現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

那須正幹「The End of the World」六年目のクラス会所収

2017-08-31 10:37:59 | 作品論
 核戦争で死滅した世界において、核シェルターの中で一人だけ生き残った少年の話です。
 全体的に、極端なシチュエーションを作るだけのためのような荒い書き方ですし、放射能汚染に関する知識もかなりいい加減なのですが、妙に生々しく感じるのは、日本上空を飛んで行った北朝鮮のミサイルのせいでしょうか。
 緊迫している半島情勢だけでなく、ISをめぐる戦争、世界中で頻発しているテロ、自分の支持層のために人種差別を否定できない大統領、軍備を拡張し続ける大国など、近年になく世界の情勢は緊迫しています。
 こうした社会情勢と、日本の児童文学がまったく無関係になったのは、いつごろからでしょうか?

六年目のクラス会―那須正幹作品集 (創作こども文学 (1))
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ポプラ社
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児童文学の新しい読者

2017-08-31 10:22:10 | 考察
 児童文学の読者は誰なのか?
 これは非常に難しい問題です。
 一般には子どもが対象になる文学のことでしょう。
 しかし、児童文学者で詩人のエーリヒ・ケストナーは、「8才から80才まで」と自分の作品の読者を想定していました。
 宮沢賢治も、「注文の多い料理店」の新刊案内の中で、読者対象を「アドレッセンス(男子は14才から25才まで、女子は12才から21才まで)中葉(男子は20才前後、女子は17才前後)(男女差があるのは女性の方が精神的成長が早いためです)」と規定していました。
 現在では、児童文学は子どもから大人までの、特に女性向けのエンターテインメントの一種に変容してきています。
 そういう意味では、年齢の若い順に読者対象を分類すれば、幼年(幼稚園から小学三年生までの男女)、少年(小学校高学年から中学生ぐらいまでの男女)、青年(いわゆるヤングアダルトで、高校生や大学生の男女、二十代の女性)、壮年(主婦も含めて三十代から五十代ぐらいまでの女性)に分類できるのではないでしょうか。
 そして、新たな分野として老年(60代以上の男女)児童文学も可能性があると思います。
 そこでは、従来の現代児童文学では懐古的すぎると思われた内容のものもOKでしょう。
 昭和時代の雰囲気を満載した児童文学の領域が、新たに開拓される余地はおおいにあると思われます。

老年の価値
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朝日出版社
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