教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

マンション買いました

2010-12-25 00:00:45 | オタネタ全般
不動産を買ってしまった。
住まないマンションを。
しかも福岡に。

それで急きょ福岡に行くことになった。
行く前は、ヒマがあれば知り合いにでも声かけてメシでも食いに行こうだとか誘おうとしたのだが、時間がなかったし体力を使い果たしたので、現地では本当にビジネス的な用事だけしかできなかった。
実はかつて住んでいたことがあるので、幸いにも観光できなくてガッカリなんてことは特に無い。



なぜ不動産を買ったのか?

目的の1/3はインフレのヘッジである。

いま日本はデフレで苦しんでいる。
だからインフレの心配をするなどバカじゃあるまいか。

・・・かつてはわたしもそう思っていた。
しかし今は考えを改めた。

近年の国家予算を見てみよう。
民主党政権になってから特に、バラマキ福祉により国債の増発が甚だしい。
社会保障費は建設国債とは違っていったん増やすと減らすという判断は容易なことでは実現しない。
この国債の増発と使い道はいつか還せなくなるとわたしに信じ込ませるに十分である。
(ちなみにわたしは民主党のことを大衆迎合的なだけの単なる無能な烏合の衆だと思っていて、政策立案能力では自民党などより遥かに信用していない。)

では日本国政府は倒産するかというと、そうではない。
還せなくなったら万札を刷れば良い。
でも万札を刷っただけインフレになる。
あのシャレにならん国債の残高の分が万札の増刷で還されるとしたら、シャレにならんくらいインフレになる。
だからインフレのヘッジは必須だと判断した。

インフレのヘッジにはいくつか方法がある。

1つは株式。
しかし株式は短期的にはむしろ今やるべきではないと判断した。
前に書いた(※1)ように。

1つは外貨や外債や外国株。
しかしそれは既に多少の仕込みがある。
しかもこれらはヘッジ目的にしては変動が大きすぎるため、あまり大きく積み上げるには向いていない。

1つはコモディティー。
しかしコモディティーそのものは収益を生まない。
それを投資と考えるのにも多少の疑問が残る。
しかも多くのコモディティーでは既にかなりの値上がりをみせた後だ。
今これを買うのもどうかというものだ。

ということで、インフレのヘッジには不動産が正攻法なのだ。



なぜ住まないマンションを買ったのか?

これは投資用である。

今わたしが住んでいるところはかなりの田舎である。
そんな年寄りがたくさん住んでいる田舎で自宅を買って、はたしてこの先々その資産価値を保てるだろうか。
おまけに自宅を買うと転職リスクを抱えることにもなる。
だから自宅を買うべきではないと判断した。

投資用不動産融資のほうが自宅用不動産融資よりも金利が高かったり管理関連で余分な出費が必要だったりと、多少不利な面も少なくない。
しかし本質的には、自宅を買って家賃相当だった出費でローンを返すのと、自分は賃貸に住んで別途マンションを持っている分の賃料収入でそちらのローンを返すのでは、実態として同じことだ。
だったら資産価値が保てる場所に不動産を買うほうが場合によっては正しい。

目的の1/3はインフレのヘッジだと述べたとおりだが、1/3は自宅を買わないという選択をしたことに対するヘッジであり、1/3は投資目的である。
ちなみに我が家の家賃の月額よりもこのマンションから得る月々の家賃収入のほうが多い。
収入は右から左へ返済に回すので、それが現金として懐に入るわけでもないのだが。


そもそも、なぜ福岡なのか?

