鑓水"御殿峠”付近の道端に繁茂している「テリミノイヌホオズキ(照実の犬酸漿)」。ナス科ナス属の一年草で北アメリカ原産と考えられている。花期は8~10月で直径4~6ミリの白い花を咲かせる。アメリカイヌホオズキに良く似ているが果実の光沢が強く表面に白い細かな斑紋が見られる。葉は卵形もしくは三角状卵形で基部より半分あたりまで波状の浅い切れ込みがある。イヌホオズキの仲間はオオイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、ケイヌホオズキ、ヒメケイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキなど種類が多く同定に迷うがこれはテリミノイヌホオズキとしておこう。
小山内裏公園"内裏池”付近に生育している「ホソバシュロソウ(細葉棕櫚草)」。シュロソウ科(←ユリ科)シュロソウ属の多年草でシュロソウに比べて葉が細くなる変種。この株の葉の幅は1センチ未満だった。シュロソウは変異が多く中間型もあり特に区別しないこともあるようだ。
猫好きではないのでその乳をまじまじと観察したことは無いが、それに果実の様子が似ているということで名付けられている「ネコノチチ(猫の乳)」。クロウメモドキ科ネコノチチ属の落葉低木で関東地方以西の林内に生育している。花期は5~6月で葉腋に直径3~4ミリの黄緑色の花を咲かせ果実は長さ8~10ミリの長楕円形になる。
南高尾"三沢峠”付近の山道で見掛けた白いキノコ。鍔が無くシロツルタケとも思ったが傘の表面に細かい鱗片があるのでこれはテングタケ科テングタケ属の「フクロツルタケ(袋鶴茸)」としておこう。傘の直径は5センチほどで柄にはささくれがありの基部には袋状の壺がある。誤食すると死に至るほどの毒があるようだ。
シソ科(←クマツヅラ科)カリガネソウ属の「カリガネソウ(雁草・雁金草)」。北海道~九州の山地に分布する多年草で草丈は70~80センチ。花期は8~9月でその姿から「ホカケソウ(帆掛草)」の別名がある。この花弁にポリネーターのハナバチなどが止まるとその重みで花が垂れ下がりハチの背中に花粉と柱頭が付き受粉する仕組みになっている。
奥高尾“日影林道”で咲いている「フクシマシャジン(福島沙参)」。キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草で草丈は50~80センチ。ツリガネニンジンに似ているが花は輪生せず花の形が鐘形よりやや円錐形に近い。また萼片が糸状鋸歯状でなくやや広い披針形で全縁になる。花はソバナにも似ているがソバナの花柱は花冠に隠れ気味で短いが本種の花柱は花冠より長く飛び出ている。また葉は茎に互生し葉に長い葉柄がある。
シソ科ジャコウソウ属の「ジャコウソウ(麝香草)」。山野の沢沿いややや湿った場所に生える多年草で7~9月に葉腋に長さ4~4.5センチの唇形花を数個付ける。名前に"麝香”と付くのでその香りが気になるところだが、花は無香で葉を揺すっても全く匂わない。葉を少し揉んでみると微かにシソ科らしい爽やかな香りがあったが、これはシソ科植物では普通のこと。やはりこの名前は『?』ではある。
シュロソウ科(←ユリ科)シュロソウ属の「アオヤギソウ(青柳草)」。比較的低い山野のやや湿った場所に生育する多年草で草丈は50~100センチ。夏に茎の上部に数本の花序を出して直径1センチほどの淡黄緑色の花を咲かせる。花の形はシュロソウにそっくりで色が異なるだけ。シュロソウの変異種には本種の他ホソバシュロソウ、オオシュロソウ、タカネアオヤギソウ、ムラサキタカネアオヤギソウがあり、それらの中間型も見られる。写真の株は葉が細くホソバシュロソウの変異のようだ。これは小山内裏公園の林縁のもの。
ヤマグルマ科ヤマグルマ属の「ヤマグルマ(山車)」。東北地方以南の山地に分布する常緑高木で5~6月に枝先に総状花序を出し花弁も萼片も無い黄緑色の花を多数咲かせる。果実は直径1センチほどの球形で袋果が集まった集合果になる。熟すと裂開して線形の種子を多数出す。
長池公園"築池”畔で見られる「ウシノシッペイ(牛の竹箆)」。イネ科ウシノシッペイ属の多年草で草丈は60~80センチ。草姿が牛追いのムチに似ていることから名付けられているが、こんな草では牛は動かないだろう。花期は7~10月で小穂は茎に貼りつきブラシ状の白い花柱と褐色の雄蕊の葯が見える。