同じ親から生まれても、子どもは生まれながらにそれぞれの性格を持っている。お兄ちゃんと妹は180度性格が違う。
お兄ちゃんは2歳の頃は「こわいこわい」というのが口癖だった。アスレチックも、ジャングルジムのついた滑り台も、「こわいこわい」といっていた。ダイナミックな遊びは敬遠し、擦り傷をつくったのをほとんど見たことが無い。
一方妹は赤ん坊の頃、ベビーベッドでいつも不愉快そうに顔をしかめていた。何が気に入らないんだろうと不思議に思っていたが、からだが動かないベビーベッドが退屈だったのだ。
足の力がついてくると、ベビーベッドの天辺までずり上がり、行き止まって頭を曲げていたことが、しばしばあった。
「ゆりかごー!」とだっこして大きく揺らしてあげると、大口をあけて喜んだ。ダイナミックな遊びが大好きだったのだ。
彼女が3歳くらいのときに、スズキコージさんの『ウシバス』(あかね書房)という絵本を読んだ。青緑とチョコレート色と渋いオレンジのシックな色調の絵。意味不明?な台詞の吹き出しのみで進行するストーリー。
ウシの頭のバス停で人々がウシバスを待っていると、サイドにはしごをとりつけたウシが走って来る。人々がウシバスに乗ると、猛スピードで走りだし、坂を下り降り、海に飛び込み、次のバス停に付く頃には、乗っていた人々はすべて振り落とされ、バス停で待っていた人も逃げ出して行くーというお話だ。
これがKちゃんのつぼにはまった。そして母子で新たな遊びが考案された。
おかあさんの背中によじのぼり、おんぶの格好になるが、私は手を添えたり支えてあげず、それどころか暴れウシのように走り、跳び、ぐるぐる回る。Kちゃんは背中にしがみつき、ひとまわりして「バス停」(に見立てたもの)に到着するまで振り落とされなければ勝ち、途中で落ちたらお母さんの勝ち。名付けて『ウシバスごっこ』。笑い声と叫び声で大騒ぎな遊びだった。
最近Kちゃんと手を比べたら、はっきりと私の方が小さかった。だけでなく、指が短いので子どもっぽい手なのだ。Kちゃんの方がはるかにすらりと長い指で、こちらの方が「おとなの手」だった。Kちゃんの自慢げなこと。「おかーさんの手は5歳やねー(優越感!)」とうきうきと言う。足はとうにひとまわり違う。
「手が大きいのはうれしいけど、足が大きいのはうれしくない」。
わからないでもないな。
もはや『ウシバスごっこ』は夢のまた夢。彼女をおぶって跳んだりはねたり回転したりは、彼女の体重と私の体力を考えると、もう金輪際無理であろう。
絵本とともに、いつかこの遊びも彼女に引き継がれることになるのだろうか。
お兄ちゃんは2歳の頃は「こわいこわい」というのが口癖だった。アスレチックも、ジャングルジムのついた滑り台も、「こわいこわい」といっていた。ダイナミックな遊びは敬遠し、擦り傷をつくったのをほとんど見たことが無い。
一方妹は赤ん坊の頃、ベビーベッドでいつも不愉快そうに顔をしかめていた。何が気に入らないんだろうと不思議に思っていたが、からだが動かないベビーベッドが退屈だったのだ。
足の力がついてくると、ベビーベッドの天辺までずり上がり、行き止まって頭を曲げていたことが、しばしばあった。
「ゆりかごー!」とだっこして大きく揺らしてあげると、大口をあけて喜んだ。ダイナミックな遊びが大好きだったのだ。
彼女が3歳くらいのときに、スズキコージさんの『ウシバス』(あかね書房)という絵本を読んだ。青緑とチョコレート色と渋いオレンジのシックな色調の絵。意味不明?な台詞の吹き出しのみで進行するストーリー。
ウシの頭のバス停で人々がウシバスを待っていると、サイドにはしごをとりつけたウシが走って来る。人々がウシバスに乗ると、猛スピードで走りだし、坂を下り降り、海に飛び込み、次のバス停に付く頃には、乗っていた人々はすべて振り落とされ、バス停で待っていた人も逃げ出して行くーというお話だ。
これがKちゃんのつぼにはまった。そして母子で新たな遊びが考案された。
おかあさんの背中によじのぼり、おんぶの格好になるが、私は手を添えたり支えてあげず、それどころか暴れウシのように走り、跳び、ぐるぐる回る。Kちゃんは背中にしがみつき、ひとまわりして「バス停」(に見立てたもの)に到着するまで振り落とされなければ勝ち、途中で落ちたらお母さんの勝ち。名付けて『ウシバスごっこ』。笑い声と叫び声で大騒ぎな遊びだった。
最近Kちゃんと手を比べたら、はっきりと私の方が小さかった。だけでなく、指が短いので子どもっぽい手なのだ。Kちゃんの方がはるかにすらりと長い指で、こちらの方が「おとなの手」だった。Kちゃんの自慢げなこと。「おかーさんの手は5歳やねー(優越感!)」とうきうきと言う。足はとうにひとまわり違う。
「手が大きいのはうれしいけど、足が大きいのはうれしくない」。
わからないでもないな。
もはや『ウシバスごっこ』は夢のまた夢。彼女をおぶって跳んだりはねたり回転したりは、彼女の体重と私の体力を考えると、もう金輪際無理であろう。
絵本とともに、いつかこの遊びも彼女に引き継がれることになるのだろうか。