投資用としての物件の流通があるだけの大都市であること。
人口が減る現在の状況でもしばらくは人口が増える都市であること。
数十年たって客がつかなくなるほどボロくなったら老後の自分が住んでも良いと思える都市であること。

その条件下では、いまのところ東京か横浜か福岡しかない。

しかし東京は物件価格が高い。
高いということは、背負う借金が増えるか、狭くなるか、ボロくなるか、そのどれかになる。
その代わり土地代の割合が高いので価値の目減りも緩やかだし家賃も取れるが、その分だけ借金が膨らむのだから考えものだ。

それに引き換え福岡なら、そこそこの予算でそこそこな物件を買える。
横浜なら東京と福岡の間くらいな感じだな。
どれがベストというものもないが、あまりリスクを取りたくないので福岡にした。



選択肢としては都心部のマンションではなく構外のアパートというのもありうると思う人もいるかもしれない。

しかしそれは農業をやめた地元民がたてたアパートと競合しなければならないので、運が悪いと需要を無視した異常な供給過剰になり、局地的にめちゃくちゃ酷い空室リスクに悩まされる恐れがある。
たとえば広島大学が移転した直後など、農家がわれ先にとアパートをたてまくったおかげで首をつるヤツが現れるほど酷いことになった。
おまけに木造アパートというのは鉄筋コンクリートのマンションほど建物の寿命がないから物件価値の減りが早いのもデメリットになる。



また、福岡にだけ存在するメリットがある。

福岡は地震が少ない。
しかも大地震は2005年に済んだからもう当分無い。
それに引きかえ、東京と横浜はいつか大震災がくると言われている。

実際、東京では地震保険は入るのがバカバカしくなるほど掛け金が高い。
しかし福岡では面倒だから30年分前払いしてもいいくらい安い。
REITにしても、ちゃんと地震保険に入っているのはたぶん福岡リートしかない。

それから、福岡はまだ立地を選びやすい。
端的に言えば、投資用なら天神近辺か博多駅近辺かの2箇所しか買うところがない。
横浜も似たようなものがある。
それに引きかえ東京では、広いだけに街の流行り廃りを読むのはかなり難しそうに思う。
また福岡はひところ住んでいたので地の利があり、悪徳不動産屋がトンデモな立地の物件を持ってきたとしても、あまりに酷いものなら見破れる自信はある。

また、税金対策にもなる。
確定申告のときに交通費も費用にのせていいことになっているので、遠方の物件になればなるほど節税効果が高い。
中には行ってもいないのに交通費をのせるヤツもいるようだが、すぐ近くの物件なのに多額の交通費をのせてると、税務署にインネンつけられたときにマジメにもっともらしいアリバイを答えるのは不可能だろう。
逆に地元の人は買わないほうがいいのかもしれないね。

また、物価もだいぶ違う。
九州圏内でいうと福岡はかなり高いのだが、東京と比べればかなり安い。
老後に自分が住むことをアタマの片隅にいれるなら、まあ福岡も悪くない。



そもそも投資用マンションってマトモに儲かるのか?

ふつうは儲からない。
新築をフルローンで買うと絶対に損する。
これは「多分」ではなく「絶対」だ。
物件価値の目減りにローン残債の減りが追いつかないからなのと、新築であるというプレミアムがついていて割高になっているからだ。
でもサラリーマンは不動産屋の口八丁に踊らされて買ってしまう。
(これは自宅を買うときにでも同じことが言えるのだが)

エクセルで月ごとの資産価値や残債をグラフにして可視化してみれば、それがダメなのは一発で見抜ける。
しかし、そこまで財務分析できるサラリーマンはほとんどいない。
だからサラリーマンは騙される(わたしも一介のサラリーマンなんだけどさ)。

細かいことをいうと、買うときと完済時点しか考えず途中の推移を見ていないとか、築年数が進めば家賃が下がり維持費が上がりオマケに物件価値も下がるのを無視しているとか、節税効果なんて最初だけなのにそれに踊らされて実情よりも過大評価しているとか、中古であることのリスクを過剰に脅かされすぎているとか、新築をフルローンで買うと損をする理由をあげるといくらでもあがる。
わたしのマンションも新築当時の販売価格と前のオーナーの借入金額を教えてもらったのだが、わたしが買ったときの不動産屋の取り分を0円としても、もうかわいそうになるほどの巨額の大損をして売っている。
世間一般のマンション投資なんてそんなもんなのだ。

