紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

くものすおやぶん、ふたたび

2007-02-15 23:40:15 | 読書
 昨年の10/20のブログで「くものすおやぶん とりものちょう」という福音館の月刊雑誌絵本のことを書いた。最近来た福音館のメルマガで、その続編が出たという情報を入手し、市内の「E本倶楽部」へ買い物の帰りに寄り道する。

 「くものすおやぶん ほとけのさばき」なるタイトル、「こどものとも 2007年3月号」である。表紙は鬼蜘蛛の岡っ引き「くものすおやぶん」といちのこぶん「はえとりのぴょんきち」の捕り物ごっこ?がばーんと描かれているのだが、秋山あゆ子さんの真骨頂は、むしろ裏表紙にある。

 お寺の塀沿いをあるく十手持ちのおやぶんと、頭の上に♪があっても不思議でない串団子をもってはしゃぐぴょんきち。その前後には松尾芭蕉のような山蟻や托鉢僧の行列、おつかいものの風呂敷包みを抱えるバッタのおかみさんや、蜂の町娘などが描かれて、見飽きない。

 今回はお寺での「ホトケ泥棒未遂」事件に、くものすおやぶんが乗り出すことになる。この「お寺」が、ほとんど浅草寺パッケージで、門には蝉の絵柄の巨大な赤い提灯が下がり、その両側には蝉の仁王様が構えてらっしゃる。

 必見はお寺におまつりしてある仏さま達で、昆虫好きと仏像好き、どちらの人も満足させてくれる絵柄なのだ。蝉の仏さまはハスの花に乗っていらっしゃるが、両側の同じく蝉の菩薩様はゾウムシ(お米の中にいるヤツ)や毛深い蛾に乗っていたりする。

 他にもカブトムシやカマキリの仏像があるが、作者の筆のノリノリさ加減がわかるのが、巣の上に仁王立ちになるスズメバチとムカデの千手観音さまである。千手観音様の持ち物も、じっくり見れば団子や草履や虫食い葉なんかもあって、秋山さんは細かければ細かい程、仕事にのめり込んでしまうひとなのかも?と想像してみる。いかにも楽しんで描いてらっしゃるのだ。

 楽しんで描いていらっしゃる、といえば、虫達の着物の柄がまた微笑ましい。クワガタには鍬の模様、カメムシには亀の模様が付いている。
 また、土の中に暮らす虫達の生活も、詳細かつ多彩である。傘張りの内職をする浪人、洞窟風呂、ダンゴムシの居間とトイレなど、とことん遊んでいらっしゃるのだ。お寺の中の、バス/トイレの様子もいかにも昔の共同生活の場らしい。

 これだけの仕事がしてある絵本を、ええい、たったの410円で買っちゃったぜ! 「くものすおやぶん」の絵本は、待ちかねていた絵本好きが多いのではないだろうか。売り切れ御免になる前に、今すぐ、本屋さんへダッシュだ!