「どうしてシャープはこんなことになったんだ!?」
それはこの業界にいなくても皆がそう思う。
あるアナリストは言った。
「液晶1本足打法だから倒れたのだ」
と。
液晶1本足打法の反対語は、何でも作っている昔ながらの総合電機メーカーということになる。
そのやりかたが21世紀になって通用しなくなったことくらい、業界の人間なら誰でも知っている。
いまの世界で何でも作っているメーカーが日本以外でどこか1社でもあるというのなら挙げてみてほしい。
わたしは液晶1本足打法が間違っていたという結論にするには懐疑的である。
だいいち、シャープの株価がいまの10倍あったころなんて、アナリストはこぞって
「選択と集中と決断に長けたシャープを見習え!」
と言っていたではあるまいか。
また、
「景気がいいときに調子にのってレバレッジをかけすぎたんだ」
と言ったアナリストもいる。
だが回りを見れば、大手電機メーカーはバブルの頃から等しくみんな自己資本比率が低い。
シャープだけ特別ダメな理由にはならない。
シャープも他と同じくらいダメだと語りたいのなら話を聞こう。
とはいっても、2007年頃の景気がやたら良かった頃に突然レバレッジを上げたヤツは今となってはみんなくたばってしまったのも紛れもない事実である。
だから断固違うとも言い切れないものもあるにはあるが。
あるアナリストはこうも言った。
「日本で工場を作るからダメなのだ」
と。
ようするに、人件費も土地代も電気代も高い日本で作らず、日経新聞が大好きな中国ででも作ればよかったのにという意味である。
なぜそれでも日本に工場を建てたのかという理由については
「技術の流出を過度に恐れて選択を誤ったのだ」
とアナリストは言う。
これについてもわたしは懐疑的である。
シャープの決算を見ると、1Qは堺工場の稼働率が3割だったことと、年2000億円以上というとんでもない減価償却費が発生していることがわかる。
こういうモノは基本的には装置産業なので減価償却費がとんでもないのはまあ妥当だ。
だがその場合の赤字とは、限界利益率は高いのでジャンジャン売っているにもかかわらず、減価償却費のような固定費がデカすぎて売っても売っても黒字にならんという、エルピーダのような貧乏ヒマなし状態が妥当で、工場がヒマなシャープとはワケが違う。
わたしはコストが高いことが第一要因ではないだろうと直感した。
それよりも、出来上がったパネルを自分でさばけないほどの生産キャパを作ってしまったことが原因ではないかといったほうが100倍はもっともらしい。
他の分析では
「液晶パネルは世界的に供給過剰だ。いま液晶パネル作っても儲からないのさ」
というのもある。
これはそれなりに妥当だ。
サムスンだって液晶パネル部門は赤字である。
そういう過当競争に陥った場合には、ダメなヤツから退場させられていって、いずれトントン程度にはなるはずだ。
だがその教科書的な理論では、そこで最初に退場させられそうなダメなヤツにシャープがなった理由は説明しない。
この分析はたしかにその通りなのだが根本原因とはなりえない。
では真の原因は何なのか?
わたしが今まで見たなかで初めて多少もっともらしいと感じた理由は↓これである。
シャープ、液晶テレビ「アクオス」の成功で散々調子こいてた事が判明 自業自得か
http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-2647.html
> 堺が稼働した直後の09年秋、国内ではエコポイント制度導入で液晶テレビが売れに売れた。
> そんな中、シャープはアクオス用のパネル生産を優先し、納入遅延をたびたび起こした。
> 当然、ソニーは態度を硬化。
> ソニーのパネル購入量は大きく増えることがないまま、現在はほとんど取引がない。
なるほど。
納入遅延が大変酷いので値段以前にシャープの液晶パネルを採用したくないとセットメーカー全員に思われた・・・。
これが真の原因か。
納入遅延をたびたび起こすメーカーがあったとすると、
品証はブチ切れて殴りこみに行くし、
購買はブラックリストに入れてしまい発注を頼むとめっちゃ嫌な顔するし、
開発は自分たちと取引したくないらしいと感じて採用したがらなくなる。
それでも取引してもらえるとしたら、
既に絶賛生産中の既存製品に採用してしまった部品で設計変更するより製品寿命が尽きるのを大人しく待つほうが得策と判断した場合か、
他では作れないオンリーワンな部品で例え嫌でも採用せざるをえない部品か、
そのどちらかしかない。
シャープはどうだろうか?
