教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

長期債務 と 短期債務

2012-09-18 00:06:32 | 経済/経済/社会
長期債務と短期債務、はたしてどちらで借りたほうがいいのか?

たぶんこの議論は昔から延々とされてきたものだろう。

ありていに言うと・・・
長期で借りれば、途中で一時的に財務状態が悪くなってピンチになったとしても今すぐ銭を返す必要がないので、ほとぼりが冷めるまでガマンする時間をあたえられる分だけお得。
ただし金利が高くなるる分だけ損。
・・・そんなところか。

本当は個人の住宅ローンの話をすればいいのかもしれないが、今日はそれとは別のことで話がある。
株式の個人投資家という立場から見た場合の、企業の債務についてである。



長期債務が多い企業とは?

規模が大きくて業績が安定していて独占的な利権を抱えていてちょっとやそっとじゃ潰れそうにない公益企業(ただし金融機関除く)。
たとえばかつての東電。

そういうところは長期債務が多い傾向にある。

短期債務が多い企業はその反対というところか。

しかし!

さいきん株価が下がっているので外国株を買うめぼしをつけようと外国の上場企業の決算をいくつか見ていたのだが・・・
実は世界は日本よりもっといろいろあることがわかった。



まずユーロ圏。
とあるけっこう大きな公益企業なのだが、有利子負債の大部分が長期債務になっている。

それはそれで安定してていいんじゃないの?
・・・と思ったのだが。

決算書を見れば有利子負債額と利払い費から支払い金利(の平均値)がわかるのだが、今のご時世からすればとんでもない高い金利を支払っている企業も少なくない。
おまけに先進国の公益企業はどこもかしこも自己資本比率が低い。
そんなに金利を支払っていたら絶対儲けが残らんぜぃって有様である。

どうしてこうなったのか?

ふつうに思いつく理由は会社が傾いているからというものだが、実はそうでもない。
格付けも悪くない。

なぜこうなったのかというと、リーマンショック前のユーロが比較的高金利だった時代にしこたま債務を長期で借りたからこうなっていると思われる。
それを借り替えるまでは会社は低収益なままガマンしなければならんようだが、その債務があまりにも長期なためにダメだこりゃということになっている。

たぶん長期債務を時価会計したら自己資本ふっとぶよ。



次にアジア圏。

実はけっこう大きな企業でも有利子負債が「ほぼぜんぶ」短期債務の会社がけっこうたくさんある。

これ、いまリーマンショック起きたら潰れるかもしれないよね・・・?

そう思わざるを得ない。

どうしてこうなったのか?

わからん。

たしかに短期債務のほうが金利が安いから、確実に借り換えできるとわかっているなら全部短期債務にしたほうが儲かる。
だがそれだけが理由とも思えない。

日本以外のアジア圏はファイナンス部門が貧弱で、巨額の長期債務を受け入れられる金融機関がないのかもしれない。

こういうのを見ると、新興国に投資しようと思ってもビビッて躊躇してしまう。

かつてのアジア通貨危機とは違って今の政府は外貨をたんまり持っているからアジア通貨危機は再来しないとは言われるが、個別企業で見たらぜんぜんそんなことはなかったという・・・。



日本はどうなのか?

何をもってベスト解というべきなのかわからないが、どっちかに偏ることなくバランスよく借りているケースが多いように見えるので、状況としては悪くない。



かつて日本にはエルシーピー投資法人というREITがあった。
ここは信用が低かったためか、そもそも物件の収益性が劣っていて現金が無かったたためか、3ヶ月モノの短期債務のリファイナンスを延々と繰り返して首をつなげていた。

そこでリーマンショックが発生。
(JREITではニューシティーショックという別のショックもほぼ同時期に発生した)

そして下位のREITは急に資金ぶりに窮することになる。

当時、REIT界隈にたむろする個人投資家の間では
「まいどおなじみLCPのリファイナンス危機がやってまいりました」
などと言われていたものだ。

その後は合併により消えてなくなったが、オトシドコロはまあそんなもんだろうと皆思ったろう。

アジア圏の会社の決算書を読んでいて、ふとそのことを思い出した。