今日は職場の図書室に、前の上司が来てくださった。図書室スタッフではなく、少し年下の女性で県職員。県職員だからほぼ2、3年ごとに異動があるのだ。一緒に仕事をしていたときから上司というより友達みたいな感じで、図書室の仕事にも随分理解と応援をしていただけた。
彼女は仕事の関係で必要な本を探しに来たのだが、その一環として『べてるの家』の関連図書をみつけて、大層喜んでいた。
「『べてる』の本、地元の図書館になくて。県立に行ったら見つかったけど、かなり読まれてるみたいで、ぼろぼろでしたわ。すごい面白い、『べてる』って。ここに来たらあるんやなー、『べてる』の本!」
私は「べてる」関係の本は読んだことはなかったけれど、以前、雑誌で『「べてるの家」は精神障害者の当事者がすべてを運営する共同体』というのを初めて読んだとき、かなり驚愕してしまった。施設の所長も部長もなんせ全員精神障害者で、「幻覚さん」があらわれたり、「妄想さん」がやってきたりもするのだ。そういう彼らが、彼らなりに組織を運営するのだ。脳みそをひっくりかえされたような驚きだった。でも、ものすごく面白いっ!と思った。これは、関係の本、入れなくちゃ!という訳で、
『べてるの家の「当事者研究」』浦河べてるの家(医学書院)
『悩む力』斎藤道雄(みすず書房)
なんかを、がんばって昨年度入れた。
テレビの各局がドキュメンタリーや取材を放映されているので、ご存知のかたもいらしゃると思う。『べてるの家』は北海道の浦河という場所にある精神障害をかかえる人たちが暮らす共同体。
そもそもは、つらく苦しい精神障害の症状に悩まされる4名が、メンバーの一人の精神科退院祝いで焼き肉屋に集い、共同生活をスタートさせたのが最初。引き続き、この「近所のヒンシュクを買いまくる」ようなキョーレツな面々が特産品の「昆布の袋詰め作業」の下請け内職をスタートさせた。
が、最大の協力者の引っ越し、メンバーの相次ぐ入院、仕事の発注元と口論し、仕事を切られる・・・と次々にピンチが押し寄せた。
しかし裏を返せばピンチはチャンス。彼らは自前で昆布の販売を決意し、産直事業を開始する。90年にPCも導入。キリスト教の教会関係者や地域の人々の協力もあり、販売部長は「病気を出し」ながらも完売する。
地域の人々といえば、地域住民と「べてる」のメンバーとの交流会も、この頃開かれる。キャッチフレーズは「偏見・差別大歓迎! 決して糾弾いたしません」。おもわず拍手したくなるような、お言葉。
一方、病院の営繕課業務の外注をうけるも、大激論となり「あんたたちに商売なんかできるわけない!」と云われ、メンバーがブチ切れし、キレた勢いで会社設立を決意する。
その後、ショップを開店、本を出版、テレビの取材を受けたり、養豚をしたり、共同住居をつくったり、事業を展開したりとめまぐるしく活躍?する。その間、「幻覚&妄想大会」という「べてる」ならではの!イベントが開催されたりしているのだ。
大事なのは、これが成功物語でも感動物語でもないということ。
華麗な報道と平行してトラブルだらけの日常がある。自らの精神障害とつきあいながら、ビンボーながらも仲間と共に、なんとかかんとか自分と自分の障害とおりあってやっていく、その肩の力の抜き方や取り組み方のバランスが素晴らしい。
「べてる」の座右の銘は「利益のないところを大切に」「べてるの繁栄は地域の繁栄」「安心してさぼれる会社づくり」「手を動かすより口を動かせ」「三度のメシよりミーティング」など。
ぱっとみるとへんてこで笑えるが、じっくり読むと、かなり深いものがあるような気がする。そして「ミーティング=しゃべってしゃべってしゃべる」ことが、何よりも大事なのは・・・本を読めばその意味がわかるんだろうな、きっと。
今日の話題は「べてるの家」HPより引用させていただきました。
→ http://www18.ocn.ne.jp/~bethel/
それから・・・メレさん、おめでとう! よかったね!