ではどうすれば良いかというと・・・。
それはカンタンで、中古にして頭金をそこそこ入れればよろしい。
それならば、いろんなリスクを織り込んだとしても十分勝てる勝負になるとグラフでわかる。
家賃保証の手厚い業者を選べば、空室リスクや滞納リスクもほぼ確実にヘッジできるので、立地に競争力があるかぎりそれは問題にはならない。
逆に、新築にこだわる潔癖症的な人だとか、頭金を全く入れられない資金的余裕がない人だとか、人の話を信じやすいうえに自分で検証する気もない人だとかは、本来は不動産投資などすべきではないのだ。

築年数がたてばたつほど建物の価値がなくなるから物件価格も安くなり、そして利回りが上がるから借金を返しやすくなり、ようするに儲かりやすい。
とはいえ、築年数がいっている物件は隠れた瑕疵があるかもしれないわけで、しかし素人にはそれを見抜けない。
だから中古とはいえ、10年の瑕疵担保責任だとか建築中の監査義務だとかがつくようになった2000年の建築基準法改正後に建った物件にしたほうが良かろう。
そもそも、いま築30年の物件と、いまほぼ新築の物件の30年後では、建物としての性能に大きな違いがあるはずだから、古すぎるのは考えものだ。

不動産屋とイロイロと話をしたのだが、そこまで自分で財務分析をして判断できるお客はわたしを含めて今まで2人しかいないと言っていた。
営業トークの口八丁で買わせることができないから営業冥利につきる部分が全くなくて売れても達成感がないらしいのだが、逆に情報を渡せばお客のほうで勝手に判断してOK/NG出してくれるから売るほうとしてはラクチンだと言っていた。
第一、キャッチセールスで電話営業かけてくる不動産屋なんて、前に書いた(※2)ように財務分析の結果を話しても半分以上のヤツが意味を理解できないくらいなのだから、素人の買うほうのサラリーマンにそれを理解しろというほうが無理があるのかもしれない。
ようするに、そういうことをやるヤツがいないからこそみんな損するのだ。

ちなみに。
買ったとこの不動産屋にそのことを話したら、
「ホントはそのほうが良いのはわかってるんですけどね~」
なんて言われてしまった。
べつの不動産屋にそのことを話したら、
「あなたのやりかたはセミプロのやりかたですよ。それ自分でその方法に辿りついたんですか?」
なんて言われてしまった。

なんでわたしに限ってそんな分析ができるのかというのには3つの理由があるように思う。
1つは、その前から株をやっててREIT(不動産投資信託)のファンダメンタル分析をしていたこと。
1つは、わたしの職業が技術屋で、アタマのなかで独自モデルを考えてそれを数字で検証するのに慣れていること。
だから不動産に関しては素人とはいえ、きっとてごわい素人であろうと思う。
1つは、既に知り合いが投資用マンションを持っていてイロイロと教えてくれたのだが、そいつのやり方でホントに大丈夫なのか興味があって検証したことがあること。

つまるところ。
不動産屋の言うことを鵜呑みにせず、ちゃんと自分で財務分析して儲かるのを確かめることができるなら、投資用マンションは損をしない。



わたしはインフレのヘッジを済ませた。
老後の住居も確保できた。
投資として悪くないリターンを得られる見込みだ。

実際、借金を背負うというのは経験しないとわからないようなプレッシャーがかかる。
しかし、これは損をしないとソロバン弾いてわかっているからこそ、怯えるほどのプレッシャーではない。
そんなに長期のローンではないので、完済したら次のを買ってもいいかもしれないとも思っている。

わたしのやりかたでは大もうけはできない。
本になって出版されるような一攫千金の成功事例には絶対ならない。
しかし損はしない。

さあ!
わたしと同じく福岡にマンションでも買ってみてはいかが?






【※1】
日本株から手を引きます
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20101222

【※2】
アニオタにも負けた不動産屋 (上巻)
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090320

アニオタにも負けた不動産屋 (中巻)
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090321

アニオタにも負けた不動産屋 (下巻)
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090322