現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

津村記久子「我が家の危機管理」ポースケ所収

2018-09-07 08:24:04 | 参考文献
 ピアノ講師(ただし午前中はパートもしている)の妻と作家の夫(数年前までは会社に勤めていたというから津村自身の男性版か)が、うつ病の母親にネグレクトされている小学生の女の子と知り合う話です。
 ネグレクト、養子、不倫、離婚など、今日的な素材を扱っていますが、あまり深刻にならないように描いています。
 どうも最近の津村の作品は、主人公たちがだんだん自由業に限定されていくのが不満です。
 そんな小説はごまんとあるので、津村の得意分野であった普通の会社で働く人々(世の中の大半の人々がそうでしょう)をリアルに描かなくなると、このまま埋没してしまう恐れがあります。
 もっとも、津村自身が会社を辞めてしまったので、実際に普通の会社で働く人々からどんどん乖離してしまっているのかもしれません。

ポースケ
クリエーター情報なし
中央公論新社
コメント
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