(→詳細は右にリンクしてあるメレさんの日記をご覧下さい)
彼女は仕事の関係で必要な本を探しに来たのだが、その一環として『べてるの家』の関連図書をみつけて、大層喜んでいた。
「『べてる』の本、地元の図書館になくて。県立に行ったら見つかったけど、かなり読まれてるみたいで、ぼろぼろでしたわ。すごい面白い、『べてる』って。ここに来たらあるんやなー、『べてる』の本!」
私は「べてる」関係の本は読んだことはなかったけれど、以前、雑誌で『「べてるの家」は精神障害者の当事者がすべてを運営する共同体』というのを初めて読んだとき、かなり驚愕してしまった。施設の所長も部長もなんせ全員精神障害者で、「幻覚さん」があらわれたり、「妄想さん」がやってきたりもするのだ。そういう彼らが、彼らなりに組織を運営するのだ。脳みそをひっくりかえされたような驚きだった。でも、ものすごく面白いっ!と思った。これは、関係の本、入れなくちゃ!という訳で、
『べてるの家の「当事者研究」』浦河べてるの家(医学書院)
『悩む力』斎藤道雄(みすず書房)
なんかを、がんばって昨年度入れた。
テレビの各局がドキュメンタリーや取材を放映されているので、ご存知のかたもいらしゃると思う。『べてるの家』は北海道の浦河という場所にある精神障害をかかえる人たちが暮らす共同体。
そもそもは、つらく苦しい精神障害の症状に悩まされる4名が、メンバーの一人の精神科退院祝いで焼き肉屋に集い、共同生活をスタートさせたのが最初。引き続き、この「近所のヒンシュクを買いまくる」ようなキョーレツな面々が特産品の「昆布の袋詰め作業」の下請け内職をスタートさせた。
が、最大の協力者の引っ越し、メンバーの相次ぐ入院、仕事の発注元と口論し、仕事を切られる・・・と次々にピンチが押し寄せた。
しかし裏を返せばピンチはチャンス。彼らは自前で昆布の販売を決意し、産直事業を開始する。90年にPCも導入。キリスト教の教会関係者や地域の人々の協力もあり、販売部長は「病気を出し」ながらも完売する。
地域の人々といえば、地域住民と「べてる」のメンバーとの交流会も、この頃開かれる。キャッチフレーズは「偏見・差別大歓迎! 決して糾弾いたしません」。おもわず拍手したくなるような、お言葉。
一方、病院の営繕課業務の外注をうけるも、大激論となり「あんたたちに商売なんかできるわけない!」と云われ、メンバーがブチ切れし、キレた勢いで会社設立を決意する。
その後、ショップを開店、本を出版、テレビの取材を受けたり、養豚をしたり、共同住居をつくったり、事業を展開したりとめまぐるしく活躍?する。その間、「幻覚&妄想大会」という「べてる」ならではの!イベントが開催されたりしているのだ。
大事なのは、これが成功物語でも感動物語でもないということ。
華麗な報道と平行してトラブルだらけの日常がある。自らの精神障害とつきあいながら、ビンボーながらも仲間と共に、なんとかかんとか自分と自分の障害とおりあってやっていく、その肩の力の抜き方や取り組み方のバランスが素晴らしい。
「べてる」の座右の銘は「利益のないところを大切に」「べてるの繁栄は地域の繁栄」「安心してさぼれる会社づくり」「手を動かすより口を動かせ」「三度のメシよりミーティング」など。
ぱっとみるとへんてこで笑えるが、じっくり読むと、かなり深いものがあるような気がする。そして「ミーティング=しゃべってしゃべってしゃべる」ことが、何よりも大事なのは・・・本を読めばその意味がわかるんだろうな、きっと。
今日の話題は「べてるの家」HPより引用させていただきました。
→ http://www18.ocn.ne.jp/~bethel/
それから・・・メレさん、おめでとう! よかったね!
(→詳細は右にリンクしてあるメレさんの日記をご覧下さい)