既存製品分は売れても新製品のTVには二度と採用してもらえない。
TVはシャープの液晶パネルを使わないと作れないほどシャープの液晶パネルが優れているかというと、たしかにIGZOはすごいんだがそこまで褒めちぎるほど優れてはおるまい。
昔の我が国の商人は、商売で最も大事なものは信用であると言った。
最近はアメリカナイズされてしまい、信用というと金利のプレミアムのことと中ばイコールになりかけている。
だがシャープを見ればそうでもないようだ。
信用は大事だね。
それはこの業界にいなくても皆がそう思う。
あるアナリストは言った。
「液晶1本足打法だから倒れたのだ」
と。
液晶1本足打法の反対語は、何でも作っている昔ながらの総合電機メーカーということになる。
そのやりかたが21世紀になって通用しなくなったことくらい、業界の人間なら誰でも知っている。
いまの世界で何でも作っているメーカーが日本以外でどこか1社でもあるというのなら挙げてみてほしい。
わたしは液晶1本足打法が間違っていたという結論にするには懐疑的である。
だいいち、シャープの株価がいまの10倍あったころなんて、アナリストはこぞって
「選択と集中と決断に長けたシャープを見習え!」
と言っていたではあるまいか。
また、
「景気がいいときに調子にのってレバレッジをかけすぎたんだ」
と言ったアナリストもいる。
だが回りを見れば、大手電機メーカーはバブルの頃から等しくみんな自己資本比率が低い。
シャープだけ特別ダメな理由にはならない。
シャープも他と同じくらいダメだと語りたいのなら話を聞こう。
とはいっても、2007年頃の景気がやたら良かった頃に突然レバレッジを上げたヤツは今となってはみんなくたばってしまったのも紛れもない事実である。
だから断固違うとも言い切れないものもあるにはあるが。
あるアナリストはこうも言った。
「日本で工場を作るからダメなのだ」
と。
ようするに、人件費も土地代も電気代も高い日本で作らず、日経新聞が大好きな中国ででも作ればよかったのにという意味である。
なぜそれでも日本に工場を建てたのかという理由については
「技術の流出を過度に恐れて選択を誤ったのだ」
とアナリストは言う。
これについてもわたしは懐疑的である。
シャープの決算を見ると、1Qは堺工場の稼働率が3割だったことと、年2000億円以上というとんでもない減価償却費が発生していることがわかる。
こういうモノは基本的には装置産業なので減価償却費がとんでもないのはまあ妥当だ。
だがその場合の赤字とは、限界利益率は高いのでジャンジャン売っているにもかかわらず、減価償却費のような固定費がデカすぎて売っても売っても黒字にならんという、エルピーダのような貧乏ヒマなし状態が妥当で、工場がヒマなシャープとはワケが違う。
わたしはコストが高いことが第一要因ではないだろうと直感した。
それよりも、出来上がったパネルを自分でさばけないほどの生産キャパを作ってしまったことが原因ではないかといったほうが100倍はもっともらしい。
他の分析では
「液晶パネルは世界的に供給過剰だ。いま液晶パネル作っても儲からないのさ」
というのもある。
これはそれなりに妥当だ。
サムスンだって液晶パネル部門は赤字である。
そういう過当競争に陥った場合には、ダメなヤツから退場させられていって、いずれトントン程度にはなるはずだ。
だがその教科書的な理論では、そこで最初に退場させられそうなダメなヤツにシャープがなった理由は説明しない。
この分析はたしかにその通りなのだが根本原因とはなりえない。
では真の原因は何なのか?
わたしが今まで見たなかで初めて多少もっともらしいと感じた理由は↓これである。
シャープ、液晶テレビ「アクオス」の成功で散々調子こいてた事が判明 自業自得か
http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-2647.html
> 堺が稼働した直後の09年秋、国内ではエコポイント制度導入で液晶テレビが売れに売れた。
> そんな中、シャープはアクオス用のパネル生産を優先し、納入遅延をたびたび起こした。
> 当然、ソニーは態度を硬化。
> ソニーのパネル購入量は大きく増えることがないまま、現在はほとんど取引がない。
なるほど。
納入遅延が大変酷いので値段以前にシャープの液晶パネルを採用したくないとセットメーカー全員に思われた・・・。
これが真の原因か。
納入遅延をたびたび起こすメーカーがあったとすると、
品証はブチ切れて殴りこみに行くし、
購買はブラックリストに入れてしまい発注を頼むとめっちゃ嫌な顔するし、
開発は自分たちと取引したくないらしいと感じて採用したがらなくなる。
それでも取引してもらえるとしたら、
既に絶賛生産中の既存製品に採用してしまった部品で設計変更するより製品寿命が尽きるのを大人しく待つほうが得策と判断した場合か、
他では作れないオンリーワンな部品で例え嫌でも採用せざるをえない部品か、
そのどちらかしかない。
シャープはどうだろうか?
既存製品分は売れても新製品のTVには二度と採用してもらえない。
TVはシャープの液晶パネルを使わないと作れないほどシャープの液晶パネルが優れているかというと、たしかにIGZOはすごいんだがそこまで褒めちぎるほど優れてはおるまい。
昔の我が国の商人は、商売で最も大事なものは信用であると言った。
最近はアメリカナイズされてしまい、信用というと金利のプレミアムのことと中ばイコールになりかけている。
だがシャープを見ればそうでもないようだ。
信用は大事だね。