現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ALWAYS 三丁目の夕日

2019-03-23 16:55:35 | 映画
 2005年の映画で、日本アカデミー賞を総なめにした映画です。
 CGとミニチュアとセットを使って、1958年の東京の下町を、かなりデフォルメしつつ、見事に再現することに成功しました。
 サンフランシスコ講和条約が1951年に結ばれてからまだ7年しかたっておらず、高度成長時代はまだ始まったばかりで、日本中がまだ貧しかった時代でしたが、未来への希望は現在よりもはるかにありました。
 そのシンボルとして、東京タワーが建設中で徐々に高くなっていく姿が、作品中に描かれています。
 映画なので、わかりやすいドタバタコメディ(堤真一や吉岡秀隆を中心にして)がメインですが、その合間に戦争の傷跡や貧困の影を巧みに挟み込んで、原作の西岸良平の漫画「三丁目の夕日」の持つペーソスな味わいを伝えることに成功しています。
 また、堀北真希や須賀健太たち子役が初々しい演技をしていて、成長期にある若い日本の姿を象徴しています。
 ただし、私は1954年生まれなのでこの映画に出てくる子どもたちより5、6年後に、彼らの年頃を過ごしたのですが、同じ東京でも場末の千住(今は北千住を中心にすっかりあか抜けているようですが)で育ったせいか、私の周辺は彼らよりもかなり貧しくて復興も遅れていたようです(この映画に出てくる家電製品の三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)が我が家にそろったのは、彼らと同じ年頃になった東京オリンピック(1964年)のころだったと記憶しています)。

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カール・ラガーフェルド スケッチで語る人生

2019-03-23 09:12:58 | 映画
 シャネル、クロエ、フェンディ、そして自分自身のブランドのデザイナーであるカール・ラガーフェルドにインタビューした2012年の映画です。
 その時すでに80歳近くなのにダンディで記憶力も桁外れに良いのですが、一番驚いたのはインタビューに答えるのと同じスピードで、そのことをスケッチしてみせたことです。
 しかも、それはその時だけの特別なことではなく、毎日、一日中何かしらのスケッチをしていて、それらはすべて最後にはゴミ箱行きだということです。
 彼が自分の仕事の資料を何も保存していないのは、記憶力が抜群なだけでなく、「作る」ことには人一倍興味があるが、「作った」物には全く関心がないからでしょう。
 かつてジャーナリストの千葉敦子は、いつも原稿を書いているSFの巨匠、アイザック・アシモフのことを、尊敬をこめてデディケイテッド・ライター(打ち込んでいる作家)と呼んでいましたが、ラガーフェルドは天性のデディケイデッド・デザイナーなのでしょう。
 何事もここまで打ち込めたら成功は間違いないでしょうし、幸せな人生だと思います。

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