紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

梅雨の憂鬱

2008-06-23 00:00:04 | 季節
 毎日じめじめしている。

 たぬき亭のデッキには、例のオレンジ色のキノコが生え出し、洗濯物は戸外では乾かず、空気がねっとりと重く、気圧の関係で腕がだるい。梅雨なのだから仕方がないのだが、仕方がないでは済まない深刻な出来事だって起こる。

 それは二日前の深夜の出来事。12時をとっくに回り、さあ、やっと寝られる♪と台所を横切ったときのこと。ホッとしてリラックスしまくっていたところを、まるで真珠湾のように奇襲攻撃に襲われる。

 台所には、お兄ちゃんが食べ残したチャーハンの残飯が皿ごと置いてあった。ちぇ、片付けなくちゃ、と今日の最後のお仕事をしようとお皿を見れば!!

 そこにはあの岸本佐知子さんが『地獄からの使者』とズバリ描写した、あのおぞましい姿のものが、化け猫のように皿のアブラをさも獅サうに嘗めているではないか! こいつの姿を見れば、いつだって阿鼻叫喚、深夜にも関わらず鋭い悲鳴をあげてしまわざるをえない。黒光りする胴体から節ごとに棘のようにでている黄色い足。「ウマい、ウマい」とでもいうかのように、ゆっくりと動く触覚。その恐ろしい姿とは、できれば関わりをもちたくはない。できることなら、許されるコトなら、その場から逃げてしまいたい。

 が、しかし、台所を預かる責任者として、家族の安全を守る責任者として、黙って見過ごす訳にはいかないのだ。

 おりよく水の入った2リットルのペットボトルが目の前にある。勇気を振り絞り、えいやっと黒光りする胴体の上にどん!!と置く。逃げられないことを確認し、ハサミで頭と胴を半ば切るも、息絶えず。
 それでもこのまま朝までおけば、力尽きるだろうと思い、ベッドに唐鼾桙ン爆睡する。

 私はまだまだ甘かった。こいつとは40年の長きに渡る付き合いがあるというのに、しかもさしつさされつの関係にあったと言うのに、何も理解してはいなかったのだ。
 早朝の台所で、こいつは触覚を動かしていた。しかも半分ボトルをずらしたら、元気に足を立てて、いまにも走り出しそうにしているではないか! 

 「こやつ! 化け物!」とおそれおののくも、クイズタイムショックのように時間との戦いである朝の台所である。なんとかしなくては。なんとしても、いますぐ!

 朝一の仕事はやかんでお湯を沸かすことである。不死身の生命力を見せつけるこいつには、熱湯地獄で勝負をかける。地獄には地獄。動きのとれない百足は逃げること能わず、熱湯にてめでたく地獄へご帰還いただけた。

 今後は靴の中、お風呂場のタオル、トイレの隅、お布団に入る際にも、地獄の使者が毒針を持って待ち構えているかもしれないので、充分に目を光らせ、用心の上にも用心しなくては。皆様も、どうぞお気をつけ下さいませ。