黒田さんから以下のメールが届いた。
CO2 が増え続けると温暖化が進む,というのはわかりやすいですが,CO2を減少させるまでは行かなくても,増加を止めることは可能ですか?
数年前にアル・ゴアが,みんなで頑張ろう的なキャンペーンをしていましたが(不都合な真実),実は臨界点はもう超えてし まっていて,今すぐ,世界中が江戸時代に戻らない限り止められないのではないか?と個人的には思っています.
きちんとした答えはできないのですが、今一般的に判断の基準になっているのはラブロックがNatureに書いた論文です。
あのガイア仮説を唱えたおじさんです。
上の図でもわかるのですが、大気中のCO2が500ppmを越えると、不可逆過程が発生します。
これは、CO2のシンクを海洋と陸に分けた場合、海の生物(藻類)が吸収するCO2が先に減少するところからきています。
海が加熱されると成層が発達するので、位置エネルギーが増大し、深層の栄養が表層まで届かなくなります。
そうすると藻類の増殖が減少するわけです。
現実に瀬戸内海で起こっています。
もっと気温が上昇すると、陸上の植物も枯渇します。
今年の5月に、ハワイのマウナロア観測所で計測されたCO2濃度が400ppmを越えました。
CO2は季節的にも変化するので、平均値としてはまだ400ppm以下ですが。
しかし、現在の上昇率は大きくなっているので早晩、500ppmを超すでしょう。
そうすると気温が6℃急激に上昇し、それ以降CO2濃度が下がっても気温は低下しないというのがラブロックの仮説です。
海に鉄をまいて藻類を増やすとか、まことしやかなアイデアが提唱されましたが、どれも現実的ではありません。
今私が懸念しているのは、土中からのメタンガスの発生が増えているのではないかということです。
メタンガスは地球温暖化係数がCO2の21倍もあります。
琵琶湖の調査をしていて、実感として増えています。
これは、底泥の嫌気化が進んでいるからです。
そういう意味では、ティッピングポイントを越えているのかもしれません。
CO2の増加率が大きくなっていることがその証拠かもしれません。
現在の温暖化モデルには、泥からのメタン発生は入っていないと思います。
人間にすぐできそうなことは、排出を削減することと、陸上植物を増やすことでしょうか。
可能な限り植林をする。
できれば砂漠をなくす。
海や湖はドンドン熱くなっています。