彼女のことが好きなことを再確認。
奥さんや子供も捨ててもいいと思うくらい。
ヒロインの島本さんの魅力的なことと言ったら、
仕事もしていなくて結婚もしているかわからなくて、
でも子供を産んだことはあって、、、わからないことだらけで謎なのに、
笑顔がとにかくチャーミングで素敵で。
島本さんはどういう気持ちだったんだろう。
島本さんが発作を起こしたり、激しく泣いたりする場面がなんだか同情してしまうくらい悲しい。
かたや奥さんも子供もいてやりがいのある仕事(しかも順調)を持つ主人公に、
言い寄られても、自分が思いを寄せても相手のその幸せを壊せないと思って、
一緒に死ぬか自分が消えるしかないなんて思い詰めてたんだろうなぁと。
主人公は結局よくできた奧さん(でも彼女の人生も色々ある)と、
年老いるまでずっとこの先暮らすんだろうなぁなんて終わり方だったのですが。
なんか女性(ある意味主人公も)が幸せになれなくて、悲しい話だなぁと思いました。
人は孤独なんだなぁと思わずにはいられません。
とにかく謎が多い小説でこれはファンにとって色々考察のし甲斐がある小説に違いないです。